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神と魔、光と闇

 1
 中央に戻ってきた花音は、神界軍本部に立ち寄った後、神麗の部屋を訪れていた。
「貴女も大変ね。頭の固い上層部に呼び出されて」
「あはは、でも今回は仕方ないかなって」
 そう返しながら、手紙を取り出す。
「それは?」
「刹那君が預かってきたんです。神麗さんにって」
「あら、ありがとう」
「じゃあ、私はこれで」
「待って」
 手紙を渡して部屋を出ようとすると、神麗が呼び止めてきた。
「?」
「少し話があるの」
 彼女が言ったのと同時に、誰か来たのか部屋のドアが叩かれた。
「どうぞ。入って」
 その言葉に夜天と光輝が入ってくる。
「姉上、どうしてここに?」
「私は神麗さんに渡すものがあったから。それより、二人は?」
「俺と光輝は呼び出されたんだ。話があるって」
「話?」
 二人だけを呼び出した神麗の意図がわからず、彼女を見る。
「何だよ、俺達だけに話って」
「そうね。まずは、これを見て貰おうかしら」
 そう言って神麗は、花音達の前にかなり古そうに見える地図を広げた。
 2
「これはっ!」
「そう。これは、約千年前のあなた達の世界」
 何故そんなものを広げ、今見せてくるのかわからずに地図を覗きこむ。
(風の国、火の国、水の国、雷の国、地の国……、あ、この頃は凍矢君達の一族も国だったんだ。……あれ?)
 そこで花音は、あることに気付いた。
「神麗さん、この地図、闇の国がない……」
「……本当だ。それにこの頃なら、光の一族は国だったはず」
 花音の呟きに光輝も言い、神麗を見た。
「どういうことだ?何故、その二つの種族がないんだ?」
「それは二つの種族が後から出来た種族だからよ。光の一族、闇の一族は、他の一族に比べて、歴史の浅い一族なの」
 夜天の言葉に、神麗は続ける。
「その二つは元々はあなた達の世界にはなかった種族……、繰り返される争いに疲れ、自分達の世界を捨てた者達が、別世界に逃れてそこで作り上げた一族なの」
「「「っ!?」」」
 その言葉に、花音、夜天、光輝は息を飲んだ。
「……ここまで言えば気が付いたかもしれないけど、光の一族と闇の一族は、それぞれ神界と魔界を捨てた者達が作り上げた一族」
「「「…………」」」
 改めて言われ、思わず無言になる。
 花音が夜天と光輝の顔を窺うと、二人も今知ったばかりの真実に困惑しているように見えた。
 花音自身も困惑していたが、そんな彼女達を見て、神麗は表情を和らげる。
「ふふ、そんな顔をしなくてもいいわよ。私は、神族と魔族が仲良くすることを悪いこととは思っていないもの。むしろ、逆よ」
「逆?」
 神麗の言葉に、花音は首を傾げた。
「ええ、逆よ。勿論、今生きている二つの種族の人達が過去のことを知らないということもあるのでしょうけど、それなりに上手くやってきているのでしょう?」
「まぁな」
 光輝が頷く。
「……神族と魔族は、自分達の力が決して相容れないものだと思ってる。どちらかの種族が滅びなければ、争いは終わらないってね」
「……うん。それは、聖羅さんも言ってた」
「でも、多少の力の変化はあれ、本質的には変わっていないはずのあなた達は仲良くやってる。……そこよ。本当なら、神族と魔族も手をとり、協力しあえるはず。あなた達や、私と沙羅さんみたいにね」
「……そうですね」
 神麗の言葉に、花音はそれだけ返した。

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