バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

第六話

********************

電車で揺られること15分。


やっと自宅に戻ると、パソコンの入ったカバンをソファへ乱暴に放り投げ、冷蔵庫からキンキンに冷えた発泡酒をひっつかんだ。


フタを開け、ぐっと一気に喉へ流し込む。




以前住んでいた高級マンションは失業してから売り払い、現在は薄暗い灯りが明滅する安アパートを借りて生活している。


1Kで月額3万円と、かなりの格安だ。


しかし値段の割に部屋はそこそこ綺麗なので、綺麗好きの俺にとってはそれだけが救いだった。


適当に出来合いのつまみを皿に移し、テレビの前に座る。


偽物のビール片手にテレビをつけるが、どれも興味を惹かれるものはない。


部屋の作業机に置いているラジオの電源を入れてみるが、恋だの愛だのくだらない相談ごとばかりで、酒で発散したはずのフラストレーションが再び蓄積されていくのを感じる。




「続いて、ペンネーム『彼氏の靴下が臭い』さんからです」


ペンネームから既に彼氏の悪口か。


「『1ヶ月前から遠距離の彼と連絡が取れなくなりました。彼と会って話しをしたら、「好きな人が出来た。ごめん」と言われ、鼻先で扉を閉じられました。立ち直るにはどうしたらいいでしょうか?』とのこと。

……うーん、長瀬さん、これはちょっと酷いですよね」


「いやぁ、もうちょっと断り方っていうものがあるでしょー。でもこれみんなに言えることだけど、新しい恋を見つけるしか失恋の傷は癒せないから。マジで!」


コメントが酷すぎる。


それが出来るなら、そもそもこのコーナーへ応募したりはしないだろうが。


ストレスが最高潮に達し、俺はラジオの電源をぶち切った。

しおり