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第3章の第92話 どうしようもない問題19



☆彡
【金周りの古い連絡網】
「――ポイントはだいたいわかったかしら? スバル君!?」
「……うん! だいたいね」
話しのポイントは、だいたいわかってきたぞ。
ミシマさんの話は、恥ずかしい書店での話。
ヨシュディアエさんの話は、職業安定所だけど、そこで怪しい電気工事関係の人と設備管理関係の人ととの、何だか癒着がありそうな話だった。
その人達が、ハッキングを仕掛けていたという話だ。
そして、ここに大きく関わってくるのが、そのどうしようもない問題であり、その借金返済の計画の為に、企てた2人ってのが、
そのドクターイリヤマとドクターライセンの2人だった。
僕は、僕たちは、確信を深めるのだった。
「そう、それは良かったわ……」
その少年の言葉を聞き、正直、ホッ、と安堵する姿のクリスティさん。
スバル君から、ポイントを勧められた際、あたしはできるだけ、ポイントをわかりやすくなるように、みんなに説明して、
できるだけ、簡潔にわかりやすく説明したの。
もちろん、妹のサファイアリー、末っ子のエメラルティにも手伝ってもらって。
「……」
「……」「……」
あたしが、その2人に視線を向けると、
コクリ、コクリ
とその2人は頷いて応えてくれたわ。正直、素直に嬉しく思った。
そして、その心の内に去来するは、この感情だった。
(……あたし1人じゃ、上手く言えなかったでしょうね……。それは、またヨーシキワーカさんも、同じ心境だった。
あの時、ヨーシキワーカさんも、これに類似した心境の変化があっていたのかも知れないわね……)
フッ……
とほくそ笑むあたし。
(後は、時間が……人同士の助け合いの和が……、その溝を埋めて、修復して、無事に解決してくれると願って――)
しんみり
とそこには、心底思うあたしがいたの……。
(1人じゃ、決して勝てなかったんだわ……)
――とそこへ。
「――しかし」
「!?」
一同、その声の主に振り返る。
その声の主は、恵ミノルだった。彼は、こう続けるのだった。
「ここまで聞いていると、中々『趣』奥深いな……このどうしようもない問題、特殊集団詐欺事件は……!?」
「そうね……後はそれを決定づけるようなもの……証拠が欲しいわね!」
そう言ってきたのは、彼の妻、恵アヤネさんだったわ。
これには一同、
コクリ
と頷き得る姿があったのだった。
そして、一拍の静寂な沈黙の間が流れて。
「………………」
――その沈黙を断ち切って見せたのは、彼の妻アヤネさんだった。
「――あっ! そう言えば、その怪しい人とヨシュディアエさんの話の中にあったあれは!?」
「あれ!?」
「ええ、こう言ったじゃない――」

――所変わって、ヨシュディアエさんサイドでは。
『――えーとこれは……なんて書いてあると……!? さすがに小さくて、読み難いんだけど……?』
『まだ向こうにいる時に、俺たちもそうして見せてもらったものを、コピーして持ってきたんだが……さすがに読み辛いよなぁ?』
『もう、小さくて、こっちの方にまだ突き出してくれないと、さすがに読み難いわよ……』
『……わかった。じゃあ、要点だけ掴んでいる俺の方から、勝手に言わせてもらうからな?』
『ええ、そっちの方が助かるし、いいでしょうね?』
『うしッ、じゃあまず……。あいつはあの後、あそこのあの職業訓練校であった事を、もう一度、思い出そうとして、ここに書いたんだ』
『まだあったの!?』
これにはあたしも驚いたわ。
あなたはこう言うの。
『あぁ、実はあの後、まだあっていたみたいなんだよ……。
あの逝かれた講師が、出入り口付近で立ち話があってな……。
そこであいつは、『金まわりのいい話』と、そうした『古い連絡網』の話をした事があってたみたいなんだよ……。
そこを俺たちの電気屋関係の連中が、またそうして『連絡網』を取り次いで回っていって、『辿って』たんだわ……。
今あそこにいる奴のその時の奴等に、それを見せて、それを聞き出してな?
その言質を取って回っていたんだ……まぁ2、3人ぐらいは、そうした現場を見たと言っていた奴がいたぐらいなんだぞッ。
良くそんな事、覚えていたな――ってあいつ等も感心してて驚いていたぐらいだからな?』
『えっ? そんな話あり得るとねぇ?』
『まったく、とんでもないぞあいつ……ッ。それが有り得てていたんだよ、こっちも今ビックリこいたさ』
『ハァ……すごっ……』
『うん……』
『その話は、あっちの人達が前にそうやって、見せに着てくれた話もあるけんね……?』
『あぁ、やっぱり、1日出遅れた感じかぁ……』
それは、この一週間の間に、数えるほど起きていた出来事だったわ……。
それを見せに来てくれてた子はね、実はあなただけじゃないのよ……それ知ってた?
フゥ……

