バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

 どうして僕は、人間なのだろう。

 ベランダと庭の先客の他にも、家の中には飼っている動物がいる。
 尻尾をぶんぶん振ってよってくる愛犬、居場所から家の中に戻るだけで「おかえり!」と声をかけてくれるインコもいる。

 人間ではない動物は良い。
 人間と違って、目が穢れていない。
 綺麗で澄んだ瞳である。

 どうして僕は、穢れた汚い人間に生まれてしまったのだろうか。
 願わくは僕も人間ではない動物に生まれたかった。

 日に日に人間に嫌気がさしてきたそんな時、いつもと違う先客が庭にいた。
 本物を見るのは初めてで、僕は目を凝らす。

「キツネじゃん……! すごい!」

 思わず声が出た。
 キツネは病気を持っていることもあるらしいと聞くので、遠くから見る。
 キツネも僕に気付いたらしく、見つめてくれた。
 写真や動画で見るそれとは違い、色は真っ白で、そのせいか神々しかった。

しおり