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同時に体が左右(さゆう)()られ、それに同期(どうき)して
車内の電灯が一斉(いっせい)明滅(めいめつ)し始めた。

数度の轟音(ごうおん)()れがおさまる(ころ)には、
(あた)りは耳鳴(みみな)りするような静寂(せいじゃく)(つつ)まれていた。

放心(ほうしん)した(よう)静寂(せいじゃく)に支配された世界。

明滅(めいめつ)()(かえ)電灯(でんとう)だけがその鼓動(こどう)(つた)えていた。

やがてその鼓動(こどう)も完全に()み、
(あた)りは非常灯(ひじょうとう)(しゅ)だけが浮かぶ闇に、
飲み込まれていった。

時が止まった様な空間で、動くものはなかった。

ただ1つ、小さなシルエットを(のぞ)いて。

静寂(せいじゃく)に支配された空間に(ただよ)うように、
1人の少女が浮かび上がった。

非常灯(ひじょうとう)合間(あいま)をぬうように(たたず)む少女。

その少女はまるで世界から隔絶(かくぜつ)されたかの(よう)に、
浮かんで見えた。

銀髪を(かざ)るマウス型耳飾(みみかざ)りにディープブルーの(ひとみ)

小さな身体に不釣(ふつ)()いな金属製(きんぞくせい)のバイザー
(目元(めもと)(おお)う様な形の鉢巻(はちまき)(がた)のつばの()いメット)が印象(いんしょう)(てき)だった。

その合間(あいま)から(のぞ)いた瞳が熱を()びた様に熱く、
赤く(きら)めいていた。

僕はその熱気(ねっき)にあてられた(よう)に、
その瞳から目が(はな)せなくなっていた。

少女はそんな僕の存在(そんざい)認識(にんしき)していないように、
僕の前を(とお)りすぎて行く。

肩に乗せたリス型ペットロボが、
チラリと僕を一瞥(いちべつ)した(よう)に感じた。

それはある(しゅ)警戒心(けいかいしん)をのせて。

無論(むろん)ロボットに感情などある(はず)も無いのだが、
ある種の羞恥(しゅうち)がそう見せているだけなのだろうが。

そんな客観的(きゃっかんてき)思考(しこう)は、
(あらた)めて(あた)りの状況(じょうきょう)観察(かんさつ)させるのに充分(じゅうぶん)だった。

ふと向かいに座ったコートの男の、
不振(ふしん)視線(しせん)に気づかせたのだ。

正確(せいかく)にはその視線は自分にではなく、
終始(しゅうし)少女に向けられていたのだが。

その視線からは、
ある種の悪意の様なものを感じさせた。

おもむろに男は立ち上がり、
コートの(うち)ポケットに手を入れ、
そのまま少女に後を追うように歩き始めていた。

その姿は不審(ふしん)をそうきさせるのに充分(じゅうぶん)だった。

いつの()にか僕は立ち上がり、男の後を追っていた。

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