「――考えみるに、この逝かれた爺という表現は、ドクターイリヤマを指し、出入り口のドア付近に立っていたのよね!?」
「!」
「その話をしてくれる!?」
「……フッ、わかったわ――」
そう、クリスティ(あたし)は、了承の意を返すのだった。


★彡
【その職業訓練校時代 12月のほぼ修了日】
【個人情報を本校で預かると言いながら、どうしようもない問題を私利私欲目的で利用し、その情報を他へ流出してしまった不祥事案件】
――それは、生徒達に配られたプリントから始まり、そこにサインの記入が求められるものだったという。
(何だこれ!?)
それは複数枚のプリント用紙がまとめられたものだった。
声を発してきたのは、教壇に立ったイリヤマ先生だった。
『そこに皆さんのご実家の『電話番号』や『住所』、『親子関係』や、『その人の勤め先』まで書くように。
また、わかっている範囲であれば、ご自身の『腕時計型携帯端末(フューチャーウォッチ)』や、
後できれば、『Eメールアドレス』なんかも、今配ったものの中に書き足していくように!
できるだけ、詳細にわかりやすくまとめて!』
『……』
それは、強面の医学講師ドクターイリヤマ氏の発言だった。丁重さも、何も感じられない……。
上からの圧力に思えてくる。
(これに書けってのか……!?)
ホントにこの人は、人に教えを諭す類の先生なのかどうか、疑いたくなってくる。
俺(私)は、そのプリント用紙に目を向けるのだった。
それは複数枚あったんだ。
まさかそれで、個人情報の流出や、親子関係を後で探りを入れる為だとは、思わなかったんだ……ッ。
そのイリヤマ先生は、続けてこう言ってきたんだ。
『その用紙は、後でこちらで回収し、『本校』にて『預からせて』いただきます!』
ザワザワ
そこには、さすがに不審がる一部の生徒達がいたんだ。
『何でそんな事するんですか!?』
『前のところでは、こんな事なかったですよ!?』
『さすがに変じゃないんですかーッ!?』
『俺のところでも、さすがにこんなものなかったぞ!?』
『こんなのここに入ってから、さすがにこんなのもあると、今初めて知ったばかりとぞ!?』
と次々と上がっていく生徒たちの声があった。
だが……、それを一蹴したのも、またイリヤマ先生だった。
『あぁ、何も心配する必要はないとぞお前達ッ!! そこに別に『深い意味』なんてないからなァ!!』
『……』
『……』
その一部生徒達も、俺(私)も、一瞬不信がったものだ。
だが、そのキレのある上手い言い回しにより、それはさも、さざ波が、搔き消えていくものだった。
『それは、その会社を出た時の話だろう!? 何だろう!?
だがここは、学ぶところの学校であって、
そーゆう義務教育の一環が、俺というか、ここに務めてらっしゃる本校の講師たち、それこそ全員に課せられているんだ!!』
『……』
訝しげる生徒達、
自分達生徒たち一同は、思い想いを胸に、わだかまりを秘め、その手にペンを持ち、サインを走らせる。
イリヤマ先生は、続けてこうも言ったんだ。
『俺たちも、ここの教職員としての立場として雇われている以上、この学校からの申しつけには逆らえず、
黙って従う形になっているんだ!!』
『……』
『その分じゃお前達、ここを出て行った後、向こうの方で相当苦労するばかりだぞ!?
ハァ……。何度も言っていると思うがな……!?
俺はそんな連中を、ここで何度も見てきたんだからな!!
つべこべ言わず、黙ってそれに書けッ!! ……わかったな!?』
『……』
それは、完全に上からの圧力。
教職員という権力にものを言わせた感じのもので、そう圧制の類だった。
『………………?』
書面にサインを走らせていく俺(私)。
――その時だった。それは、さも何かの様子に気がついたイリヤマ先生が、不振がり、胸のうちに怒りを秘め、別の生徒の所へ歩み寄る姿だったんだ。
そこで聴こえてきたのは、こんな会話の内容だった。
『――……何でこんな事しないといけないんですか!?』
『……お前、うちの『教育方針』に、何か文句あっとや!?』
『ムッ……! その事情をお聞かせ願えないと、こっちとしても、何だか乗り気がしませんよ!? なんかイリヤマ先生、朝からおかしくないですか――ッ!?』
『……よーしわかった! じゃあ、お前、後でうちの職員室の方へ来い!!
そこで義務的うちの教育方針ってやつを、周りの先生方と伺いながら、その身に力づくで叩き込んでやっからな!!
おいっ、お前、逃げるなよ!?』
『別に……ぃ、ここから逃げようだなんて、ちっとも思ってませんよ?』
『……』
そう、言い包め、イリヤマ先生は、教壇の方へ歩み寄っていくのだった。
(パワハラ、ハラスメント講師め……)
俺(私)は、そう思ったものだった。


