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お披露目

「ママ、痛い!」

母さんが家の奥から父さんの耳を引っ張って連れてきた。完全な母さんの勘違いだけど。

「説明して」
「は?」

冷たい声で父さんに言う母さん。

いや、説明できないだろう。

「木蔭さん」

母さんばナナを呼んだ。

「はい」
「説明して」
「はい。初めまして、お義父様」
「え?」

ポカーンとする父さん。

「初めて会うの?」

と、ナナに聞く母さん。

「はい」と、ナナ。

まあ、だろうね。

「パパ、木蔭さんって誰?」
「え? こかげさん?」
「そうよ」
「えっと……」

考える父さん。

「あのさ、木蔭ナナさんは俺と結婚するから、その挨拶に来たんだよ」
「あ、なるほど……は?」と、父さん。
「え?」と、母さん。

トントントン

「深夜に何を騒いでんの?」

三郎兄さんが2階から降りてきた。

「あ、兄さん。紹介するよ。俺の嫁の木蔭ナナさん」
「は?」
「お兄様、木蔭ナナです。よろしくお願いいたします」
「え? えっと……よろしくお願いします。母さん、これって」

母さんに聞く三郎兄さん。

「母さんも訳ワカメよ」
「父さんもだ」

みんな、座って話そうよ。

「あのさ、リビングで話して良いかな?」
「あ、そうだな」
「そうね」

で、リビングへ。

「こんな時間に突然、すみません」

頭を下げるナナ。

深夜の1時だもんな。

「そうよね、こんな時間に来た説明をして、四郎」

まあ、だよね。

「うん、えっと……」

説明?

「マスター、いえ、四郎さん、私が説明しても?」

そのほうが良いよね。

「うん、お願い」
「はい。みなさん、私は日ノ本正男氏の秘書みたいな事をしてました」

日ノ本正男氏って、昨日亡くなった?

「それって、日ノ本グループ相談役の?」と、父さん。

「そうです」

そうなんだ。

「それで?」と、母さん。

「日ノ本正男は、昨日亡くなりました」
「そうね」
「で、遺産の一部と言いますか、瀬戸内海の島を四郎さんに贈与する事になったのです」
「へえ~、は? 島?」
「はい、ウサギ島です」

そうなんだ。








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