バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

ハードゥスの現状報告

 世界は無数に存在する。その分様々な存在が創造されているので、かなり多種多様であった。
 そんな様々な世界の坩堝であるハードゥスには本当に様々な種族がおり、見ているだけでも飽きがこないかもしれないほど。
 とりあえず、知性があり文化の担い手となれる存在を纏めて人と総称し、そこから見た目や種族特有の能力などよって呼び方が細分化していく。
 ハードゥスはそうした世界なのだが、他の世界にはその世界の常識や価値観があるので、漂着者によるトラブルは勿論存在する。中には元の世界では敵とされていた種族が共存していたり、奴隷階級だった存在もハードゥスでは普通に生活していたりで色々と揉めたものだ。もっとも、それが大きくなることはなかったが。何故かと言えば、あまりに騒ぎが大きくなりそうになると、決まってネメシスやエイビスをはじめとした管理補佐達が現れてその揉め事を処理していくから。
 それで分かった者はまだ賢くハードゥスで生きられるし、分からせられた者もまだハードゥスで生きられる。しかし、中にはそれでも理解出来ない愚か者というのが一定数いるようで、騒動の後は多少人口が減ることもあった。その分平和になるので誰も気にしないが。
 それだけ多様な世界なだけに、一部では魔物の中でも知性があって共存可能な存在は人とされている場合もあった。そういった物達は魔人と呼称される。
 魔人は別に存在する魔族と混同されることもあるが、この二つは完全に別物だ。魔人は人とされる魔物で、魔族は魔法の適正が極めて高い人である。
 そういった者達の価値観も組み合わさり、ハードゥスという世界は構築されていく。れいはそれを傍観するのみで、何も言うつもりはない。れいは基本的に世界の保全ぐらいにしか興味がないのだから。
 その辺りは主に管理補佐達が担当しているが、管理補佐としても多様性は歓迎すべきことだろう。そもそも答えなどないような話なわけだし。
 とはいえ、実験的に集めている種族を絞っている大陸も存在しているので、一概に管理補佐達が寛容というわけではない。れいは他の世界の知識も管理補佐達に提供しているので、それも参考にされている。
 まともな航海ではなかったとはいえ、少し前に初めて大陸を移動した者達が居たが、残念ながらその者達は途中で魔物に襲われるか、毒性の有る食べ物を食べてしまい終わっている。多少は期待されていただけに、その大陸になんら爪痕が残せない結果は残念であった。
 現在のハードゥス全大陸の造船技術では、まだそこまで遠くまで行くことは難しい。海にも魔物は居るし、波も荒い。それでもれいが船の設計図を流したことで大分進歩したのだ。後は時を待つばかり。
 戦争の方は一つの大陸でしか起こっていなかったが、最近そこまではいかなくとも、紛争程度の小競り合いは他の大陸でも勃発していた。それを文明が進んで欲望が増したというべきか、それとも順調に各地で文明が育っているとみるべきかは意見が分かれるところ。
 魔物の方は住み分けが大分済んでしまったようで、新しい魔物を投入しても、そこまで大きな争いに発展しなかった。むしろ領域に侵入してくる人との争いの方が激化している。
 植物は地味な侵食と外への拡張を繰り広げているが、動きが地味なのでかなり時間が掛かる。
 今のところ一番平和なのは海の中かもしれない。海の中は広いので、食物連鎖以外では争いらしい争いはあまり起きないようだ。
 そういうわけで、各地の管理は今のところ問題ないようで、管理補佐達の予定通りに発展を続けている。

しおり