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異常

「……… は?」

累は衝撃波パンチを打った後、目を丸くしながら硬直していた。理由は二つ、一つは更地と化した状態を見て、更地にしたのは咲だったのかと言う可能性と、もう一つは無傷で騎士団長擬きが何ごとも無く立っていた事だった。頭が真っ白になりながらもどうにか状況を飲み込もうとするが考えれば考える程混乱していった。騎士団長擬きは一歩一歩近づいてくるが累の目には入ってはいなかった。後二歩ほどと言う所で累の背後から氷柱が飛んできて騎士団長擬きの武器を弾き飛ばし、累は消えた。

 「大丈夫? 何か大きな音したから来たけど、更地にする位の攻撃で生きてるなんて無茶苦茶だね、確かに入ってたら私達死んでだかも、そう言う事なら先に言ってよ、ね」
「……」
「後は私達がやるからココにいて、終わったら又来るから、無理しないで」

 ニーナはそう言い残すと瞬間移動をして消えた。累は景色が変わったことに気づき空中へ飛び騎士団長擬きに向かっていった。しかし騎士団長擬きは無傷だった筈なのにニーナ達に押されまくり、ヒビまでも入っていた。悪い予想が的中するかもしれない、そう考えた頃には能力を"月"に戻して氷の剣を作り、斥力で突っ込んでいた。剣の間合いに入ると騎士団長擬き以外の人を斥力で弾き飛ばし、一撃で首を跳ね仕留めようとするが、その時には身体のヒビが無くなっており、累の剣は首に半分めり込むも、累の胴は真っ二つに切り裂かれた。

 俺弱過ぎだろ、ズルして咲の力も借りてコレかよ、今から行くのか、絶対行き先地獄だ、そうに違いない。最後に運は、アイツらに味方したか、俺一人の犠牲でもうこの手使えなくなるのは上出来だな、後は頑張って

 この攻撃が最後だとばかりに騎士団長擬きは消えて、使っていた剣だけが残りダンジョン自体消滅した。しかし少し先に別の入り口が有ったが誰も入ろうとしなかった。累はココで意識を無くしていたが、累の口が勝手に"審判"と小さく呟き言い、下半身が上半身に引き寄せられていった。途中で気付いた雄介が下半身を上半身の側に持っていき、累の身体が繋がった。

 「食えない奴だ」
「生きてる、よね?」
「息はしてますし、心音も聞こえます」
「しかしなんて言うか、僕らほとんど何もやってない様な気がする、あの騎士異常に弱かったし、この人本当に敵? 敵ならココまでする義理なんて無いと思うんだけど」
「敵の可能性は低いと思う」
「身体は再生しても、服がボロボロだな、脱がして他の服でもやるか? ソレとも直すか?」
「手袋取ろうとしただけで怒ってたからやめておいた方が良いと思う」
「問題はあの剣だけど、まさかアイツ倒したら剣置いていくなんて、一体何なんだよココ」
「持って帰った方が良いよね」
「触れて取り込まれたりしないよね」


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