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旅立ちルビティラと共に


骨怪人を倒した猿渡涼は宝救剣にはめた変身する際に使った石を外す。
すると忽ち元の姿に戻った。

「はぁ、まさか本当に変身するなんてな」

とっさにヒーローショーのキャラクターの名前を名乗っちゃたけど今更後戻りは出来ない。
だって…

「俺…ヒーローのレッドになっちゃったーー!イェーイ!」

涼は飛び上がる!何でもいい俺は本物のヒーローになったんだー!

パチン

「あいた!」

宝石のティラノサウルスがしゃがみ込み小さな手の指でパチンと涼を吹っ飛ばした。

「何すんだよ!」

「ウガァァァ!」

雄叫びを上げる宝石のティラノサウルス。
え?あっち見ろって?
涼は言われた方を向くと襲われていた街の人達が集まっていた。
年老いた老人か俺に向かって手を握ってきた。

「貴方は勇者様だったのですね!」

「ゆ、勇者様?」

何を言われてるんだ??

「伝説にある宝石獣に選ばれし勇者の1人だったのですね!」

「勇者?宝石獣?一体なんの話なんだ?」

街の住人の話では、この世は魔人族と言われる悪魔に支配されているらしく、親玉の魔王を倒す宝石の勇者がいずれ現れると王都で予言があり、それが俺だと言う。

「勇者様!何とぞこの世界をお救いください!」

街の人々は頭を下げる。

「俺は別に勇者ってわけじゃ…」

ヤバイ今になってこれは洒落じゃすまない事態になってしまった事に気付いた…

「勇者様!」

「う…」

後ろを振り向くと宝石のティラノサウルスがギラリと緑の目を光らせている。
「ティラ!」
何だよ!心配ないからイエスと言えって、なんの根拠がある!
つか、何で俺こいつの意図が判るんだ??
「ウガァァァ!」
唸りを上げる宝石のティラノサウルス。

「早くイエスと言えって何を言ってんだよ!」

「おお!勇者様がやって下さるそうだ!」

街のみんなは声を上げ喜び始めた。
おいおいやるなんて言ってないぞ!

「ウガァァァ!」

「こいつの唸り声で聞こえなかったのか…」

してやられた…



涼はとりあえず救った街に今日は泊まる事にした。だが建物はみんな壊されて廃墟みたいになってしまったからほぼ野宿だが。
日は落ちもう暗い。
街の人たちから食事を頂き涼は焚き火の側で食べていた。

「まさか本当にここで戦隊する羽目になるなんてな…お前のせいだぞ」

「フン」

宝石のティラノサウルスは体を休めて座り込んで寝ている。

「なあ、お前名前は?」

「ティラ!」

は?宝石竜ティラノサウルス。これが名前なのか?

「何か長いから、体が赤い宝石だから、ルビーだから…」

流石に何からしい呼び方があった方がいいだろ。

「お前はルビーティラノだ!略してルビティラだ!」
「ティラ…」

何かダサいって…贅沢な恐竜だな…

「ダサくないって、なあルビティラ!」
「ティラ…」

まあ、いいだろうって…しかし何でこいつの意思が伝わってくるんだ?

「ティラ!」

それは勇者の剣のおかげだって?

「あー宝救剣か!納得だ!」
「ティラ!ティラ!」
変な名前付けるなって!頭固い奴だな…ティラノサウルスってこんな頭固い奴だったか?

「ティラ!」
「ん?どうした?」
ルビティラの体が光り、そこから何かを出し俺に渡した。

「これは?俺に渡したのと同じ奴?色が違うが」

ルビティラは勇者石と言っていた。ああ、チェンジストーンか!

「ウガァァァ!」

だから変な名前つけるなって…?え?他にも勇者がいるから探し出せって!
普通は他の仲間が選ぶとかになっているかのどれかじゃないのか?
あ、そうか特撮ドラマじゃないんだよな一様…

「特撮みたいにはいかないか…」

「ティラ??」
何訳わからない事言ってるんだって?

