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「何を言っている。これぐらいで休憩をするとか、たるんでるぞ!?」

そう言うとギロッと睨んでくるではないか。
 そう言っても私は、登山経験がない素人なんですから無茶言わないで下さいよ!
 大体真剣に登山しているのは、私達ぐらいですよ?
私は、心の中でそうツッコんだ。

 周りを見るとほどよくカップルが出てきている人達は、登るのをそっちのけで一緒に写真を撮ったりしていた。
 休憩しながらお喋りをしていたりいいムードになっている人も……。それもそのはずだ。
 これは、登山が目的じゃなくて、あくまでも婚活だ!
相手を見つけるのが目的なのに、真剣に登ってどうするのよ!?

「課長……これは、婚活ですよ?
登山する前に相手を見つけた方が……」

「馬鹿者。目的も何もここでは、登るのがルールだ。
 まともに1つの事がやれない奴が異性にうつつを抜かしてどうする!?
 そんなのたるんでいる証拠だ。真面目にやれ」

 何故だか説教をされてしまう。
課長……本来の目的が違う。今やってるのは、婚活だ!
 課長は、そうしたいのかもしれないけど、私まで巻き込まないで下さいよ!?
 もう疲れもあり余計にイライラしてしまう。

「なら、先に行って下さいよ。
私は、後ろからゆっくりと行きますから」

 もう……付き合ってられない。

「お前なぁ~!!」

ますますお怒りモードになる課長だった。
 な、何よ……私は、好きで課長と登山をやりに来た訳じゃないもん。
 ムスッと頬を膨らませていると課長は、ハァッと深く吐いてきた。
 「勝手にしろ」と言うとさっさと行ってしまった。

 ちょっと、本当に置いて行かないでよ!?
どんどん離れて行く課長に慌てて追いかけた。

「ま、待って下さいってば」

 早く行って欲しいと思うが、いざ離れられると不安になってきた。1人にしないで!!
 足が重くてなかなか上手く前に進まない。
そんなに怒ることないじゃない。
フラフラしていたら足元が躓き転けてしまった。

「キャアッ!?」

地面に叩きつけられる。痛い……。

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