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褒賞の品を考えよう!

 基本的にどの世界でも管理者や管理補佐が神として祀られれているのだが、中には神族なんて存在をわざわざ創っている管理者も存在した。
 その神族は管理者ほどではないが能力が高く、神と崇められるだけの強さを持った種族であったが、その世界では相対的に他の存在が弱く創られてもいた。
 神族の位置づけとしては、管理者のダミーというか代行だろうか。管理者や管理補佐が表に出ない代わりに、神族を前に出して世界を操る。
 一応神族にもある程度の権限を与えて世界の管理もやらせていたようだが、その権限は管理補佐より大きく劣る。故にその世界の管理者は、怠け者の管理者なのか、それとも変わり物の管理者なのか判断に困るところ。
 さて、その神族だが、何故だかハードゥスに流れ着いてきた。神族はそれなりに能力が高いので、穴に落ちるという可能性は他の被造物よりも更に低いはずなのだが。
「………………どう扱ったものか」
 報告を受けたれいは、どうしようかと思案する。元の世界では能力の高い神族でも、ハードゥスでは精々が中堅下位ぐらいでしかない。それに神族というのはその特性上、選ばれた種族だという認識をしている者が多いらしく、往々にして傲慢になる場合が多いと聞く。どう考えてもトラブルの元になりかねないが、その辺りは力関係をはっきりさせれば幾らかは和らぐかもしれない。
「………………そう上手くいきますかね?」
 れいは頭に浮かんだその考えに、無理そうだと判断する。だが、このまま消すというのは信条に反する。であればどうすればいいか。それを考えたれいは、わざと反抗させて処分するといういつもの作戦を決行することにした。成功率はそこそこなので、確実性は乏しいが。
 とはいえ、仮に失敗しても問題はない。ハードゥスでは中堅下位ぐらいとはいえ、神族は最初から能力があるので、人手不足のところも多いハードゥスなら探せば何かしらの仕事があるだろう。
 それに、神族は傲慢な傾向があるというだけで、全ての神族がそうだというわけでもない。まぁ、漂着した人物を事前に調べて神族らしい性格をしているのは確認済みなのだが。元の世界でも相当上下関係というのを気にしていたようで、自分が上でなければ気が済まないという性格をしていたようだ。つまり、色々考えたところで、反抗させて処分しよう作戦はほぼ確実に成功するだろうという話。
 というわけで、それをネメシスに預けて後を任せる。エイビスでもいいのだが、ネメシスとエイビスだとネメシスの方が外見的に少し幼く見えるようなので、より成功率を上げるためだ。
 そうした報告を処理した後、れいは北の森の方へと向かうことにする。久しぶりに魔木と語らおうというのもあるが、そろそろ褒賞用の果実を補充しておきたかったから。褒賞用の果実は便利過ぎて、つい多用してしまったのだ。そして、今後も別の何かが出来るまでは多用することだろう。
「………………選択肢は多い方がいいでしょうからね」
 北の森に向かいながら、他に何か用意出来るだろうかとれいは考える。褒賞用なのであまり性能は高くない方がいいが、それでも使い勝手がいい方が渡しやすい。
 それでいながら消耗品なのがよく、しかも代謝がいい方が連発しやすい。そういった条件に当てはまるモノがいいのだが、やはりそうなると食べ物のような手軽な消耗品がいいのだろう。その点から考えても、褒賞用の果実は実に使い勝手がいいのだから。
「………………しかし、褒賞の品が全て食料品というのもどうなんでしょう?」
 食料品のような手軽なモノが理想とはいえ、幾つも種類を用意して、中には長く愛用できるようなモノがあってもいいかもしれない。連発は出来ないが、記念には残る。むしろ記念に残すことを念頭に、実用性を排してもいいかもしれない。
「………………そういう選択肢があってもいいですね」
 褒賞メダルとか褒賞トロフィーとかのような、実用性の乏しい記念品というのもいいだろう。何だったら引換券でも渡して、褒賞品を自由に選ばせてもいい。引換券を多く集めればより質の高い褒賞と交換できるというのにすれば、褒美に引換券を渡すだけで済むという方法もある。
「………………いや、それはどうなのでしょう?」
 そこまで考えたところで、れいは何となくそれを実行したら末期なような気になってきた。それをやるぐらいであれば、褒賞メダルのようなモノを褒美に渡して、それを集めて交換も出来るぐらいがギリギリではないだろうか。メダルであれば、それだけでも記念品になり得るのだから。
 そんなことを考えている内に魔木の許に到着した。まずは挨拶を済ませてから、早速褒賞用の果実の作製を依頼する。
 それらが終わった後、れいは今し方考えていたことを魔木に話てみた。魔木は結構永い歳月を生きているうえに、色々な情報を持っているので、相談相手としても最適であった。それに魔木は元々別の世界に居たので、別の価値観も理解しているのも丁度いい。
 話を聞いた魔木は考えるように沈黙する。その間、れいは魔木から貰った魔木の実を食べて待つ。
 少しして、考えが纏まったのか魔木は自分なりの見解を述べていく。それによると、褒賞の種類を増やすのは賛成らしい。ただ、今ぐらいに気軽に褒賞を渡すのであれば、もう少し褒賞品の質を下げてもいいのではないか、という意見だった。
 それを受けて、れいもなるほどと納得する。
 確かに現状は褒賞用の果実ぐらいしか気軽に渡せるモノが無いのでしょうがないが、それでも褒賞用の果実も意外と性能が高い。それに、ただの回復系にまで効能が落ちているとはいえ、そこまで無理するような仕事をれいは管理補佐達に回していなかった。つまりは現状では宝の持ち腐れという部分もあった。
 それであれば、そこそこの性能の武具でも渡して、管理補佐が自身の部下や管理している人や魔物などに褒美として下賜出来るような品の方が喜ばれるのではないか、という考えも魔木は語る。褒賞の品は何も渡した相手で終わるばかりではなく、それを更に下のモノに渡して再利用させるという方法もあるのだと。
 それを聞いて、れいもなるほどと納得する。それは知識としてはあったものの、その辺りはあまり気にしていなかった。管理補佐の補佐という存在も創造して一部の管理補佐の下に就けているし、管理補佐がれいの代行として管理している人や魔物なども居るのだから、そういう使い方の方が需要はあるかもしれない。つまり、管理補佐が褒賞として下げ渡す際に使用する褒賞用の品を渡すという手法。
 その辺りを考えたれいは、そちら方面も考えてみることにした。その方面で全ての管理補佐をカバー出来るわけではないので、褒賞を下げ渡す相手が居ない管理補佐用にも別に考えていく。
 その日はその話で一日が過ぎていったが、れいにとっては充実した話し合いとなった。

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