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総集編 詩歌編 今からでも間に合う「創世神話(改)」

※ 「創世神話」では、詩歌に重要な役割があり、それは(改)でも同じなので、詩歌を振り返ってみました。ご一読いただけると嬉しいです。

第一章 孤独な魂はさすらう
   1 月読祭の夜
星の輪よ、巡れ
時の輪よ、巡れ
輪廻の輪巡りて夢は繰り返す

エルディナとソルディナの 月白(つきしろ)の普天 普天(ふてん)
東の果て西の遙か 沈黙(しじま)の声は (うた)
遙かな過去と遙かな未来と
幾千度も寄せ返す波間に砕ける夢よ

エルディナとソルディナの月映えの 率土(そつど)
南の果て北の遙か沈黙の声は呼ぶ
十二の月と十二の方位と
幾千 (たび)も巡り繰る月の真昼の夢よ

マディーラの 奥津城(おくつき)は目覚め
イーラファーンの巫女は歌う
光と影
過去と未来
現象と幻影
時満ちて一つに重なり
夢は夢に還れ……

※ 銀髪に赤銅色の肌と朱金の瞳の謎の唄歌い(ナーサティア)の語り唄。
 謎の言葉を種明かしすると面白くなくなるので、本文を読んで捜してね。
 

   2 夢の中の唄
月の真昼に金の花咲く
水原(カレル)は遙かに流れゆく
金糸雀(ラーカ・シェリン)は歌わない
お前の忘れたその歌を
誰が教えてくれるだろう

月の真昼に銀の鈴鳴る
水原(カレル)は遙かに流れゆく
金糸雀(ラーカ・シェリン)よ歌っておくれ
お前がその歌思い出すなら
水原(カレル)の果てまで旅しよう

※ シェリンが、タレスの港町を立つ前に口ずさんだ伝承歌。
 シェリンは、この歌から自分の名前を付けた。

   4 ストーレ・パラオ
君を知らないで
僕はどうして今まで生きてこられたんだろう
君に出会うため、
きっと僕はこの星に生まれてきたのさ

君が寒い時には
ソルディナに照る 太陽(ソーラ)を君の暖炉に燃やしてあげよう
君が願うなら
十二の (イーラ)を首飾りにして君に贈ろう

たとえ別の星に生まれても
きっと僕は君の居るこの星に引き寄せられたよ
僕はこの世界を愛してる
君の呼吸する風も
君の眠るストーレの闇も
君の歩く月の真昼も
君の触れるもの全て

※ ピアレンの繁華街で歌う“ 四人の英雄(アバル・エランシ)”の楽曲。


   7 涙の理由
街は 虚飾(きょしょく)倦怠(けんたい)ばかり
誰もが 混沌(こんとん)に墜ちていく
自分が何処にいるかも分からない
打算と惰性で時は過ぎ
作り笑いが得意になる
誰も真実なんて語らず
未来なんて信じないというけれど
何かを求めずにはいられない

息を吸って声を出そう
きっとそれが答えになる
息を吸って声を出そう
失ったものは追いかけない

街は 喧噪(けんそう)と幻惑ばかり
誰もが 黄昏(たそがれ)に沈んでいく
冷めた心を温めるものもない
手を伸ばしても届かず
熱くなったふりで誤魔化す
誰もが愉快な振りをして
秘めた心を素通りしていくけれど
何かを求めずにはいられない

息を吸って声を出そう
きっとそれが答えになる
息を吸って声を出そう
信じることを忘れない……

※ ピアレンの貨物港の倉庫の中で、シェリンが勝手に歌詞を付けて歌っていた「始まりの日」という曲。


第二章 憧憬する心は呼び合う
   2 千人街と夜想曲
小鳥は空で何を歌うの?
あたしは地上で歌うけど
月の真昼を飛んでいく
風の翼にゆだねよう
あなたに届く言葉綴って
あたしを眠らす子守唄
深い眠りの夢の果て
あなたにきっと会えるから

魚は海でどんな夢見る?
あたしは陸地で眠るけど
海の向こうへ流れ着く
銀の細波探してる
あなたの夢に寄せる波
あたしを眠らす子守唄
遠い夢のこちら側
あたしはずっと待っている

※ 主人公ロウギ・セトが情報屋タルギン・シゼルに案内されて立ち寄った寂れた居酒屋で、タルギン・シゼルが注文して蓄音箱から流れてきたシェリンの歌う夜想曲。この歌を聞き、ロウギ・セトは目的地をソルディナからアスタリアへと変える。


