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自分の手に重ねられた華奢な手をぎゅっと握りしめると、アレックスは「じゃあ、こちらへ」と真理の手を引いた。

明らかにまた動揺している彼女にくくっと嬉しくなり笑う。

離す気はさらさらなく、そのまま手を繋ぐと歩き出した。

エスコートの範疇を超えてるのは分かっているが、アレックスはわざと真理の無知さに漬け込むことにしたのだ。

恐らく彼女はどこまでがエスコートかも分からず迷っているだろう。
この手を振り払って良いものか、不敬にならないかなど、大人しく繋がれるのがエスコートなのか、色々心の中で葛藤してる様子が伝わってきて、そんな様子が愛らしい。

もう、ダメだな・・・。

アレックスは完全に自分の中の感情に気づいていた。
命の恩人かどうかというよりも、清楚なのに戦地に行く勇気を持っている彼女に一目惚れしていた。

彼女が【ハロルド】だと気づいた瞬間から、会ったことのない彼女に恋していたのかもしれない。

いや、あの塹壕で頭を抱きしめてもらった時からか。

彼女が瞳をキラキラさせながら、自分が案内する場所を見つめる横顔から視線を外せない。

いずれにしても、今アレックスは目の前の女性に夢中になり始めていた。

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