<第13話> ダンジョン乗っ取り!? そして、
(キター、オヤクソク通り押してきた!)
頭ではタマのリアクションが嬉しく、この状況を楽しんでいた。しかし、体はなぜか別行動をとっていた。
条件反射的にタマの突進を躱してしまっていたのだ。
僕に突進を躱されてしまったタマは、僕の横をすり抜けて頭からダンジョンコアに突っ込んでいく。
「危ない!」
ダンジョンコアは水晶のように見える。つまり硬そうだ。
タマの頭に水晶のような硬いものが当たると想像し、咄嗟に叫んだ。
しかし、タマは何の衝撃も感じられなかったようにスルリとダンジョンコアにぶつかり、
ダンジョンコアはどこかに消えてしまった。
「タマ、大丈夫? って、あれ? ダンジョンコアはどこにいった?」
近くをキョロキョロしたが見当たらなかった。
当のタマはというと、何事もなかったかのように右手をペロペロしながら顔をグルーミングし始めていた。
「タマ、ダンジョンコアは?」
『吸収されたニャン。』
「吸収? どこに?」
『体ニャン。』
「体ってタマの?」
『そうニャン。』
「えぇ~、大丈夫なのそれ?」
『問題にゃいニャン。』
「何か影響とか、変化とかはある?」
『ダンジョンコアと一体になったので、ダンジョンを管理できるようになったニャン。』
「それって、タマがこのダンジョンを自由にできるってこと?」
『そうだけど、違うニャン。』
「え? どういうこと?」
『タマは”大っきなタマ”の指示がないとにゃにもできにゃいから、タマだけではダンジョンを自由にできにゃいニャン。』
「ん? ”大っきなタマ”って?」
『マッピーのことニャン。』
「僕のこと?」
『そうニャン。』
(もしかして、タマは僕のことを自分と同じモノとして認識してくれているのかな? それは何だか凄くいいね。)
タマが自分のことを”大っきなタマ”と呼んでくれたことがことのほか嬉しかった。
『ダンジョンのことは何でもタマに言うといいニャン。』
ムフンと胸を張るタマが可愛かったので、思わずタマを両手で抱きかかえ、頬ずりしてしまった。