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3章開幕 顔見せ

 別格貴族達の集会に呼ばれた何時もの喪女と、今だ別人化から戻ってこないベルであったが、

(何時ものってのは貶めてるの?)

 それ以外なにが? と言っておこう。

(くのやろ……)

 集会には今回始めて恋するロボット、ま

(マルチェロ・プライ君ね)

 ……先手を打つのはどうかと思います。

(必要最低限の措置だと思っております)

 んで、息してるのかも怪しいマル君は置いといて、

(置いとかないで!? え? 大丈夫なの!?)

 大丈夫。医者も控えてるし。

(大丈夫に全然思えないわぁ)

 後は何故かメイリアの姿と、見慣れない女性が二人程参加していた。メイリアはビクビクしっぱなしだ。

(私が近くに居れさえすれば……)

「では会議を始めましょう」

 以前のジュリエッタとは違ってはっきりと、それでいて鈴の鳴るような涼やかな声がサロンに響く。

(……もう乙女様じゃなくなってるのかしら)

(『大丈夫よ。そっちもちゃんと居るから安心なさい』)

(乙女様! ……良かったわ)

(『くすくす。喧嘩ばっかりしてた記憶しかないのにねぇ』)

<何か通じ合っちゃってるわね>

 で? 不明の二人は何者なん?

(『そうね。そこから説明しておいたほうが良さそうね』)
「今回からこちらの二人にも参加して貰うことになりました。自己紹介を」

「ミュラード伯爵家が長女、1年エリエアルと申します」

「サイランス侯爵家が次女、1年のベルミエッタだ」

「……だ?」

「ひっ!? ベルミエッタであります!」

 グレイス様に顔を覗き込まれたベルミエッタは顔を青褪めさせ、軍人の様な物言いで言い直した。

「宜しい」

(全然宜しくありませんが……)

 喪女さんの驚愕の表情に気付いたグレイスが苦笑いを浮かべながら、

「ジュリエッタ様曰く、彼女は典型的なゲームの知識で上手く立ち回ろうとした口でね。どうやら良からぬ思惑で男性陣に近付こうとしたので、先回りさせて貰ったのだよ。その際『この世界の常識』を骨身に刻み込んでみたのだけど……。まだ甘かったのかなぁ?」

「いえ!? 十分ですので! ご勘弁を!」

「……まぁそれは分かるんですが、何でそこまで怯えてるんです?」

「フローラも知っているだろう? 私は魔力がとても低いと。だからベルミエッタは魔法で私を翻弄できると思ったらしく侮っていてね?」

「馬鹿なんですね。わかります」

「なんっ……! いえ、なんでも……」

「まぁフローラ嬢なら絶対に逃げてたであろう決闘なのだが、侮りもあってか快諾してくれたものだからね。手加減無くお相手させてもらった」

「はー……身の程知らずというか。ゲームはゲーム、リアルはリアルでしょうに……」

「ちなみに私は普段ベティと訓練してるのだけどね? ベティと比べると余りにも見劣りがすると言うか何と言うか。
 ちょうきょ……じゃない、教育を施した後にベティにも引き合わせたのだけど、手も足も出てなかったようだね」

「あ……あんなモブ、ありえないだろ……っ! 何だあの強さは……!」

「あー、ベティかぁ。うちの父様達にも勝っちゃうらしいから……」

「は? 誰だお前は……さっきからグレイス様に馴れ馴れし……い? フローレンシア・クロード!? 前作のなんちゃって真っ黒主人公か!? っつか主人公のチート家族より強いだと!? 化物過ぎるだろ!」

「真っ黒って何だコンチクショウめ! 主人公になっちゃったのは何かの間違いなんだよバッキャローが! それと、フローレンシア自身は凄く良い子だ! 黒いとか取り消せアンポンタン!」

「間違いもクソも、あんたが逆ハーコンプリート維持した最後の一人になったから主人公に選ばれたに違いないでしょうが」

「あ!? ベル正気に戻ったのね!?」

「逆ハー最後の一人だと!? お前か!? 花ラプ荒らしは!?」

「何なのその新たな称号!? 聞いたことないんだけど!?」

 とまぁ、やんややんやとやかましくしていたわけで……。

「みな、さぁん? 少々、煩い……ですわ、よぉ?」

「「「すみませんでした!!」」」

 ディレクが気を利かせて呼んでいたらしいメアラ先生が投入されたのも無理はない。というか、転生者組はすべからくメアラ先生にお世話になってるんだな。馬鹿なの?

