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裸のお尻リターンズ

 マルンが経営する「ヤルメキスのスイーツショップ」が神界にオープンしました。
 神界の偉い人に下界へ転移する許可をもらっているマルンは、自らの転移魔法で店にやって来るなり
「おはようございます。タクラ様、ヤルメキス様、そしてコンビニおもてなしの皆様」
 笑顔でみんなに挨拶をしていきます。
 相変わらずその姿は半身幼女で半身骸骨の姿ですが、その体にはちゃんと服を着ていますので以前ほど悪魔悪魔した感じはしていません。
 そんなマルンのためにヤルメキスは、毎日スイーツを多めに作って魔法袋にセットしています。
「ま、ま、ま、マルンさん、こ、こ、こ、これが今日の分でごじゃりまする」
 ヤルメキスは、相変わらずどもりまくりながらも、笑顔でマルンに魔法袋を差し出していきます。
「毎日ありがとうございます、ヤルメキス様」
 マルンは、それを笑顔で受け取ろうと手を伸ばします。

 そこに、マルンのものでも、ヤルメキスのものでもない手が伸びてきて、その魔法袋を取り上げていきました。
「マルンさん、おはようございます。先に昨日の仕入代金をお支払いいただきますわ」
「あ、こ、これはファラ様。り、了解です」
 魔法袋を手に取ってニッコリ笑顔のファラさん。
 そんなファラさんの前でマルンは慌てながら財布を取り出しています。

 仕入れ代は翌日精算になっていて、前日の代金を精算してから今日の品物を渡す約束になっています。
 で、その応対はコンビニおもてなしの卸売り・仕入部門を担当しているおもてなし商会ティーケー海岸店のファラさんが行ってくれています。

 マルンが神界という別世界に住んでいるため、
「代金を踏み倒されかねませんからね、毎日精算は譲れませんわ」
 そう強行に主張したファラさんの意見をマルンが了承し、この方法がとられているわけです。
 その気になればスアの転移魔法で神界まで行けるんですけど、これは一応秘密事項になっていますので、ファラさんには伝えていないんですよね。

 この取引は、今のところ特に大きなトラブルもなく進んでいます。

 そう言えば、行方不明になったままのウルケモチーノですが、なんか地獄界ってとこの片隅で発見されたそうでして、今は無事救出され神界の勤務に復帰しているそうなのですが……
「転移魔法を封印されたんですよ。私と一緒に勝手に下界に降りたバツとして……」
 マルンはそう言いながら苦笑していました。
 まぁ、僕としてはその方がありがたいので助かるんですけどね。
 先日、ヤルメキスを庇った僕を見て
「惚れました、結婚してください」
 とか言いながら僕に散々アタックしてきたウルケモチーノですからねぇ。
 ま、その地獄界に送り込まれたってのも、僕に特攻してきたウルケモチーノをスアが転移魔法で吹っ飛ばした結果なのであれですが……
 ま、とにかくこれで、ウルケモチーノがこの店にやってくることは当分の間ないでしょう。

◇◇

 コンビニおもてなしの方は順調その物です。
 で、我が家の方も順調その物です。

 思念波を使用出来るリョータは、魔法による補佐なしでも歩くことが出来るようになりまして、僕が家にいるときはその後ろをカルガモのようについて来ます。
 いつも笑顔で嬉しそうなリョータの姿を見てると、僕も思わず笑顔になってしまうんですよね。

 で、産まれて間もないアルトとムツキの双子姉妹も元気にすくすく育っています。
 思念波で言葉を発する事が出来て、魔法で空中移動も出来るアルトですが、最近は魔法を使用しなくても話が出来たり、歩いたり出来るようにと一生懸命頑張っています。
 
