マリーボローのエミリー・ポポンス

本多ミル

とある国のマリーボローという町に、かの有名な物語の「メアリーポピンズ」にそっくりな銅像がある。ここには、知る人ぞ知るメアリーの双子の姉さんエミリーが、その昔にやっていたメリーズショップというカフェがある。しあわせなピンク色を基調にした、地元の人にも観光客にも愛されるカフェだ。そこは、今は病気がちな孫とその子供のルークとナオミでやっている。しかし、このカフェには秘密があった。すでにこの世にいないエミリーおばあさんが、あちらの世界から銅像を通して、お供のタカの柄の傘を連れて抜け出てきて、毎夜カフェのお菓子や仕込みをしにくるのだ。また、いつもカフェの皆のことを心配しているエミリーは、個々の心のケア―をしていく。竜巻によって親を亡くしひとりぼっちになってしまった少女、友達とどう接していいのかが不安な人見知りのナオミ、ルークの同級生の進路や恋愛の悩み、ルークが敬遠している家出をしていった父親のことなど、様々な困難な問題に一緒に立ち向かう。そして最後に、エミリーは父親と再会したルークとナオミを乗せて、帰り道の大きな川でこぐボートの上で「夜明けのうた」を熱唱するのだ。

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