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四章 かさ地蔵(六話)

谷野が着いたときにはヤノは倒れていた。
「大丈夫か!?」
よく見るとヤノは大量の血を流していた。するとヤノは谷野の服を掴み凍えた声で言った。
「1の谷野・・・ここは包囲されている、俺を囮にして逃げろ・・・。」
「でもヤノが!」
するとヤノは言った。
「俺はいい、だけどこれを持っていけ・・・。」
ヤノから不思議な巻物を渡された。その後谷野は笑顔で谷野を見た。
(血を流して苦しいと思うのになんで・・・。)
「行く・・・。」
「ああ、行けそして・・・過去を変えろーー!!」
ヤノは掠れた声でそう言いまた地面に倒れた。
(俺は・・・もう、もう誰も、『殺させない、悲しませない。』そして、戦いを終わらせる。)
目に涙を浮かべた・・・。
(この包囲網を脱出する。とりあえずどうするかだな。)
ここは複数の建物があるが、どれも窓が割れている。一応夜では無いため、見渡しやすいのが有利だった。
(人数が分からないからどう動けばいいか・・・。)
「おーい。」
「うわ!?誰か・・・。」
誰かが谷野の口を塞いだ。
「モゴモゴゴ・・・プハー、びっくりした。」
谷野がいきなり口を塞がれたのでびっくりした。
「びっくりしたのはこっちもですよ。そういえばあなた・・・谷野さん?」
「はい、そうですが。」
「・・・久しぶりです。」
「誰・・・ヤラトラ!?」
「そうです!」
ヤラトラが笑顔でそう言った。
「なんでだ?お前俺と一緒に落ちたはずじゃ・・・。」
「そういうのは、後で説明するから。とりあえずこの包囲網から出よう。」
「わかった。」
ヤラトラ、谷野のパラメーターを決める転生面接の間に向かってる際に階段通路で落ちてしまい死亡扱いになっていた。
(・・・今はそれよりも包囲網から出る方法を探る方法が先だ。現状こちらは俺とヤラトラがいる、ヤラトラがどれほど強いのか気になるが、俺はヤノと実力が半分に分けてある。そして、ヤノがやられた。敵わない・・・。)
谷野が悩んでいる様子をすると、
「どうしたのヤノ?」
「ここまで行くまで何か襲撃にあったか?」
谷野が質問した。
「いや、特には。」
「そうか。」
30分経っても動きはなかった。というよりかはお互いが様子を伺っている様子だった。
「相手動かないな。」
「・・・はい。」
(このままじゃ消耗戦になってしまう、どうすればよいか・・・あっ。)
「雷を降らせるから、離れといて!」
「わかった!」
【詠唱】
魔力を溜めて、
【魔法を生成】
雷が降るのを想像して、
【魔法を発動!】
魔法を放つ!
谷野達から少し離れた所に雷が降った。
(よし、出来た!)
どういうことかと言うと、
(仲間や助けを呼ばないと・・・。)
谷野の選択としては、強行突破、待機、助けを呼ぶ等があった。強行突破はまずない、待機は消耗戦になるのでない。となったら助けを呼ぶしかないので呼んだ。
「・・・やっぱり無理だったのか?ヤラトラごめん。」
「こちらこそ・・・。」
すると、
「助けを呼ぶ声がしたのですが。」
谷野の方を叩いた男は、
「えっ、谷野様・・・。」
黒い服をきた男だった。
「あの、誰ですか?」
「覚えてないのですか!?うーん、私はメラアクと申します。」
メラアクは谷野のわからない様子を見てびっくりした。
「もしかして、あそこに倒れているヤノの知り合いですか?」
谷野がそう言うと。
「それはどういう・・・。」
谷野はメラアクに事の一部始終を説明した。
「なるほど、なら私が守るべきなのは谷野様ですね!」
「そうなるな。」
いきなり風と共に忍者らしき男がそう言った。
「待ってよ、れたん!」
今度は魔法使いらしき女性が一人来た。
「・・・ん?」
谷野は状況が読み込めない様子だった。すると、
「僕は忍者『れたん』。魔法使いらしきのは『キヌラ』、あとから侍が来るんだが名は『カツオブシ』だ。」
「よろしくお願いいたします・・・。」
メラアクは戸惑っている谷野に言った。
「戸惑うのは当たり前だ。しかし今はここを出るのを優先しよう。話はそれからだ。」
「ありがとうございます。」
メラアクは頷くと皆に言った。
「よし、一気に行くぞ!」
「オッケー。」
そのれたんの返事と共に全員一斉に走り出した。目的はあくまでも谷野の生存だ。
しかし、何故こうなったの?皆なんで血を流して倒れているの? 何で皆・・・そうだ。あいつらが攻めて来たんだ。神族とタサだ。神族は神に使える者達のことで、魔族と仲の悪い種族らしい。何故神族が来たかというと、メラアクが魔族だからだ。俺達は魔族を匿ったとして倒しに来たのだ。だが問題はここからだ。タサはこう言った。
「異世界と現世界を繋ぐ扉を沢山作っといたから、谷野さんの仲間が沢山出来るよ!」
タサはそう言うと、
「よし、言うことは言ったから。爆破しよ!」
・・・そしてタサは町全体を爆発させた。
俺が生き残ったのは何故なのか・・・分からないが、間違いなく生かされたと思う。

現世界
「何これ?」
少年達は扉を見つめていた。
「異世界の扉って書いてあるけど。」
『異世界の扉!?行ってみるしかないでしょ!』
「っておい!?」
入った少年が見たのは・・・。
「おい、何だこれ・・・。」
モンスターに食われる人間、死体の山、そして、
「・・・近づくな!近づくなー!!」
少年は泣き叫ぶが声は届かず、
グシャ
少年の首は飛んだ。

異世界
「ねえ谷野さん、この景色綺麗でしょ。」
「・・・。」
「俺は・・・。」

『異世界の扉!?行ってみるしかないでしょ!』
終わり。

『異世界の傘地蔵の破壊衝動が抑えられない!?』
に続く。







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