――過去から現在に返り、こう問いかけてきたのは、スバル君だったわ。
「――パワハラ……ハラスメントって!?」
それについて答えるのは、クリスティさんだ。
「パワハラとは、例えば学校や職場などの立場を利用して、生徒や労働者に対して、業務の適正範囲を超えた叱責や嫌がらせをする、行為を指すものよ!
このドクターイリヤマの性格はね。まさにパワハラし易い人の傾向にあって。
1.自己中心的かつ独善的!
2.プライドが高い!
3.完璧主義者! 大きくこの3つが該当するのよ!」
これにはスバル君を推しても。
「へぇ~……そうなんだぁ……フ~ン……他には?」
続きが気になるみたいね。だから、クリスティ(あたし)はこう言ったの。
「それは、4.根性論者! 体育体系!
続いて、5.他の人達に責任を押し付けるような思考が強い人!
他には、6.話の流れ次第で、前に言った言動が、コロコロと変わるやつ! 責任逃れ野郎でかつ、言い回しの付け足し言葉により、自分の勝つ流れへ持って行きたがるやつね!
また、7.ストレスをため込みやすい人で、我慢の鬱憤になったら、人や物に当たり散らすやつ! 父(ダッド)のクソ野郎!」
ビシッ
と中指を立てるクリスティさん。
昔からも、そして今も、そのお父さんには鬱憤が溜まっているようだ。
「そして、8.自身の容姿や能力等に、コンプレックスがあるやつ! 自分で改善しろ!! ハァッ、ハァッ」
さすがに、これを見た少年少女達は。
「うわぁ……」
「荒れてるわね……」
「うん……」
これには、質問者のスバル君も、その相槌の声を打ったアユミちゃんも、心なしか引き気味だったわ。
これには、あたしを推しても。
「あの……あんま恐がんないでね……!?」
引き
「うわっ、引いとる!?」
みんなは、そう、仰け反り加減で、クリスティさんから、その一定の距離を置きたいと思ったものだった。
こちらにも、飛び火しないからだ。
「ふぅ……もうっ」
クリスティさんは、そう溜息を零すと、もう何だかそう納得するしかなかったんだ。
だから、こう零すしかなく。
「医者はストレスを溜め込みやすい職場環境にあるからね……。
一度、手術が終わって、冷たい飲み物を飲んでいる時に急患が入ってくるのは、ザラよ?」
「ザラ……」
「ザラ……」
アユミちゃんが、僕が、そう口々に零しくいくと。
「1月1日の新年の年を迎えた日にも、こーゆう話があって、事故車両が舞い込んでくるものだから、
あの日、いったい、何を食べていたのかわかんなくて……。
ねぇ……。4時間にも及び、長丁場の手術が終わって、戻ってきた日には……、……ゴミ箱にそれが棄ててあったわ……」
これには僕もアユミちゃんも。
「「え……!?」
とその声をハモらせたものだった。
で、アユミちゃんから。
「……疲れそう、社会人って……」
そんな同情を買う言葉を交わすのだった。
「だから、ザラなのよ……こんな医者(社会人)の話は……!?」
もうっ
と加減に、クリスティさん(そのお姉さん)は、何だか困った感じの顔をしていて、
こうほっぺにその手を当てがって、ほとほと弱った気味の様子だったんだ……。


