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3 旅立ちの後ヒロイン登場

 
挿絵


アヤトはマーベリックが作ってくれた質素なスープを飲みながらマーベリックに質問をする。

「探検家って結局何するんだ?」

「まずは年に一度開かれる試験に合格して探検家同盟に登録し、新たに発見した土地や情報を売って報酬を手に入れるのってのがメジャーだな。」

「なるほど」

「その為には、未解の地に潜むあらゆる危険に対応出来る戦闘力と知識を身に付けねぇと、だが今年の試験は4ヵ月後、時間が足りねぇな」

「でも来年もあるんだろ?」

「めんどくせぇよ!」

「え?」

「何で一年以上も、お前の面倒見なきゃならねぇ」

「そんな......」

この世界で俺が頼れるのは、おっさんしかいねぇのに......。

「とは言っても俺も暇だしな。お前がのたれ死んでも目覚めが悪い、だから......3ヵ月で何とかするぞ!」

3ヶ月っ⁉︎俺に出来るの? でも......やるしかねぇ......それ以外に生きていく術はねぇんだ......

「で? 修行はいつから始める?」

いつもの様に煽る様にそう言ったマーベリックを見てアヤトは覚悟を決める。

「今日からだっ‼︎」

2人は修行のため小屋の外に出た。

「ほとんどの探検家は、テクニックというものを使って戦闘をするんだが」

「前にも言ってたけど、そのテクニックって何なんだ?」

アヤトは寒さに凍えながらマーベリックに尋ねる。

「魔術 妖術 そんな異能力をまとめて、テクニックと呼ぶ」

やっぱりそう言うのが普通に存在するのか。

「おっさんは、どんなテクニックを使うんだ?」

「俺が使うテクニックは......錬金術だっ‼︎」

そう言いつつマーベリックは金属製の小屋に手を叩きつける。 その瞬間鉄が変形し針の様に伸びた。

「すげぇな......錬金術か......」

「知ってるのか? マイナーなテクニックのはずだが......まぁいい、錬金術で出来る事は二つ、一つは今見せた金属の変形、もう一つは......金属を他の金属に変化させる事だ。

そう言うと変形させた針の先端が別の金属に変化した。

「おー! すげーな......どーやってんだ?」

「鉄を操るのに必要なのは、イメージだ」

「イメージ?」

「そうだイメージに必要なのは情報だ、例えばこの金属は、アルミニウムと言う金属で凄く軽い。それ以外にも手触りや匂い、味なんかも情報だ」

マーベリックはそう言いながら金属を、手の平サイズの球体に変化されてその鉄球を手に持つ。

「そう言う様々な情報を元に、その金属がどう変化するのかをイメージすると......」 

手に持った鉄球は手錠型に変形する。

「どう言う原理だよ」

「テクニックってのは、基本体内エネルギーを操るんだ。魔術なんかだとマナと呼ばれている。だがまぁ、そこは深く理解しなくていい」

「なるほど〜分からん!」

「まずは、アルミを操れる様になって見せろ。話はそれからだ!」

それからと言うもの俺は、かなり危険な修行をやらされて、人生2度目の死に直面しつつ、ギリギリ 何とか 修行を乗り切り......

2ヵ月後

「おー、似合ってるじゃねぇか。俺の若い頃にそっくりだぜ?」

マーベリックのお下がり探検服を着たアヤトを見てマーベリックはいつも通り煽る様にそう言った。

「うるせぇ! 早く行くぞっ!」

そう言ってアヤトはソリに乗り込む。 そしてソリは海岸に向け走り出す。

「この3ヵ月で、テクニックの基礎だけは教えたつもりだ。だが始めにも言ったが、探検家に必要なのは、戦闘力と知識だ。知識に関しては何一つ教えてねぇ、何とかしろ」

「適当な事言ってんじゃねーよ」

「適当上等! まともな奴が弟子を、猛獣の前に放り出すかよっ ハッハッハッハッハッ」

俺がどんな思いしたか知らずに、爆笑しやがって......

「笑い事じゃねーよ」

「アヤトついたぞ、見ろよアレ」

「船?」

海岸には金属で加工された小型ボートが繋がれている。

「これは?」

「俺はもうこの大陸を離れる気はねぇからな、その船やるよ」

「でも俺、船の操縦なんてできねぇぞ?」

「この船の一部は金属加工がされている。だからテクニックで操縦出来るんだよ」

「でも地図とかは?」

「お前は運がいい、ここから南に1週間進めば、ゲートアイランドがある。そこが試験会場だ!」

本当に操縦出来んのか?

