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ふるさと町とは2

 ふるさと町は自然に恵まれているものの、利便性については改善すべき点が多い。

 一つ目の改善点に挙げられるのは病院の少なさ。ふるさと町内に存在するのは内科、外科、歯医者のみとなっている。耳鼻科、皮膚科などを利用したい場合、片道一時間以上を要するところまで車を走らせなければならない。通院するだけで、莫大な時間を消耗する。

 地方の人であっても、気軽に診察を受けられるようにオンライン診察を行っている病院もある。ただ、初診は受診しなくてはならないとルールで定められている。一度目から利用可能だとすれば、地方の人にとって大きなメリットになりえた。

 オンライン診察を導入している病院は、設備の整った都心部に集中。ふるさと町から通院し、自宅に戻ってきたときには日は暮れていると思われる。苦痛な旅行を強いられることとなるため、現実的とはいえない。往復三時間くらいかかったとしても、車を走らせたほうがいい。

 病院の少なさもさることながら、入院するための施設も確保されていない。一番近いところにあるのは、車で片道三〇分くらい要する、「自然の里の入院施設」というちっぽけな建物。必要最小限の設備すら整っておらず、大病院と比べると見劣りする。共同部屋は一昔前の時代を見ているかのようだ。

 二つ目の改善点に挙げられるのは食料店の少なさ。町内に数えるほどしかなく、地区によっては店が一件もないこともある。生活の基盤となる食べ物を置いていないのは、致命的だ。
数が少ないだけでなく、恐ろしいほど品揃えは悪い。お菓子を例にあげるなら、ポテトチップスは塩味、とんがりコーンも定番のものを置いてあるのみ。唯一、アイスクリームはそれなりの数
を誇るものの、そればかりを購入する客なんていない。

 インスタントラーメンは醤油味のどんべえ、チキンラーメン、塩ラーメン、味噌ラーメン、ワンタンくらいかな。

 総菜については原則として置かれていない。生鮮食品を購入し、自宅で調理するのを義務付けられる。

 都会のように安売りされているわけではない。原則として定価で販売されており、ポテトチップスの値段がインフレしているかのようだ。都会の値段を知っていると、とても手を出せるようなレベルとは言い難い。

 飲料水も当然のように、定価販売となっている。1.5リットル入りのポカリスエットは税込で340円。都会では200円前後となっているだけに、ぼったくりのような印象を受ける。こちらが正規の値段だとしても、受け入れられる人は少ないのではなかろうか。

 品揃え、価格が最低レベルのふるさと町で輝きを放っているのはローソン。二四時間営業ではないものの、ふるさと町の救世主となっている。

 ローソンを誘致するまでには紆余曲折があった。ふるさと町は人口4000人の小さな町であるうえ、建物と建物が離れている。一番多い地区の人口は400人に満たないため、客を呼ぶのは難しい。

 利益をあげられない場所で、好んで営業しようとする経営者は皆無だ。企業は利益を上げるために存在するのであって、ボランティア活動を行うわけではない。

 コンビニ誘致の話は破綻になりかけるも、町長が巧みな話術を使い続けたことで、最終的に交渉はまとまった。コンビニを建てるにあたって、ふるさと町が建設費を全額負担する条件がついていた。

 都会の人間にとってコンビニは高い、商品ぞろえがスーパーより悪いということで、深夜以外の利用を控える傾向にある。大吉も大学時代で都会に出ていたときは、低下で売られているコンビニではなく、値段の安いスーパーを利用していた。

 ふるさと町においては、たった一つのコンビニに長蛇の列を作ることも珍しくない。地域柄、店は非常に少なく、地区によっては一件もないところもある。そのような場所において、コンビニは貴重な存在だった。

 定価販売についても、さほど気にしない。地区によっては店を開いているところはあるものの、値段は原則としてメーカーの小売希望価格。都会みたいな価格競争は起こっていない。

 文房具を入手できるのは、地方においては貴重だった。ペン、ノートなどを買い求める客は多く、売り切れとなることも珍しくない。トイレットペーパー、ティッシュ、マスクといった生活必需品ならわからなくもないけど、ボールペンが売り切れるなんて前代未聞だ。

 手数料を取られるにもかかわらず、銀行のATMも大活躍している。買い物をしたついでに、お金をおろしていく顧客は多い。郵便局まで車を走らせる手間を省けるため、重宝されている。三〇〇円の手数料を取られたとしても、ガソリン代、時間を節約できるので総合的にプラスとなる。

 ジャンプ、サンデー、マガジンといったコミックは当日完売が当たり前。小学生、中学生などによって買い占められる。

 ローソン以外で、本を売っている店は町内に一軒しか存在しない。本屋といえるのは怪しいくらい、品揃えは非常に悪い。ベストセラーになった小説のみを置いているため、目的のタイトルを探し当てるのは至難の業だ。ジャンプ、サンデー、マガジンといった週刊誌は置いていない。
本屋にないものを買い求める場合、インターネットによる注文となる。当日に届くことはないため、都心部の人と比べて二日ほど遅れることになる。

 自然には恵まれているものの、生活環境は改善の余地がある。ふるさと町は一言でいえば完全な田舎だ。

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