★彡
【(続)その職業訓練校時代 12月のほぼ修了日】
【個人情報を本校で預かると言いながら、どうしようもない問題を私利私欲目的で利用し、その情報を他へ流出してしまった不祥事案件】
『――なんか今日、イリヤマ先生、なんかおかしいなぁ~!?』
『あぁ……』
『……』
【――そんな不穏と苛立ちを覚えた会話を、当時の俺(私)は、聞いた覚えがあるものだった……】
【教壇に立ったイリヤマ先生は、みんなの注目の視線を集め、何事かを言っていたものだったんだ】
【――その時だった】
シュイーン
自動ドアの前に人が立ち、自動でそれが開き、
その人が出て行った後、その自動ドアが閉まる。
何だかそれは、反感の意に買った感じで、不穏というか、何だかそうした、ただならない気配を醸し出した素振りだったんだ。
【それは、さっきまで責められていた生徒の1人だったんだ】
【それを見た私は、こう思ったものだ】
【何だかそれは、反感の意に買った感じで、不穏というか、何だかそうした、ただならない気配を醸し出した素振りだったんじゃないかと……!?】
【これには、イリヤマ先生も――】
『――……あいつには、後でキツメに言ってやらんといけんな……周りから……』
『……』
『……』
【――一同、その胸に不安が押し寄せてくるような胸中だったのだろう】
【その後、先生は、今配ったものの中にあったものを、1つ1つ説明していき。その中には――】
『――どうしても就職するのが難しいと思った人は、この本校を出て行った後では――』
『!』
『!?』
【そう、イリヤマ先生が言の葉を告げると】
【その話を聴いていた生徒達と私は、その書いていた意識を浮上させられるものだった】
【その人の話に、聞く耳を立てる】
『お前達をサポートする事も、こっちでは何もできそうにないから、 できるだけお前等1人1人でやるしかない』
『……』
『……』
『もうわかっていると思うがお前達は、親から自立した、ちゃんとした1人前の大人なんだからな!?』
【――と諭しつつ、こう自然な形で、擦り込んできたものだ】
『――だが、それは、いつでも決まって、そうそうできるものでもなく、
時間を追うごとに相当難しくなってくるから……、
そのプリントの中の1枚、上から2番目か3番目に入ってある【人材活躍支援センター 循回 就職支援個別相談会 フレッシュワーク】のプリントが挟まっているだろう!?』
『……』
『……』
その話を聴いていた生徒達や私が、おもむろにそれを調べていく。
手元にあるプリント用紙を調べたところ……、それがあったんだ。
(これか……)
確かにあるな。
イリヤマ先生は、こうも語ったのだった。
『昔からそーゆう生徒達がいるんだが……。
意外と『自分の力だけでは何もできない』ものなんだ……。
良く、その住まい周辺の公共職業安定所に顔出ししては、そこで相談に乗ってくれた職員さんであっても、
意外と中々、次の就職先を探すのが難しくて、にっちもさっちもいかないところがある……。
『雇用保険の失業等給付』も、その時まではいいが……、いつかは滞って、尽きるものだからな……』
『……』
『……』
【――そこへ、上手く上手く、先行きの不安要素を擦り込んできたものだ】
【そこへ介入してくるのが……】
【職業訓練校の就職支援室であり、公共職業安定所の就職相談窓口であったり、さっきのフレッシュワークだったりもする理由(わけ)だ】
【その流れで、必ずと言っていいほど、ドクターイリヤマ達の連絡網に捕まる】
イリヤマ先生は、こうも語るのだった。
『――その話は、向こうの棟にある、そこで働かられている女の人達も心配してくれているところで、
前々から方々を駆けずり回り、そこでいい話を見つけては、そこにあった掲示板に張ってくれていたものなんだ。
それは、職業相談しに行ったお前等も、『身に染みて』、知っているところだよな!?』
『……』
『……』
【そうだ、確かにその通りだ】
【だが、問題はここからだった】
『何でも、そこの就職支援室の先生方も心配してくれていて……。
なんか就職口で困った際があった場合は、いつでも、そこに頼るように……というものだったんだ!
良かったなお前等!?
『国の公共機関』と『密接な関係』のある『職業訓練校(ここ)』へくることができてな!?
こんないい機会のある話、そうそう、『滅多にあるものじゃない』ぞーッ!!?』
『……』
『……ンッ?』
【――何だかそれは、違和感を覚える言葉だったんだ……。そうやって、私達は、知らず知らずのうちに、そう刷り込まられていったんだ……】
【次の共犯者となるべく……】
【その誘いへの暗示めいたものだったんだ……】
『……』
【道理を買おう! それがどうしようもない問題へと通じる、穴だったんだ】
【そのイリヤマ先生の説明は、それは見事なものだった】
【当時の私が、気づかないほど……に』
『……』
【目線を下げると、そこにあったんは、みんなと同じ、複数枚の束ねられたプリント用紙だったんだ】
【みんなの手元にも、同様にそれが配られていて、まさか……それが騙しだなんて、思わなかったんだ……】
『……』
【――それから、イリヤマ先生が謳うは、労いの言葉からだった】
【それは、お世話になったあの人への言葉】
【それが1人ずつ周っていき】
【設備管理科(うち)の班長や副班長、職業支援係の人を、労う言葉となっていく】
【さらに――】

