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海中迷宮設置についての考察

 地下と塔以外の新しいタイプのダンジョンクリエーターが見つかった。別に流れ着いたわけではないが、最近何処かの世界で創られたようだ。ただし。
「………………洞窟型、いえ地上型と総称した方がいいのでしょうか?」
 れいがそれについてポツリと零す。そう、見つかったのは地上にダンジョンを構築するタイプのダンジョンクリエーターだった。
 そのダンジョンは、洞窟のように壁や山の中に作られたり、突然平原の只中に巨大な岩山として現れたりと様々な形態をしている。ただ共通するのは、地上に入り口となるオブジェクトが出現するということと、必要とする敷地がかなり広いということだろうか。つまりは、れいの求めるモノとは真逆の性質を持っているということなので、流れ着いてきたら大変困ってしまうタイプ。
「………………まぁ、存在する世界はまだ少ないようですし、その世界は今のところ安定しているようなので問題なさそうですが。周辺環境も良好のようですね」
 地上タイプのダンジョンクリエーターが存在している世界を観察したれいは、現在のところは問題ないようだと結論を出す。その後、地上タイプのダンジョンクリエーターを確認したれいは、ふと海中では迷宮は創れないのだろうかと考える。
「………………ダンジョンクリエーターが迷宮の作製に入るまでに死なせなければ問題なさそうですが」
 ダンジョンクリエーターが創る地下迷宮は、時空を歪めて異空間に作製しているようなので、その下準備の段階までダンジョンクリエーターを護れれば、海の中でも迷宮の作製は可能だろう。問題は、そこを誰が攻略するのかという部分だが。
 現在のハードゥスでは、最初から海の近くに町を創った場合を除き、そもそも海まで辿り着けた者が存在しない。魔物の一部は辿り着けても、海生生物でもないかぎり海の中に潜ろうとはしないだろう。
 では、海中で生きている魔物達なら攻略出来るかと考えると、答えは否だろう。迷宮まで辿り着くのに海の中を進まなければならないとしても、迷宮内まで水没しているとは限らない。この辺りはダンジョンクリエーター次第なので何とも言えないが。
 そんな状況で攻略可能な者など、れいや管理補佐やラオーネ達を除けば、残念ながら存在しないだろう。つまりは攻略不能の迷宮となる。将来的には辿り着けるようになるかもしれないが、そこまで待てば結構育ってしまっているだろう。
 迷宮と地上を繋げる道を創ってもいいがともれいは考えるが、それではあまり意味の無い気もした。元々地下型の迷宮はそこそこの土地しか必要としていないので、道を繋げても多少の節約にしかならない。
「………………いえ、道を集約すればより狭い土地で問題なくなり、海中も地上と同じように使用可能に? いえ、それでも限度はありますね。海中は海中で地面が必要ですし。ふむ」
 れいは塔型の迷宮の成長を見守りながら、今後の運営について考えてみる。在庫がいくら増えようとももう気にしないことにしたのだが、それでも消費出来るならそうしたいところではあった。
「………………もっとも、ある程度は余力は残しておかなければ、ダンジョンクリエーターとは別の何かが大量にやってきた時に困ってしまいますが」
 悩ましげな響きを僅かに声音に載せて、れいはどうしたものかと考える。最終手段として、漂着物を集めた一角の領域を拡張させるという方法もあるが、最終手段はあくまでも最後の手段。いずれ必要になってくるだろうが、それをするのは今ではない。
「………………前回結構拡張したと思ったのですがね」
 以前手狭になった一角の範囲を大きく広げて、海の形を変えたり、別の大陸を創ってみたりしたことがあった。その後に時と共にまた手狭になったので新しい大陸を追加したりして、また一角の範囲を拡げていた。
 その前回でもかなり大きく拡げておいたのだが、今回はそれからそれほど経過していないというのにもう手狭になってきている。原因は考えずとも大量に流れ着いてきたダンジョンクリエーター。今は設置した数を減らす方向で動いているので、直に土地も空いてまた広くなるだろう。
 れいが観察している塔型のダンジョンは、成長して今では入り口が出現している。れいが設定している制限の影響で成長が鈍く、あまり急激な成長は望めないが、それでも目的としては入り口が出来ればとりあえず達成と言えた。
「………………ここに誰かが到達するのはいつになるのでしょうね」
 現在は迷宮を減らす方向に動いているとはいえ、塔型のダンジョンはもう少し動かさないままでいようとれいは考えている。成長具合と入り口の規模の拡大速度が分かればもう用は無いが。
 ただ、塔型のダンジョンを設置した迷宮大陸はまだまだ発展途上で、最近やっと生まれたばかりの地下迷宮を一つ攻略出来たばかり。そんな場所にあって、塔型のダンジョンを設置したのはそこそこの奥地。
 町の近くに大量の迷宮があるので発展は早いと思われるが、それでも数百年は塔型の在る奥地には届かないだろう。もっとも、何処かで強力な存在が流れ着けばその限りではないのだろうが。その場合の配置はネメシスとエイビスに任せているので、それでもれいは大人しく傍観を決め込むのだった。

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