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 結局、仕方がなく私が教えながら作ることになった。
私は、丁重にやり方を教えていく。

「衣は、こんな感じにするとサクサクに揚がります。
それで……揚げ方なんですが」

「へぇ~なるほど」

 感心しながら作り方を聞いてくれるのだが、この人。
何でこんなに至近距離で聞いてくるの?
 あまりにも引っ付いてくるので、ちょっと困ってしまう。

「あの……もう少し離れてもらえませんか?」

「えっ?あぁ、ごめんなさい。私ったら
話を聞く時……人に近付く癖かあるのよ」

 フフッ……と笑いながら離れてくれた。
そうなんですか……?
 私だからいいけど、これが男性にやったら絶対に自分に気があるのだと勘違いされそうだ。

 まさか、普段から癖になるぐらいやっているとか……?
男を落とすために。いや、考え過ぎかしら。
 すると沙夜さんは、私に……。

「ねぇ宮下さんは、不知火君の部下なのね?
本当に……それだけ?」

えっ……?

「そうですが。それ意外何もありませんよ?
何を仰りたいのかが分からないのですが?」

 何を言いたいのだろうか?
変な言い方をしてくるのでちょっとムッとした。

「フフッ……急に変な事を聞いてごめんなさい。
 不知火君が異性の子と仲良くしているのって珍しいから気になっちゃって。
 ほら、不知火君って見た目が怖くて不器用だから女の子達にも怖がられるのよね。
異性でまともに話をする人って私しか居なかったのよね」

……確かに課長は、異性に怖がられるだろうな。
 異性だけではなく同性の人にも怖がられているけど。
それよりも“私にしか”って言ったわよね?今……。
 自分は、特別よとマウントされているみたいで、何だか余計に気に障った。

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