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<第32話> 【地図上プレビュー】で覗き見! そして、


昔、四つ耳族は迫害されており、そんな経緯から四つ耳族は同族に対して友好的で、

特に年配の四つ耳族ほど、同族に対する帰属意識が強いようだ。

そんな四つ耳族の情報を入手しつつ、”バンゴ”の街の地図に目を向ける。

(とりあえず、自分と同じ四つ耳族の生活を覗いてみようかな?)

床に座って右の後ろ脚で耳の後ろをカキカキしているタマに話しかける。


「ねぇ、タマ、四つ耳族の人が経営しているお店とかを検索できる?」

『できるニャン。タマにお任せニャン。』

タマが返答すると同時に、地図上に紫の”頭でっかちピンマーカー”が数ケ所現れた。

各ピンマーカーの上には、商店名のようなモノが表示されていた。


 イットマン商会

 巣ごもり亭

 アーチー魔道具店

 ………………

 …………

 ……


(とりあえず、上から順に覗いてみようかな。)

「タマ、数ケ所【地図上プレビュー】で覗きたいんだけど、お願いしていい?」

『どこを覗くニャン?』

「そうだね、まず最初は、”イットマン商会”って所をお願い。」

『分かったニャン。』


そのタマの言葉と共に、目の前の地図が【地図上プレビュー】に切り替わった。



目の前には店先の様子が映し出されている。

「おぉー、これは凄いな。直接出向かなくても現場の状況が手に取るように分かるって、ホント凄いよね。」

どうやら、店員と思しきイヌミミ人が客と思しきウサミミ人を接客中だった。

(ケモミミ丸出しで接客したり買い物したりしてるようだから、差別とかは大丈夫そうだね。)

ざっと見たところ、客も店員もそのほとんどが四つ耳族のようだ。

店員は制服のような統一された服装で、客の服装は地味な茶系統の色が多い。

服のデザイン的には地球のモノとそれほど違いはないようだ。

メガネをしている客もおり、服装や装飾品は地球のモノを身に着けても問題ないだろう。

今着ている服装でも違和感はなさそうだった。



”イットマン商会”は、雑貨、生活用品、衣料、食料品と、いろいろ取り扱っているようだ。

(ざっと見た感じ、昭和の日本にあった田舎の八百屋をちょっと大きくした感じの小規模スーパーって感じかな。)

この世界の基準が分からないので何とも言えないが、商品の陳列棚に対して商品は少なく感じられた。

(何かスペースに対して商品が少なくて、スカスカな感じがするけど、これがこの世界では普通なのかな?)

そんな感想を抱きつつ、店内をザっと一周してもらう。

特に目立つというか、”おっ異世界ファンタジー!”って感じのものは見当たらなかった。


とりあえずこの店は満足したので、次のお店を覗くことに。

「タマ、次のお店を覗きたいんだけど、いい?」

『どこを覗くニャン?』

「そうだね、つぎは、”巣ごもり亭”かな。」

『分かったニャン。』


そのタマの言葉と共に、目の前の【地図上プレビュー】が切り替わった。


”巣ごもり亭”は木造2階建ての小ぶりなお宿のようだ。

ネコミミの若い女性と小さい女の子が机を拭いている。

奥に進むと、中年のネコミミ男女が料理をしていた。

(うぅ~ん、見た感じ家族経営の宿って感じかな?)


宿の食堂と思しきカウンター席や机には、所々にポツポツと客が座っており、

そのほとんどの客の頭にケモミミが散見された。

(四つ耳族御用達のお宿なのかな? 時間的に朝食の時間だと思うんだけど、あんまり客がいないね。)


特に不衛生という感じもせず、でも綺麗って感じでもない、そんな普通のお宿のようだ。


とりあえずこの店も見終わったので、次のお店を覗くことに。


「タマ、次のお店を覗きたいんだけど、いい? 多分これで最後。」

『どこを覗くニャン?』

「そうだね、つぎは、”アーチー魔道具店”でお願い。」

『分かったニャン。』


そのタマの言葉と共に、目の前の【地図上プレビュー】が切り替わった。


(何か小さな薬局って感じのお店だね。)

たれ耳(イヌミミっぽい)を頭に載せた中年男性がカウンターで作業をしている。

何かの道具を磨いているようだ。

彼の後ろには棚があり、水晶玉のようなモノや、四角い箱のようなモノが所狭しと陳列されていた。

中には試験官を小さくしたような瓶も多数陳列されており、なかなか興味をそそられる商品ラインナップだ。

(どういう商品なのかは分からないけど、ファンタジー感は一番感じられるお店だよね。)

タマに頼んでお店の中を一周見渡してもらうが、店内には机も椅子も何もなかった。

(このお店はカウンターの中以外には何もないんだね。)

カウンターで接客して、欲しい商品を奥から持ってくるスタイルのお店のようだった。



「タマ、ありがとね。もういいよ。」

『もう覗かにゃいニャン?』

「うん、もうおしまいにしよう。」

『分かったニャン。』


タマに声をかけ、【地図上プレビュー】を終了させる。

目の前の画面が通常の地図(多分”バンゴ”の街)に切り替わる。

フヨフヨと目の前に寄ってきたタマを両手でキャッチし、

左腕に抱っこしながら右手でタマの額をコショコショする。

いろいろ頑張ってくれたタマへのお礼だ。


そんなタマとのスキンシップを楽しみながら、明日以降のことを考える。

(見た感じ、特に危険や不衛生ってこともないようだったし、大丈夫そうだね。)

(明日、1日1回の【地図上転移】ができるようになったら、実際にこの街に行ってみようかな?)


よく考えたら、この異世界に来て、この世界の人とまだ会話してない。

召喚された直後も日本人の”ご同輩”とは会話したが、現地人とは、話している言葉は聞いたが会話はしていないのだ。


(それにしても、ケモミミって異世界ファンタジーのオヤクソクだよね!)

自分以外のケモミミを付けた人間が動く映像を目の当たりにし、気分が高揚したようだ。


「とりあえず、明日は今覗いたお店へ行って、初異世界コミュニケーションしてみよう!」


仕事以外ではコミュ障気味だった人間にしては、珍しく対人関係で前向き発言である。

動くケモミミ人間にあてられたのか、いつもの消極姿勢とは打って変わり、

異世界コミュニケーションに意欲を見せるネコミミオッサンだった。

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