華やかな社交界デビュー!
此処はレオンド王国のお城の大広間。
現在、王家主催のパーティーの真っ最中である。
私、ルシーア・カルドナもお父様に付き添われ参加している。
このパーティーは只のパーティーではなく今年社交界デビューを果たした令息令嬢の御披露目の場でもある。
この国では13歳になれば社交界デビュー、15歳で貴族学院に入り貴族としてのマナーや知識を学び18歳で1人の大人として認められる。
特に私は公爵家の長女として失敗は許されない日だ。
この日の為に家庭教師からダンスやマナーの厳しいレッスンを受け、ドレスもこの日の為にオーダーメイドで作ってもらった特注品だ。
見た目だって13歳にしてはスタイルは良い方だと思う。
「······なのに何で誰も誘ってくれないの?」
思わずポツリと呟いてしまった。
パーティーが始まって1時間が経過、現在私は壁の花状態になっている。
最初はお父様に連れられお父様の知り合いである方々に挨拶をして回り知り合いの令嬢達と仲良く立ち話をしてダンスタイムとなった。
マナーとして男性が誘われダンスをしながらコミュニケーションを取る、好印象であれば婚約の話も出る。
しかし、私は現在全く誘われてはいない。
······あれぇ? おかしいなぁ、ちゃんとアピールしてきたつもりなんだけどなぁ。
私って公爵令嬢だよね?
せっかくレッスンを受けても披露しなければ何も意味がない。
この1時間で何杯ジュースをおかわりしただろうか。
おかげでお腹の調子がちょっと悪い。
私はお父様に断りをいれて一旦パーティー会場を離れトイレへと向かった。
「はぁ~、落ち着くわぁ」
個室の中に入り私は落ち着いていた。
「でも、何で誘われないのかしら······」 まさか、苛め? いやいや、そんな訳がない。
いきなりそんな棘の道なんて歩きたくない。
見た目は豪華だけど内心はかなりの豆腐メンタルなのだ。
さて、出ようかと思った時、ガヤガヤと声がしてきた。
流石に出る訳にはいかないので息を潜ませた。
「今回の社交パーティーは最悪よね」
「えぇ、王女様の婚約者を探すのが本当の目的なのよね」
そういえば、最初に国王様から挨拶があったわね。
『我が娘、ミランダも13歳となり今日がデビューとなった』とか。
「令息だってミランダ王女に群がっていて······、王女様もお困りになってたわよね」
確かにそうだった、ミランダ様は小動物みたいに可愛いし謙虚な方だから男性に囲まれてあたふたしていた。
「可哀想なのはルシーア様よ」
ん? 何でそこで私の名前が出てくるの?
「何でルシーア様が?」
「王族の誰かが貴族全員に『ルシーア様の相手をするな』て密かに伝達していたらしいわよ」
はあああぁぁぁぁっっっっ!?!?
「多分ミランダ様を目立たさせる為にはルシーア様が邪魔だと思ったんじゃないかしら? ルシーア様、美人だし」
「何か変な噂も出てたわよね? 既に婚約者もいる、て」
婚約者っ!? そんなの初耳ですけどっ!?
大声を出したかったけど何とか堪えた。
って言うか人の大事な日に何て事をしてくれたんだ!
話し声が聞こえ無くなっても私は茫然自失となっていた。