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上品なお菓子で女子会

「へー、そんなことがあったんすねー」

「なんだか凄い微笑ましかったです」

 お茶請け先輩が帰ってくるなり、先に寮に帰ってた喪女ことフローラが、ミランダ主催のお茶会の様子を報告する。

(………………)

 突っ込まないフローラはただの喪女だ。

(はいはい。分かった分かりました! っていうかさぁ、パルフェ先輩で遊んでるだけだよね? あんた)

 先輩は色々な情報を総合してフローラへと言葉を返す。

(突っ込んだら突っ込んだで無視るし……)

「そっかそっかー。うちもそのミランダって子のお姉様方、二人は同学年っすし知ってるっすよ。ちょくちょくお話するっすから。一人はお互いこんな感じっすから気が合うんすよ。
 にしてもミランダちゃんかぁ。何となく話に上ったことがある気がするっすけど、よくは覚えてないっすね」

「で、ですねー。お返しに今度私の方の仲良しグループでお茶会に誘う予定なんですが、先輩もどうですか?」

「え!? うちが……っすか?」

「はい。パルフェ先輩にはいつも良くしてもらっているので」

「うーん、残念っすけど今回は遠慮しておくっす。メイリアちゃんでしたっけ? 本性を見抜くんすよね? その子とちゃんと顔合わせした後の方が良いと思うっす。フローラちゃんを迎えに来た時に見たことがある程度っすし」

「そうですか。ではちゃんとした顔合わせが済んでたらオッケーってことですよね? て事でどうかな?」

「ふぇ!?」

 カーテンに包まれて隠れていたメイリアが気まずそうに出てくると、先輩は目を丸くする。

「お、お邪魔してます」

「ああいえ、お気になさらず……っす? え? どゆことっすか?」

「先輩なら気を遣われると思ったので先手を打ちました!」

 ババーン! と音がなりそうなドヤ顔する喪女さん。本っ当にこういう所だけ『には』知恵が回る。

(『には』を強調しないでくれる? 悪ぅござんしたねー。勉強に知恵が回らないでさー……)

 言ってた自分がダメージ食らってる安定の喪女さんでした。

「……あ、んでメイリア。先輩はどぉ?」

「ぬはぁ……! 鑑定されてるようで、ど、ドキドキするっす!」

「えっと、パルフェ先輩は……何と言うかその」

「何と言うか……?」

「お人好し、っぽい感じがします」

「お人好し……っすか」

「多分ですけど、誰かが困ってたら助けずには居られないんじゃないかなぁって思うんです」

「あー、それ分かるわー」

「分かられちゃったっす!?」

「先輩は壁を全く作らない人だから、相手の痛みとか苦しみを自分のことのように感じる節がありますもんね」

「うっ……そうなのかも? 自分じゃよく分からないから否定できないっす」

「だからとても好ましい方だと思います」

「はうっ!? 手放しで褒められるとむず痒いっす!」

「何言ってるんですか! 先輩は本っ当ーに、良い人ですもんねー」

「止めて止めてっす、フローラちゃん! さては私で遊んでるっすね!?」

「本気なんですぅ」

「両手を組んで、うるうるな上目遣いで可愛く言っても駄目っすょ!?」


 ………
 ……
 …


 ……とまぁ、女子ーずのキャッキャうふふは飽きたので時を飛ばして、

(オイコラ。……あんた時折存在感が消えるよね? あんたが興味無さそうな時とかに多いけど、あれってどっか行ったりしてるわけ?)

 おまわりさん、こいつがストーカーです。

(むしろアンタが憑いてるんでしょうがぁ!?)

 お茶会です。

(無視が雑!?)

 ほれ、テンパるミランダでも見てによによしとけ。

「ほほほ、本日は、おま、お招きいただだ……」

(うわぁ、ガッチガチやで)

「うわぁ、ガチガチっすねー。お姉様方の誰かも巻き込んだ方が良かったんじゃないっすか?」

「ミリー、ミリー。ほらリラックスリラックスー。ほい、深呼吸」

「そうそう、吸ってー吐いてー吸ってー吐いてー」

「(すぅ、はぁ、すぅ、はぁ)」

「吸ってー、吐いてー、吸ってー、吸ってー、吸ってー」

「(スゥウゥゥ……ぶはぁ!)死んでしまいますわ!?」

「あっはっは、ビックリする位素直に聞いちゃうんだもんねー」

「(コクリ)素直」

「(パチクリ)」

「何かミランダちゃんをいじるフローラちゃんの背中に、黒い羽が生えてるのを幻視したっす」

 菓子ゃーん先輩、実際生えてますよー。小汚いのが。

(変な呼び方するな!? 先輩がやらなくても困ることは今はないと思う! 後なんだ小汚いのって!? んなもん生えてねえよ!?)

