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第2話Part.2~勇者・ブレイドは見捨てない~

 薬草採集のために草原に出る。人の往来が多い街道の部分だけは土がむき出しになっているがそれ以外は地面は草に覆われている。
 大した鑑定眼は持っていないが今回集める薬草は自分でも何度も使用している回復薬の素材となるものなので何度も集めているので当然見分けがつく。
 今回集める薬草は日があまり当たらない場所に生えるものなので木の陰や草原に似つかわしくない人工物の影を探す。
 この辺りはだだっ広い草原である故に人間同士、人間と魔物問わず幾度も戦闘が行われているようでその戦闘の残骸が残されているのだ。
 特に投石機などの交戦兵器などが自然に取り込まれて新たな自然を作り出している。

 今回の薬草採集はギルド最下級のバクル級から受けられる仕事に割り振られているようにそこまで希少なものでもなく、生態を知っていれば容易に見つかる。
 今回指定された量を採集してギルドに戻ることにした。バクル級にも出来る仕事なのだから当然単価は安い。パリッシュ王国までの路銀を稼ぐには仕事をたくさんこなすしかない。俺は今日中にもう1つくらい仕事を受注したいと思い、急いでロデードのギルドへの道を行く。

「キャアアアアアアッ。」

 どこからか女性の悲鳴が聞こえた。声から察するにかなり切迫した状況であることが窺える。それほど遠い場所ではなさそうだが俺は悲鳴の方向に走り出しながら遠くに目を凝らす。だが背の高い草が邪魔で前が窺えない。
 俺は剣で草を刈りながら進み、背の高い草を抜けた。すると街道沿いに尻もちをついて後ずさっている悲鳴の主と大きな魔物が居た。

 初めて見る魔物だ。しかし旅の前に読んだ図鑑に記載されていた魔物の特徴に一致する魔物が居た。
 奴の名前はイングジャミ。5メラーを超える体長で二足歩行をする魔物だ。
 しかしその体つきは妙に不格好で手足は異様に短い。脚は体長の3分の1程度で両腕を広げた長さも体長の3分の2程度しかない。

 顔は赤ら顔、小さな目が広い感覚で2つついている。頭頂部にほど近い左右の頭に大きな巻貝の入り口のようにも見える耳がついており、鼻は元の魔物の名残か大きく立派な角が生えている。歯は生えそろっており、特に上部の犬歯は発達して立派な牙となっている。

 魔族のような知性はほとんど無いが力はずば抜けていて特に危険な魔物の1つ。こんな場所で現れたとなると近い街のロデードが危ない。
 既にイングジャミは相当気が立っているようでこのまま大人しく帰ってくれる雰囲気は無い。そうとなれば襲われている女性を救い、イングジャミも倒すしかない。
 初めて戦う魔物だが俺は覚悟を決めてイングジャミと女性の間に躍り出た。

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