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3月16日

「おはよー。みず!」
「心おはよう。」
 始業式が開け、私達は高校二年生となった。隣にいるのは
松木琴乃葉(まつぎことのは)。中学校から一緒で、同じ美術部だ。
「舞。今日から美術館開けてくれるらしいから、作品見に行かない?」
「もちろん!どんな感じに飾られているか楽しみすぎる!」
 私達に学校には小さな美術館があり、授業で作られた作品や、美術部の作品も飾られている。
「今回は何人ぐらい来るんだろうね!」
「うーん100人くらいは来てほしいな…」
 しかも外部の方々にも見てもらえる日が存在している。その日は、わんさか美術部OB OGや近所の美術館のスタッフさんがたも来てくれる。
 自分が作ったものが飾られること以上に幸せはない。
「そーいやさ、昨日の転校生さ、どんな人?」
 昨日の転校生…?昨日の話を思いだそうとすると、頭が痛くなる。


 監視対象である夕門令(ゆうどれい)の小説を読み初めてから3時間。私は報告書を書いていた。
「夕門はこれまで23話更新を続け、一話の平均字数は1000文字程」
 これを書いていると、から電話がかかってきた。
「えっと…もしもし、ポイント4000もくれたの舞?」
「うん!面白かったよ!明日はレビュー書いて2000ポイントくらいだすかな…」
 なんとか五年で緩い雰囲気の会話は、ありもしない感情を込めて、電話することくらい、しっかり出来るようになっていた。
「めっちゃ誉めてもらって嬉しいよ、ありがとう。」
「ううん、よかったよ。特に最初普通の学園ものをが続くと思ったら、急な異変が続いてさ…」
「そこ!僕もね…!」
 こうして君と物語について語っていられる日々はいつまで続くのだろうか…
 この30年間で経験する初めての暖かさ…
 ただこの国に対して、少し、ほんの少しだけ怒りを持っているだけで、始末人形(デスドール)である私に3年間も監視されてしまうこの世界で、君はどうやって生きていくのか…あと3日見守らせて…

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