 一時期何か沢山リバイバルしてたよなー。リメイクとか色々。

(何でそんなネター??)

「んもう、フローラ様ったら……」

「あはは、ごめんごめん。でも緊張はほぐれたでしょ?」

「(ふぅ)そうですわね。では改めまして。今日はお招……」

「カンパーイ」

「ベティ様!? まだ私の挨拶の途中ですわ!?」

「良いの良いの。茶会っていう名のお友達パーティなんだから」

「……お友達(モジモジ)」

 おい、この子本当にお前の友達なの? 色々な意味で信じ難いんだが。

(色々って何さ!?)

 素直過ぎ。ひねた主人公に感化されないか不安。
 真面目過ぎ。不真面目な主人公に汚染されないか心配。
 純真過ぎ。ゲスい主人公に汚されないか怖い。
 いじ……

(ストーップ! ミリー賛美と私ディスをセットで挙げるの止めてくんない!?)

 えー? フルコースの予定だったのにー。

(アンタの私ディスりの引き出しはどんだけあんのよ……)

「で、妙な堅さも取れたことだし、恋話しよう」

「ぶっ」

「ふぇっ!?」

「(真っ赤)!?」

「(キョトン)??」

 フローラは在り得ないから皆無。ベティもまぁ無いだろう。先輩も無さそうだな。メイリアは勿論あり。ミランダは……分かってないね。

(皆無て)

「むー。詰まんない。相手が居るのはメイリアだけじゃない」

「(カァアァァ!)」

「お相手……って何ですの?」

「メイリアには好きな子が居るって話」

「え? え!? んまぁあ!? そうなんですの!? ど、どなたですの!?」

「(ぐるぐる)ぁぅぁゎぁ」

「バミー……じゃない、バモンよ」

「まぁ! ……え? バモン様、ですの? え? え?」

 ミランダがフローラとメイリアを交互に見る。その視線に表情の険しくなるベティと、あちゃーって顔の先輩、そして困ったような笑顔を見せるメイリア。そして……干物過ぎてミイラな喪女さんはぽかんとしている。

(え? この流れで何故ディスられたし?)

 だめだなぁ、駄目ン女様は。

(な・に・が・よ!? え? あんた何か知ってるの!? 教えて! 教えなさい!)

 い・や・っぷー。

(くのやらぅ)

 ベティの表情が険しくなってることに気付いたミランダが、さっと顔色を悪くして口元を隠すと、メイリアがふっと口を開く。

「うん……大丈夫、知ってるし。それに選ぶのはバモン君だから」

「で、でも……あの、それじゃ、私……」

「はい、ミリーはちょっと静かにしようか。私としては選んで貰うなんて考え方は良くないと思うけどね。それに男はバミーだけじゃないし? この前も子爵家の令息にダンス誘われてたし」

「んま、んまぁ! そうですの!?」

「ミリーは上から帰ってきてからすぐ会場を後にしたから、知らないのも当然なんだけどね」

「バモン君が不安げなメイリアをさっと庇ってねぇ。格好良かったよ?」

 とフローラがバモンを褒めると、びっみょーな表情と視線が四方から突き刺さる。

(うぇ!? ど、どゆことー?)

「(ベティ様? あれ、本気ですの??)」

「(そーよー。表しか無い子だから余計に困ってるのよ。まぁ本人も、股間蹴り上げた奴が自分のことを意識してるだなんて思わないだろうから仕方ないんだけどねー)」

「(こここ、股間だなんて! はしたないですわ!)」

「(あれでフローラちゃんは人の、他の人の恋愛事情には凄い敏感だったりするからたち悪いっすよねー)」

「(うんうん)」

「あ、あれー?? 何故仲間外れにされてひそひそ話なのかなー?」

「胸に手を当てて聞いてみて下さいまし!」

「フローラは反省した方が良い」

「え!? 何を聞くの!? 反省!? って勉強のこと!? それとも足癖の悪さとか……?」

「あー……微塵も感じ取ってないっすねコレ」

「メイリアさん! 負けちゃ駄目ですわよ!」

「あ、あはは……」

「ええー! 私一人置いてけぼりって酷くない!?」

「「「酷くない」」っす」

 まさかの先輩からも追撃されて沈むフローラだった。

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