『――オイッ、お前等!』
『!』
『もう、そこにいる就職支援係の者へ回したものに、一言、そのお礼は言ったか!?』
『はい』
『今までありがとうございました』
そう、労いの言葉を掛けてくる生徒達。
そこへ、職業支援係の人が。
『いえいえ、それほど皆さんが思っても見ているほど、こちらはそれほど大変な作業量ではなかったものなんですよ?』
『えっ!? そうなんですか!?』
『ええ、予め、職員の皆さんが、ここにいる皆さんのために、この中にプロファイリングしてあったものを、
ただまとめてあっただけで、実に単純な労働作業だったものなんです。
そこに置かれている机の上に、ただ、デーンと立てかけてあっただけのものなんですからね』
『へぇ~』
『そうだったんだな』
『フフフッ』
その職業支援係の人は、実に簡潔にわかりやすくまとめてくれたものだった。
そして、イリヤマ先生がこう言ってきたんだ。
『よしっ、なら、ここにいる教室全員のグループメール共有は済ませたか!?』
『はい、言われたとおりにバッチリ』
『よしっ、これでもう、こちらからの前準備は、一通り済ませ終えたな!?』
『……え?』
『……こちらから?』
『んっどうしたんだお前達!? そこに何か書かれてあったのか!?』
『……』
『……』
【まさか、これも引っかけだったとは……この時、誰もが、夢にも思わなかったものだ……】
【そして――】

講義中のイリヤマ先生。
その人に注目の視点を向ける生徒たち一同。
【――そこへ、さっき出て行った生徒の1人が戻ってきたのだった】
『――どうだ!? 何か先生達と話し合って、わかったか!?』
『……ええ、後々こっちとしても『困った事』になるんですね!?
後々、周りから責められて、あくまで向こうの会社のものの私物だったから!!
あくまで自分たちは、そこに携わって触っているものでしかなく、その責任なんて負えなくなるからですね!?』
『フンッ!! ようやくわかったか……!!』
席へ向かっていくその生徒を、気配で追う俺(私)。
(私物……会社の私物、設備管理科関係だから……。
あっ、機械メンテナンスの話か……!?
それを壊した事!? その責任が追えなくなるから……!?
……でも、何だって先生達が、そこまで気にかける必要があるんだ……!?
この学校を出て行った生徒さん達まで、眼にかけて……!?)
ガタンッ
と音を立てつつ、不機嫌にも、不承不承とばかりに、その生徒さんは席に座るのだった。
そのイリヤマ先生の心の内では――
(――バ~~カ!!! あくまでそう『見せかける方法』があるんだよ!!
知っているのは内部だけで、お前みたいな気に入らない奴をそこから掴み出した折、
その内部の身内連中の者が、何も知らない外部のものに報せたらどうなる!?
『タイミング』とか『バッチリ合え』ば、『ホントにどうしようもなくなって』きて、
責任問題の話が挙がり、1000万円以上の『損害賠償請求』することが『合法的にまかり通る』んだよ!! バ~~カめッ!!』)
『――!?』
その時、俺(私)は、そのイリヤマ先生の身体が、小刻みに動いてのを見逃さなかったんだ。
その腕から手の甲にかけて、小刻みに打ち震えていたものも。
(……まぁ、裏で誰が糸を引いていたかまでは、さすがに俺ですら、よくはわからないがな……。
だから、黙っていろ、と言ってんだよ!!)
『……』
『……』
【――一同、職員室(そこ)で何があっていたかまでは、まったくと言っていいほど、何もわからないので……】
【ただただ、イリヤマ先生に、その注目の視線を向けるだけだった――】


