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『うさがなえ奇譚』(『徒然草』「これも仁和寺の法師」)/ 佐倉アキ
甥の祝いの席で深酒をした主人公が、家にあったウサギの着ぐるみ(頭部のみ)をかぶったところ抜けなってしまう。抜くために試行錯誤しているうちに、主人公は自分の中に、兄へのコンプレックスや甥へ後ろめたさがあることに気づく。それと向き合うことで、ウサギ頭は抜ける。
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『雨よ、雨よ』(『Historien om en Moder』)/ 高橋惠利子
茶トラの猫は、子供たちを生き返らせるために、神の住む場所に辿り着いた。そこに住む神は、まめに花の手入れを行っていた。そこへ、茶トラの猫と同じように子供の命を奪われた人間の母親が訪れる。神は、命からがらたどり着いた母親の願いを聞き入れるどころか、子供の命の花を引き抜いた。
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桃井太郎が研修で出会った3人の女性社員が、三連休を利用して、桃井の住む岡山まで観光にやってきた。甘いものを食べ、お殿様になり、お姫様になり、縁結びの神社をめぐる彼女たちに同行すると、人となりが見えてきた。桃井は彼女たちに親心のような感情を抱く。
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数年前の冬、アリに命を救われたキリギリスは心をすっかり入れ替え、アリと二人で額に汗して働いていた。ある雪の降る夜。アリとキリギリスの住む家に、セミの幼虫が迷い込んできた。凍傷になりかけていたセミの幼虫は、温かいスープをもらって命拾いをする。
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『ロスタディクション』(『それはほとんど少女のよう』『沙羅の花』)/ 和織
記憶覚ましが鳴って、花が咲き、彼女が目を覚ます。僕の糸は絡まない。君はどこへも行かない。何度訊かれても、僕は答えない。それがこの季節を完璧にするから。
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生まれつき醜く生まれた『夜鷹』は、村の皆に蔑まれ冷遇されてきた。中でも最も毛嫌いするのは、村一の美丈夫である『鷹』である。鷹は夜鷹の名の中に己の名が入っていることが我慢ならない。夜鷹を見る度酷い目に遭わせてきた。そんなある日、夜鷹は鷹に待ち伏せられて――。
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髪を伸ばすことを許されないきりこは都へ行くことを夢見ていた。美しく長い髪を持ち、きりこにしか見聞きできない存在の髪長は、願いはずっと抱いていれば叶うものだと諭す。ある夜、髪長を心配し山奥へ入ったきりこは、見慣れた髪が井戸の底へ続いていることに気がつく。
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むかし、犍陀多(カンダタ)という男がいた。悪行の限りをつくし、地獄に堕ちる。そこで犍陀多の想ったことは。
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竹の中で、その子は煩悶していた。自分の股間にぶら下がっているモノに違和感を覚えていたのだ。男の子ではなく、女の子として生まれたい。このままでは自分の描いていた未来がやってこない。お爺さんに竹を切られる直前の物語。
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天国か地獄か。エリート裁判長閻魔のもとに届けられた困難ケース「人魚姫」の裁判に、閻魔は地獄の裁判員制度を採用した。評議に集められた六人のメンバーは各々自分の経験、物語をもとに珍説・奇説を繰り広げる。果たして人魚姫は天国行きか地獄行きか。運命を分かつ評議会に閻魔の採決が光る。
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