「こっちの話だよ!で、この石に選ばれた人を見つけ出せばいいんだな?」

ルビティラは頷く。

「俺以外のホウキュウジャーか〜ますます特撮だな〜」

涼はそう言うと地面に寝転がる。丸まって寝るんだなアイツ。

「ティラ!」
俺に寄りかかれって?頭固いが中々いい奴じゃないかルビティラ!

涼はルビティラの足元に寄りかかる、体は硬いが何か温かい。
俺は体温が心地よくなり気が付いたらルビティラと一緒に眠ってしまった。



次の朝、街の人たちが簡単な旅の支度と食料と旅の為の路金を少ないが用意してくれた。
俺はそれを受け取るとルビティラと共に街を後にし他の勇者事、ホウキュウジャーを探す為に街を後にした。
ちなみにルビティラは今はこんなサイズだ…

「ティラ!」

おいおい随分小さくなったな…家畜の牛と大差ない大
きさだな。

「お前そんな小さくなれたのか?」

「ティラ!」
パワーを貯める為だから!さいですか…

俺は歩きながら渡された地図を見ている…が正直字は読めない…とりあえずルビティラが亜人の村があると言うから行ってみる事にした。亜人って確か動物の耳とか生やしてる人間みたいな種族だったよな?ゲームではもはや当たり前の多種族ってやつの。
歩き始めて三十分くらいだろうか?村が見えて来た。

「アレか?ルビティラ?」
「ティラ!」
当たりらしい。

よし!そうと決まればあの村でまずは情報収集をだな…
「ウガァァァ!」

ルビティラが唸り声を上げた!

「くっ!て、敵だって!?」

あの亜人の村を魔人族が襲っているのか!

「ウガァァァ!」

グズグズするなって?わかってるって!

俺は急ぎ村へ走る。

「うわ!」

ルビティラが俺を咥えて投げると自信の背に乗せて村へ向かって走る。

速いな!行け行け!


村へ着くと動物の耳や尻尾を生やした人達が魔人族の兵士達に襲われている。

「ここでもか!行くぞルビティラ!」

「ウガァァァ!」

雄叫びを上げるとルビティラは本来の巨大な姿に戻り巨体を生かして兵士達を尻尾や足で蹴散らして回る。

「良いぞルビティラ!」

ルビティラから降りた俺は宝救剣を取り出し変身用の宝石をはめ込む。勇者石(チェンジストーン)だ!
レッド!ザ・武装!

「武装(ぶそう)!」

涼は走りながらホウキュウレッドに変身しそのまま兵士達を斬り倒す。
兵士達が集まり武器を構えて攻撃してきた。
涼はかわしては斬りかわしては斬りを繰り返し兵士達を倒して行く。
あらかた倒した頃お約束の奴が出てくる…

「け、雑魚じゃ駄目か!」

うわ、今度はキノコかよ…キノコ魔人かよ…

「お前がホウキュウジャーとか言うふざけた勇者
か?」

「ふざけてない!」

俺の故郷のヒーローを馬鹿にすんな!

「まあいいや、要件は済んだ!またくるからな!」
キノコ魔人はそう言うと地面に潜り消えた。

「クソ!逃げられたか…」

俺はチェンジストーンを外し元に戻る。
チェンジストーンいいネーミングだ!

「ウガァァァ!」
クソ逃げやがったってまあまあ。

「怒るなルビティラ!しょうがないだろ!」

ルビティラは体を光らせる、よく見たら体が何かパズルみたいに砕けて先ほどの小さいサイズになった。

「そう言う仕掛けだったのか」

まるで俺の世界のクリスタルパズルだな。
まあ体が宝石だからできるのか。

「ん?」

スボンから光が…俺はポケットかは勇者石を取り出すと青とピンクの勇者石が光の糸みたいな細い光を放つ。

「石が反応してる!この村に俺以外のホウキュウジャーがいるのか!」

俺とルビティラは光の方へ歩き、この村にいる勇者を探しはじめた。



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