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10話〜魔族の王と人間の王。そして動き出す【挿絵】

 ここは魔族領土エクスダール。

 エクスダールはかつて人間と魔族の争いが絶えなかった為、シャインスプラウトの初代王と当時の新しい魔族の王と協定を結び約束ごとを決め、お互い監視をするという事で大規模な範囲に関所がある。

 このエクスダールはシャインスプラウトよりも遥か北北東に位置し、大小まちまちな山がそびえ立ち多種な魔物や魔獣がのびのびと生息している。そして辺りには、色とりどりの草花や木々が生い茂り、多種多様な鳥や虫が生息していて自然豊かな土地だ。

 キリア城はエクスダールの中心部に位置している。


 キリア城の中では魔族の王バルボロス=ミュ=キリアが玉座に座り何かを考えていた。

(フム。さて、ドルマノフ様をこちら側に引き込みたいのだがどうしたらいい?)

 そう考えていると扉が開き大臣オムニデス=デスタが入って来て、バルボロスの前で一礼をし跪いた。

「陛下。シェイナルズ城の者たちが密かに動いている様です。それと先程、我が国の賢者イリス=レイアス様が神からお告げを聞いたとの事」

「なんと!それは、本当なのか。それで、イリスはなんと言っておったのだ?」

「イリス様は、神はこの世界に新たな王となる者が生まれると言われていたとの事です」

「新たな王か……なるほど、その力を利用する事が出来ればシェイナルズに打ち勝つ事も可能になるな。今の内であれば、ドルマノフ様をこちら側に引き込むより容易いかもしれん。それで、それが誰なの分かっておるのか?」

「いえ、そこまでは分からないと言われておりました」

「そうか。そういえば、先程シェイナルズが密かに動いていると言っておったな。まさかとは思うが、向こうの賢者も神からのお告げを聞いたやもしれぬな」

「恐らくはそうかと……」

「そうなるとだが……。その王になる者をシェイナルズに先を越される前に見つけだし、こちら側に引き込もうと思うが。うむ、その事をイリスに詳しく聞きたいと思う。至急イリスを呼んでまいれ!」

「陛下、早急にイリス様を呼んで参ります」

 そう言うとオムニデスは一礼をしイリスの元へと向かった。


 場所は移り、ここはシェイナルズ城。

 この頃の城や城下町はまだそれほど発展などしてはおらず、傭兵ギルドや冒険者ギルドなどに所属する者も数少なかった。

 そしてシェイナルズ城の中では皇帝ラトス=R=シェイナルズが玉座に座り賢者ワイズ=リッジが話をしていた。

【挿絵:桜崎優月様】

 
挿絵


「ワイズ、それは本当か!新たな王が誕生すると神のお告げを聞いたのだな。そうなると、それが誰なのか突き止めないとならぬが」

「その事なのですが。最近このシェイナルズの近辺で、奇妙な事が起こっていたとの情報が入って来ています」

「ほぉ、その奇妙な事とは?」

「それは、主にディクス村の近辺だけで起きていた事なのですが。あり得ないほどの強い魔物や獣が、ここ数年でかなり増え、お告げを聞く数分前だとは思うのですが、村の近くの洞窟内部でキングオーガが現れユリィナ=モルグとマルクス=スタンがその洞窟に入り、ユリィナは助かりマルクスは死んだとの事です」

「なるほど。それで何故ユリィナは助かったのだ?それに何故こんな所にキングオーガがいると言うのだ!」

「それは……私にも何故ここにキングオーガがいるのか分かりません。それと、そのディクス村に住むガルド=フレイという者が、キングオーガを倒しユリィナを助けたらしいとの事です」

「それで、そのガルドはどうなったのだ?」

「ガルドは、かなりの大怪我だったらしいのですが、何故かマルクスの死体を担ぎ村に戻って来たと情報がありました」

「なるほどな……。ワイズ、そのガルドが気になる。そのガルドをここに連れて来る事は可能なのか?」

「はい、神と契約したばかりで、何処の国とも手を結んでいないはず。ですので、可能だと思います」

「そうか。それならば、配下の者にガルドをここに連れて来るように手配をするとしよう」

「それが良いかと。それでは、私は調べ物がありますので、これにて失礼致します」

 そう言うと会釈をし王室図書館に向かった。

 ラトスはそれを確認すると大臣を呼び配下の者達にガルドを連れて来るように命令した。

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