不安な気持ちを持ちつつ船に乗り込む。すると陸からマーベリックが俺に向けて何かを投げ、それをキャッチする。それは方位磁石の様な形状だ。

「それを見て進め! 食料もある程度積んである! せいぜい死ぬなよ〜」

そう言ってマーベリックは俺に手を振る。

「縁起でもねーよ! いろいろ世話になった......ありがとう! じゃーなマーベリック!」

「おう」

マーベリックと言う有一甘えられる存在と離れる事を不安に思いながらもそれを表に出さない様にしてアヤトは船に触れてテクニックを発動する。

「船全体の金属を感じる......」

アヤトは船底の金属製プロペラを回転させて、船を出す。


壁の中から来た人間......か......
いつかお前は、世界を左右するほどの選択を迫られるだろう......その時は迷うな! 迷わず進め‼︎




1週間と5日後......

海に鳴り響くアヤトの腹。
そして空腹のあまり船で倒れ込むアヤト。

食料が無くなってまる2日。あのおっさんケチりやがったな......

その直後船に何かがぶつかった様な音と衝撃が響く。

「うわぁッ! 何だ?」

アヤトが顔を上げ確認するとボートの船首が大きな帆船に突き刺さっていた。

「あっヤバ......」

「テメー‼︎」

船の上から明らかにヤバそうな男が降りてきた。

「何してくれてんだ! 海賊に手出してただで済むと思ってんのか?」

そう言って男はアヤトに剣を向けた。

「すいません! わざとじゃなくて!」

「お前を船長に引き合わす。 そこで金目の物でも渡せば、たすかるかもな〜」

「鉄はいくらでもあるんです。これで何とかっ」

アヤトはとっさに船中の金属をテクニックで引き寄せる。 

「ヒィッ! テメェがテクニシャン⁉︎」

男は怯えた様子で、船に戻っていった。

何だあの反応...... テクニシャンとか言ってたけど、もしかしてテクニック使えるのってスゲェのか?

「フフフッ、ハーッハッハッハッハッ あのチンピラどもから、食料でもいただくか......」

自信が湧いてきたアヤトは船を登る。

「誰かいねーのかー?」

アヤトはとりあえず一番近くにある扉を開けて見る。すると様々な食料が散らばっている。

食料庫発見っ!
久しぶりの食べ物......じゅるりっ

「何だテメェッ!!」

「あっ......」

突然男が食料庫に入ってきた。それに驚いてアヤトは貪り食っていたリンゴを落としてしまう。

派手なピアスに背負った剣、めちゃくちゃ怖え〜
待て待て俺はテクニシャン、怯える事は無いはずだ。

アヤトは恐怖を抑え込み、自信満々にこう言った。

「これは脅しじゃねぇが、俺はテクニシャンだ。それでお願いなんだが......食料分けてくれよ」

「断る!」

そう言うとピアス男は指を鳴らす。
すると手が発火し、その直後アヤトに向かって火柱が飛んで来た!

「ヤバッ!」

考える暇も無くアヤトは持っていた鉄球を極限まで薄く引き伸ばし防御するが、炎の勢いが強すぎて引き伸ばした鉄板ごとアヤトは壁に押し潰され、気絶する。

「コイツは、錬金術師だ。石の檻にでも入れとけ」

「はいプライド船長!」

アヤトは下っ端海賊に引きずられ、檻が並んだ部屋の石の檻に閉じ込められる。

「大人しくしてろよ!」

調子に乗りすぎた...... どっかの異世界転生物じゃねんだぞ。

それより、あのピアス野郎もテクニシャンか。テクニシャンってそんなに珍しくないじゃんか......

グルルル〜

隣の檻から腹の音が聞こえる。

「あんた大丈夫?」

「お腹空いて死にそ〜誰か知らないけど、たすけてよ〜」

そこには美しいブロンドヘアーの美女がへたりこんでいる。

めちゃくちゃ可愛い! それにあの胸!あんなデケェの初めて見たぞ! 
待て待て、そんな事よりあの尖った耳は、ファンタジー物お決まりのエルフじゃねーか?

あっそうだ。

アヤトはさっきくすくすねておいたリンゴをポケットから取り出して格子越しに渡す。

「食料庫にあったリンゴだ、やるよ」

「食べ物〜」

女の子は嬉しそうにリンゴを食べる。

「美味しい!」

「あのピアス野郎、何者か知ってる?」

アヤトは久しぶりの女子との会話に緊張しながら尋ねる。

「多分海賊だと思う」

「海賊ね〜君は何でここに居るの?」

そう聞くと、彼女は恥ずかしそうにこう答える。

「お腹すいて倒れてた時に捕まったの。君は?」

「俺はその〜 調子に乗っちまって......」

「ふーん、よく分かんないけど まぁいいや」

そう言った後その女の子はアヤトに向かって手をかざす。
すると水が飛び出し彼女が入っている檻とアヤトが入る檻を刃物の様に切断した。
その刃物の様な水しぶきは、アヤトの髪をかすめる。

「何やってんのっ‼︎」

アヤトの声は裏返る。

「行くよっ」

「何処に⁉︎」

彼女は振り返りながら笑顔でこう言った。

「ここじゃない何処かに!」

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