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はらぺこヴァンパイア  

棗（なつめ）

私の”普通の高校生活”の代償は、家族全員の消えない罪。

かつて普通の女子高生だった三浦梓の日常は、ある夜に突然奪われた。
何者かに襲われ、人の血をすすらねば生きられないヴァンパイアに変えられたのだ。


おなかのすくままに13人を殺し、都市の闇に隠れて一年間生きてきた。
できないことばかりの体に、増えていくのは罪だけだった。


罪の意識と孤独に耐えきれず、梓は衝動的に家のチャイムを鳴らした。
しかしそんな娘を、両親は拒絶しなかった。
「おかえり」と抱きしめ、その罪ごと愛して、守ることを決意した。
娘が夢見る”普通の高校生活”を取り戻すため、警察を騙し、娘を生かすための血を盗む”共犯者”となる道を選んだ。

ヴァンパイアであることを隠し、許されない嘘をいくつも纏って高校生活に臨む梓。
しかし、その人外の美貌は、秘密を覗くある少女の”異常な執着”を引き寄せてしまう。


逃れられない吸血の本能の中で、それでも普通の高校生として生きたいと願う少女と、愛ゆえに罪を犯す家族。
現代の日常に混ざるヴァンパイアと、その存在に身を焦がす人々の織り成す、いびつで切ない正体隠匿系・現代ダークファンタジー。