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第八十四話

「はい。主には新事業の展開、事務所設備拡張、人材雇用、部門整理等です。細部を煮詰める必要はありますが」


「よし分かった! お前に任せる! 投資提案書がまとまったら俺に持ってこい」


「承知しました」


扇で舞い踊っている社長は、ぽんぽこたぬきそっくりだ。


俺は分からないように、背中でガッツポーズをした。


あの脳味噌ピーマンな社長でも分かるぐらいの利益を上げるため、今日までメンバーと闘ってきたのだ。


そして今日、遂に俺の提案が受け入れられたんだ! 


俺はやったんだ!


社長も興奮冷めやらぬ様子だ。


「これは凄いことだ! 遂に……遂にオーリーズも、上場企業の仲間入りを果たすのかぁ!? ウィルソン、社員全員に伝えておけ! 

今日は俺のおごりで打ち上げにいくぞ!」





***************

——同日19:00。


「よし、みんな揃ったな!」


社長がビールの入ったジョッキを片手に、居酒屋の掘りごたつへ座る社員たちを見回した。


「今期のオーリーズは、利益が過去最高を記録した! なんと1億円だ!」


社員からも自然と拍手が上がる。


「マジかよ!」と叫んだのは広瀬だ。


「そこで、今後のことを考えて事務所を大きくしようと考えている。

まあ詳細はまだ決まってないが……とにかく、会社はこれから更なる躍進を遂げる! 

皆にも、心機一転頑張ってもらいたい!」


「社長! 挨拶はいいから早く乾杯しましょうよー!」

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