 一方のムツキ。
 成長魔法を使用出来るムツキは、僕と一緒にお風呂に入る際に自分の姿を少女の姿にまで成長させています。
 ムツキの魔力では、一日しっかり寝て魔力を溜めて、ようやく5分程度少女の姿を維持出来る程度だったのですが、最近はその継続時間が目に見えて伸び始めています。
 最近では、風呂から上がり、一緒にベッドに入るくらいまでの時間は少女の姿を維持出来ています。
 で、ムツキもそれが嬉しくてしょうがないらしく、
「パパ大好き、ニシシ」
 笑顔でそう言いながら僕の腕にビタッとくっついたまま移動しているんですよね。

 そんな感じで3人の赤ちゃんズは、元気にすくすく成長しています。
 みんなのお姉ちゃんことパラナミオも、そんな3人の面倒を率先して見てくれていまして、3人もそんなパラナミオによく懐いています。

 で、そんなある日のことです。

 なんか、トイレの戸が開いていてですね、その中から話声と、何度も水を流す音が聞こえてきます。
 で、その声がどうもリョータ達のような気がするんですよね。

 あ、まだ赤ちゃんの3人ですが、トイレはみんな自分で済ませているんです。
 トイレに行きたくなると、3人とも浮遊魔法で空中を浮いてそのままトイレまで移動。
 で、トイレの上で、魔法で服を脱ぐとそのままトイレをすませ、ちゃんと拭いてから戻ってくるんです。
 最初の頃は、服を破らずに脱ごうとして手こずっちゃって間に合わず……なんてこともありましたけど、最近はそんな失敗もほとんどしない3人なんですよ。

 で、そんな3人の声が聞こえて来ていたトイレの戸を開けますと……

 なんかですね、水洗トイレを見つめている3人の姿があったんです。
 ムツキは少女姿に成長していまして
「これ、どうなってるニャしぃ?」
 そんな事を言いながらトイレの脇にあるボタンを不思議そうに見つめています。
 で、そんなムツキの手の先を、空中浮遊しているリョータとアルトも見つめながら腕組みしているんですよね。

 ……どうもこれ、トイレの仕組みを3人集まって解き明かそうとしている感じですね。

 この水洗トイレですが、元々僕がいた世界の代物です。
 このコンビニおもてなしの屋根の上に太陽光パネルが導入されているおかげで、温暖便座やウォシュレットなんかも使用することが出来ているんですよね。
 この世界の品物とは根本的に異なるもんですから、以前スアもこの仕組みに興味津々になって何度も何度も水を流しては、その仕組みを調べていたことがあったんですよ。

 で、僕の目の前で、水洗トイレを見つめている3人ですが、どうやら3人揃ってトイレにやってきて、順番に済ませてからこの水洗トイレを研究し始めたみたいです。

 え? なんでトイレを済ませたってことまでわかるのかって?

 いえね……3人は便器の方を向いているわけです。
 つまり、入り口……僕がいる方に、3人はお尻を向けているわけですよ。
 そのお尻がですね、3人とも素っ裸のまんまなんです、はい。

 そう言えば、以前スアもこれやったんですよねぇ。
 トイレの仕組みに夢中になりすぎて、下半身素っ裸のまんま便器に夢中に……
「……それは、忘れて」
 そこまで考えた僕の横に、転移魔法でスアが現れました。
 スアは真っ赤な顔をしながら僕のズボンの裾を引っ張っています。
 やっぱりあれは、スア的にも今思い出しても恥ずかしい思い出みたいです。
「……でも、スアのお尻は可愛いしなぁ」
「もう!」
 僕の言葉に、スアは頬を膨らませながら僕の体をポカポカ叩いてきます。
 そんなスアの仕草が、これまた可愛いんです。

 さて、そんなスアの姿をもっと満喫したいんですけど、子供達がこのままお尻を丸出しにしていたら風邪をひきかねませんし、そろそろ声をかけましょうかね。

 しかし……ホント血は争えないっていうか、みんなスアの子供だなぁ、って思ったのですが、
「……旦那様と私の子供達、よ」
 スアはそう言ってニッコリ笑いました。

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