(放っといてぇ……)

「あのー……戦花繚乱に関しての会合なんですよね? その話はしなくて良いんですか?」

「御免なさいね、エリエアル。ほら、貴方達もあまりメアラ先生の手を煩わさないように」

「「「はひ……」」」

「ではエリエアル、戦花繚乱についての詳しい話をお願いできるかしら?」

「分かりました。恐らくどういうゲームになったかは周知されてると思いますので、戦花繚乱のキャラについて説明させて頂きたいと思います。選べるキャラは前作から一新された3人の乙女と、そして攻略対象の6人の男子です。ここに敵国であるレアムの3人の乙女と4人の男子とシークレット枠の2が加わる予定です。今回の男子も選べる要素はおまけ的な要素が強かったです」

「選べるキャラが20人ってまぁ増えたわね……。多いことは分かったけど、何で男子も選べるようになったの?」

「腐女子用と言えば宜しいでしょうか?」

「宜しくないけど分かったわ! 聞くんじゃなかった……」

「うへぇ、マジか……スタッフェ……」

 腐呂オラさんとベルが嫌そうな顔してる。

(腐ってねえんだよ!)
「あ、ベルミエッタ様とエリエアル様は選べる乙女ってこと? だとすればあと一人……ってまさか!?」

 喪女さんがメイリアを見ると、メイリアはビクッと体を震わせる。

「そうです。三人目は。過去に魔族へと変身を遂げる程の光魔法の使い手を輩出したシュトーレン男爵家。その子孫である魔眼持ちのメイリア様です」

「ひぇ……」

「あー……ジュリエッタ様、申し訳ありませんがメイリアの側に行っても?」

「勿論良いわ。私も居たほうが良いかしら?」

「だだだ、いじょうぶ、です」

「はいはい落ち着いてー。メイリアは魔眼持ちだけど魔力はそこまでではなかったよね? それなのに2つ隣の国であるレアムまで自分から攻め入るの?」

「幼馴染を拐われるそうです」

「「!?」」

「ちなみにどっち……?」

「どっち? 二人だったかと……?」

「こうしちゃいられ……!」

「安心しろ。既に二人には24時間、護衛を付けている」

「さすが皇子! なら安心? ……かな」

「バミーは大丈夫よぉ。あの子は嫌がるけど、私と一緒に住んでるからぁ」

「へ、へーぇ」

 裏山鹿啼くね。

(いや、確かにちょっと微妙よね? 実際。メアラ先生は美人だけど……)

「フローラ、さぁん?」

「「「何でもありません!」」」

 何故かベルとベルミエッタも一緒に反応した。……めんどいからまとめる時は2ベルにすっか。

(心底どっちでも良いわ……なんか二人共似てるし。名前だけじゃなく中身もね)

「……本当にゲームとは違ってしまってるんですねぇ」

 思わず呟くエリエアルにジュリエッタが声を掛ける。

「貴女もゲーム通りに何かしたかったりしてたの?」

「いえ、全く。私はお気に入りをカップリングさせてニヤニヤするのが好きでしたので。どうやらほぼ王道ルートが決まってるみたいで大満足です。むしろ余計なちょっかい掛けてくるレアムは死すべし、ですね」

「そ、そうなの……」

 会話に殆ど加わっていないアーチボルドとアメリアは、会議中にあって何だかいい雰囲気だしな。サイモンはグレイスに構ってもらうのをそわそわしながら待ってる感じか? 忠犬サイモン! みたいな。

(やめろや。吹きそうだったろうが)

 そうなると相手が居ないのってエリオットとディレクか?

(ディレク皇子は大丈夫でしょ。乙女様が嫌ってるわけじゃないし。そうなるとエリオット様だけよね)

 候補おらんの?

(うーん……流れ的にはシンシアとどうにかくっつくのかと思ってたけど、実際は全く違ったものねぇ)
「えっと、エリエアル様?」

「エリで良いわよ。同じ転生者なんだし」

「んじゃエリさん、花乙ってSLGになっちゃったんでしょ? エリさんもやった口?」

「花乙……? ああ、公式の愛称ね。花ラプとしか認識してなかったわ。戦花繚乱ね、やってたわ」

「ぶっちゃけどうでした?」

「……こう言ってはなんだけど、男の子向けなのよねぇシステムが。だって乙女ゲーって相手との交流や何気ない日常を過ごすことで、盛り上がっていくものでしょう? 力づくで分捕るっていうのは乙女ゲーなのかしらね? むしろ捕まった後の敵国の将官と良い仲になる方がまだ納得できるわ」

「「「ああ……分かる」」」

 喪女2ベルずの心が一つになった!

(……なんか変な意味混ぜてない? ……まぁ何時ものノーコンか)

「だから私は国内カップリングを極めてたわ。レアム版はやる前にこちらに来たからちょっと……」

「相手の情報がないのは辛いですねぇ。あそーだエリさん、今度内密のご相談があるのだけど……」

「ええ、構わないわ。その際はこちらからお呼びするわね」

「助かります」

 何悪巧みするの?

(悪巧まないですー。エリオット様に関して意見を求めるのよ。シンシアの前で聞けないから……)

 そーかそーか。所でさ?

(なぁに?)

 あのプルプルしてる商家のボンボン、そろそろ誰か触れてやれよ、って思うのよ。

(あ゛)(『あ゛』)

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