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第七話

もっとマシな娯楽はないものかと、ジャケットの右ポケットから携帯を取り出した。


youtubeにアップロードされている動画の中から、俺の興味を引くものはないだろうか。


…………と、以前俺がプロデュースした番組がまとめ動画として再編・アップされているのを見つけた。


それとほぼ同時に、元上司の菅沼部長から解雇通告を言い渡された記憶が芋づる式に引き出される。


「……あの腰抜けが」


己が手掛けた番組であろうと、もはや見ようという気は一切起こらなかった。


プロデューサーとしてきらめいていた時代は終わったのだ。


終わったものからは新しい発見は得られない。


これは35年間生きてきた人生の教訓だ。


そのまま画面をスクロールして、適当な麻雀の動画を再生する。


2分ほど見ていたが、大して面白くもない。


スーツをハンガーにかけて部屋着に着替え、そのままソファに転がりこむ。


「ふー…………」


仕事場での無駄な疲労感のせいか、自然と眉間に皺が寄る。


両親にはまだ転職したことは伝えていない。


AV業界で働く人間への世間の風当たりは強いからだ。


両親もきっと大反対するだろう。


そして「今の英語教室を継げ」と言ってくるに違いない。


終わったのだと言い聞かせても、やはり数年前に抱いていた報道への情熱はまだ捨てきれていない自分がいる。


カメラに写したいと思うようなモノと出会うには、今の職場ではあまりにも可能性が低すぎた。


(俺は……、ここで朽ち果てていくんだろうか…………)

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