   3 偽りの光の中で
ストーレが訪れ、また退屈な 今夜(きょう)が終わる
人々は家路を急ぎ、温かい寝床で眠りに就く
安らかな夢と 明夜(あす)への希望抱いて

そしてあたしは街に 彷徨(さまよ)い出る
絶え間ない時を刻むストーレの雨音は嫌い
眠り誘う平和な寝床は要らない

あたしが欲しいのは
ストーレの闇に浮かぶ、煌めく音と光の洪水
そこに集う人間達の賑やかな談笑
心にもない愛の言葉も口先だけの慰めも
偽りの光の中でどんな宝石よりも輝く

歌い明かそう
天蓋の外を覆う闇にも (しの)付く雨音にも
ここでは誰も心を砕きはしない

あたしに似合うのは
ストーレの闇に浮かぶ、狂おしい音と光の洪水
そこに集う人間達の狂乱の宴
もっともらしい作り話もその場限りの約束も
偽りの光の中でどんな宝石よりも輝く

踊り明かそう
忍び寄る 明夜(あす)の不安に (おのの)いても
ただこの 瞬間(とき)だけ夢に酔えればいい

歌い明かそう
この 彩色(いろどり)が偽りにすぎないとしても
ただこの 瞬間(とき)だけ夢に酔いしれよう

※ アスタリア第二の都市イオラスの象徴である鉄塔“ 月への階梯(ストレイン・トル・イーラ)”の下にある公会堂で開催された「イオラス音楽選手権大会」で、シェリンが歌姫を務める“ 星界の天使(エトラム・バード)”が生演奏した楽曲。


   7 マナの力 ― 邂逅 ―
今夜、もし全ての月が消えたとしても
ストーレの闇の中、誰も信じられなくなったとしても
明夜(あした)は静かに訪れる

月の真昼に咲いた一輪の花
名も知らぬその花に
哀しみと名前を付けようか
歓びと名前を付けようか
花が枯れてこの世界から消えてしまっても
わたしはその名を忘れずにいよう
その命の輝きを胸に刻んでいたいから

静かに訪れる 明夜(あした)への希望
遠い旅路への道しるべ
わたしの中で咲き続けるその花を
あなたに捧げよう

月の空を飛ぶ一羽の小鳥
名も知らぬその鳥に
憧れという名前を付けようか
希望という名前を付けようか
小鳥は飛び去りやがては命も尽きるけれど
わたしはその名を忘れずにいよう
その澄んだ響きをわたしの中に刻みたいから

静かに訪れる 明夜(あした)への希望
遥かな旅路への道しるべ
わたしの心を照らす澄んだ歌声を
あなたに捧げよう

今夜、もし全ての月が消えたとしても
ストーレの闇の中、誰も信じられなくなったとしても
明夜(あした)は静かに訪れる

わたしは笑おう、あの花のように
わたしは歌おう、あの小鳥のように
未知の 明夜(あした)と長い旅路を行くあなたに
この歌を捧げよう

※ アスタリア第三の都市ムルルアの劇場での公演で生演奏された、シェリンの歌う“ 星界の天使(エトラム・バード)”の楽曲。


第三章 混沌の無意識は模索する
   5 アルティマの海(Ⅱ)
シェーラ・リム・アルジーカ
シェーム・リム・アルジーカ
プレーゼ・ドゥ・レ・メサージュ・ミア・ジェーレ
トル・ミア・ユジューネ・ダ・モーレ
トル・ミア・ユジューネ・デ・トゥレ・ディーナ
コーム・トル・レ・トローム・メナーム……
(意味)
  陽光の虹に咲く沙羅の花よ
  月光の虹に咲く沙羅の花よ
  どうか私の想いを伝えておくれ
  私の愛しいあの人に
  私の愛するふるさとに
  安らかな夢訪れますように……

※ 事象分析局の巨大人工知能アルティマの膨大な情報の海に溺れるロウギ・セトの遠い記憶の中で、惑星セナンの二重の虹が架かるナーランの谷の遺跡でエルリーダが歌った祈りの唄。なので、エラーラ語ではなく、惑星セナンの古代語です。


 第3章までの詩歌は以上になります。ボツ原稿のものとほぼ同じなのですが、書籍化の際に少し手直しし、今回も少しだけ手直ししました。

   **********

 さて、総集編と資料の併せて6回を終了しました。
 参照資料である登場人物編、用語・地名編は、以前作った資料を推敲すればよく、詩歌編はコピー&ペーストすればよいので楽でしたが、総集編1~3は、粗筋をまとめるだけなのに思っていたよりも苦労して、新しくエピソードを書く時の4~5倍の時間と労力を要してしまいました。
 ご活用頂けましたら嬉しいです。m(_ _)m

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