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素敵なバレンタイン

 日々お仕事をし、なんだかんだと二月になった。
 今日はバレンタイン。
 和樹さんや兄たち、手伝ってくれていた人が交代となり、別の部隊の人が手伝いに来るようになったみたいだった。岡崎が一人になったから岡崎さんと呼ばれるのかなあ、と思っていたんだけど、結局は紫音ちゃんで落ち着いてしまったのか、そのままになっている。

「紫音ちゃん、よかったらどうぞ」
「え、いいんですか?」
「うん」

 今日はすごく寒くて、チヌークを見ずにお弁当を食べて休憩をしている時、大山さんと田中さんが顔を出して、チョコレートプリンをくれたのだ。

「私も用意してくればよかったです……」
「うーん、そこはほら、私たちはもらえないからね……」
「ですよね……」

 そうなのだ。自衛官は一般の人からもらったらいけないらしい。
 だから用意しても、受け取ってくれないこともある。というか、ほとんどの場合、受け取ってくれない。
 そう聞いていたから持ってこなかったというのもある。
 まあ、私と和樹さんが付き合っているってバレちゃったから、今度和樹さんに渡してってお願いしようと思ってる。自衛官からもらう分にはいいみたいだし。
 兄でもいいんだけど、そこはまだバレてないから、持って行ってもらうわけにはいかないしね。……金本さんとか、木村さんは気づいてるっぽいけど。

 それはともかく、いただいたプリンはとっても美味しかった。ご飯を食べたあとは少しだけ目を瞑って時間を潰し、午後の食器洗いへと行く。それが終わると一時間眠って身体を休め、午後の掃除を頑張った。
 和樹さんも今日はお仕事をしているから、待ち合わせは七時半だ。去年の暮れに行ったレストランを予約してくれているとかで、そこで待ち合わせている。
 仕事が終わってから一度家に帰り、夕飯はいらないと父に告げて出かける。もちろん、出かける前に父にチョコを贈ったよ。
 昂兄は昨日うちに来たからその時に渡したし、翔兄や姉には今日届くように宅配をお願いしてある。喜んでくれるといいなあ。
 といっても、作ることはできないので、買ったものなんだけどね。

 で、待ち合わせ場所のレストランに向かって歩いていたら、声をかけられた。そっちを見たら、和樹さんだった。

「先に行って待ってようと思ってたのに」
「それは私も同じですよ。いっつも和樹さんに勝てないですもん」
「ははっ! そこは職業柄、仕方ないな」
「む~」

 なぜか待ち合わせをすると、必ずと言っていいほど和樹さんが先にいる。私が先に待ってたのって、本当に片手で足りちゃうくらいなのだ。
 むーむーと唸っていたら和樹さんに笑われたので、溜息をついて一緒に歩く。すぐにお店に着き、和樹さんが名前を告げて、席に案内された。
 席は偶然にも、前回来た時と同じ席。
 食事はバレンタインメニューがあるそうで和樹さんはそれを頼んでいてくれたらしく、メニューを渡されることはなかった。そして時間も指定していたようで、すぐに料理が運ばれてくる。

「わ~、美味しそう!」
「ほんとだ。じゃあ、食べようか」
「はい!」

 いただきますをする前にスマホで写真を撮って、料理を食べる。今日は二人とも同じメニューでハンバーグなんだけど、ハンバーグはなんとハートの形をしたものが二個あったのだ。
 しかも、備え付けられている人参などの野菜もハート型になっていて、なんとも可愛い。
 食べるのが勿体無いと思いつつ、全てを食べる。そしてデザートはアイスだったんだけど、そこに飾られていたチョコもハートになっていて、それも写真に撮ってから食べた。

「う~、お腹いっぱい……」
「俺もお腹いっぱいだよ……」

 そんな話から雑談をしつつ、いつチョコを渡そうか考える。
 そしてお店を出ると、そのまま和樹さんちに連れて行かれたので、そこで渡すことにした。

「えっと……和樹さん、いつもありがとう。大好き」
「……ありがとう」

 市販ので申し訳ないと思いつつ、買ったチョコを一言添えて渡す。珍しく和樹さんが照れていたので、私も照れてしまって、二人して無言になってしまった。

「紫音……今日はゴム無しで抱いていいか?」
「……はい」

 いつもはスキンをして抱いてくれる和樹さん。だけど、珍しくそんなことを聞いてきた。確実じゃないけど、今日は安全日だったから頷くと、和樹さんはキスをしてきた。

 抱かれるのは二週間ぶりだけど、いつもと同じキス、いつもと同じ愛撫。だけど、今日は和樹さんが興奮していたのかいつも以上に優しく、時には激しく抱かれた。
 私もいつも以上に感じてしまい、和樹さんにしがみついてひたすら声をあげ、翻弄されっぱなしだった。


 こんなにも素敵な、熱い夜のバレンタイン。


 それはとても心に残る思い出のバレンタインとなった。

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