04
「何を言っている。これぐらいで休憩をするとか、たるんでるぞ!?」
そう言うとギロッと睨んでくるではないか。
そう言っても私は、登山経験がない素人なんですから無茶言わないで下さいよ!
大体真剣に登山しているのは、私達ぐらいですよ?
私は、心の中でそうツッコんだ。
周りを見るとほどよくカップルが出てきている人達は、登るのをそっちのけで一緒に写真を撮ったりしていた。
休憩しながらお喋りをしていたりいいムードになっている人も……。それもそのはずだ。
これは、登山が目的じゃなくて、あくまでも婚活だ!
相手を見つけるのが目的なのに、真剣に登ってどうするのよ!?
「課長……これは、婚活ですよ?
登山する前に相手を見つけた方が……」
「馬鹿者。目的も何もここでは、登るのがルールだ。
まともに1つの事がやれない奴が異性にうつつを抜かしてどうする!?
そんなのたるんでいる証拠だ。真面目にやれ」
何故だか説教をされてしまう。
課長……本来の目的が違う。今やってるのは、婚活だ!
課長は、そうしたいのかもしれないけど、私まで巻き込まないで下さいよ!?
もう疲れもあり余計にイライラしてしまう。
「なら、先に行って下さいよ。
私は、後ろからゆっくりと行きますから」
もう……付き合ってられない。
「お前なぁ~!!」
ますますお怒りモードになる課長だった。
な、何よ……私は、好きで課長と登山をやりに来た訳じゃないもん。
ムスッと頬を膨らませていると課長は、ハァッと深く吐いてきた。
「勝手にしろ」と言うとさっさと行ってしまった。
ちょっと、本当に置いて行かないでよ!?
どんどん離れて行く課長に慌てて追いかけた。
「ま、待って下さいってば」
早く行って欲しいと思うが、いざ離れられると不安になってきた。1人にしないで!!
足が重くてなかなか上手く前に進まない。
そんなに怒ることないじゃない。
フラフラしていたら足元が躓き転けてしまった。
「キャアッ!?」
地面に叩きつけられる。痛い……。