☆彡
【注目の視線をズラし、これが騙しの講義を開いているんだという疑惑を、払拭させる狙いだった!?】
――過去から現在に返り、クリスティさんは、こう語り部を落とす。
「――実際に、ヨーシキワーカさんは、そーゆう目に会ったものよ!?
そして、これは、あたしの直感に過ぎないけど、『それは示し合わせたものだったのかもしれない』……!」
「どーゆう事!?」
そう、問いかけてきたのは、アヤネさんだったわ。
「簡潔にわかりやすく言うと、年上のヤマグチさんグループに属していた人だったからよ。
もしくは、そのグループ繋がりの人!
それに、謝りに行くべきタイミングが、明らかにおかしかったからよ……!」
これには、アヤネさんも。
「そっかー! だから、講義中の説明中に抜け出せたのね!?
普通の先生ならば、そう言った生徒さんは、『引き留める』はずだから! 他の生徒さん達も、その場にいたんだしーっ!」
とこれにはアユミちゃんも。
「あっそっかーっ! もしくは、『お昼休みの昼の時間帯』にでも、謝りにでも行かせればいいんだからね!? タイミング的におかしいという事か!?」
「そーゆう事よアユミちゃん!」
と、アヤネさんが、アユミちゃん(その娘)を褒めると。
クリスティさんが。
「おそらくその人は、イリヤマ先生などを通じて、特別に気に入られていた3人から、何らかの連絡網のやり取りを受け取っていたんだと思うわ」
「!」
振り返っていく一同の姿。
クリスティ(彼女)は、こう読解を説く。
「そして、こうも言われた。
示し合わせた通り、俺からの話ぶりを聴いていて、反感に買った意の話になれと!
その後は、その教室からなりふり構わず出て行って、
職員室には向かわず、その廊下の方で、10分から20分あたり、ただブラブラとしていろと!
その時、不自然だから、どの先生方の目にも留まる事になるけど、
そこへ歩み寄ってくるは、ライセン先生辺りだった!
後はその人からの話ぶりを聴いて、上手く上手く示し合わせた通りの内容に沿っていけば、
みんなの注目の視線を、巧みにズラすことができるから、
そうした疑問や疑念を、払拭させることができる……って訳よ!」
オオオオオ
これには、一同から歓声が挙がったものだった。
これには、ミノルさんを推しても。
「なるほど……。そーゆう事か……!」
と納得の考えさせられる思いだった。
うん
と頷き得る美人三姉妹。


★彡
【――その注目の視線に感づいた先生は】
フゥ……
と溜息をつき、こう呟きを落とす。
『その配ったプリント用紙のものの中に、
お前達の名前や年齢、誕生日、性別、住所や電話番号、フューチャーウォッチやEメールアドレス、アカウント名義の記載等の話も、もうしただろ!?』
『……』
黙ったままの生徒達。
(なかなか優秀だな……)
俺も小さく頷き得、こう諭す。
『もしも、ここにいるお前等が、その出かていった先の就職口で、『何らかの要因で、不祥事が起こった場合』……。
それは、本校からお前達を育てて送り出した俺達にも、責任の一端があり、
その責任問題のある話を、その被害を受けた先方から、とやかく言われてきた事がある……。
そんな事は、度々、『昔から』あってきていた事なんだ!! ……その為のこれだ!!』
パンパン
とプリント用紙を見せびらかせ、それを叩いて、みんなの注目の視点を集めるイリヤマ先生。
『それが明るみになった際は、ここで教鞭をとっていた先生達であっても、俺であっても、その日の授業を放り出して、その対応に当たるしかない……!』

質問者は、アユミちゃん。
ナレーションの語り手は、クリスティさん。
【――クリスティさん、どうなの!?】
【ドクターイリヤマは、少なくとも、あたしの授業を受け持っていた日には、少なくともそれは、1度として、そんな素振りはみせなかったわ……!】
【それは、どの先生達にしても同じ!!】
【少なくとも、あたしの時には、そうだったわ!】
そして、ヨーシキワーカさんの場合は。
【ヨーシキワーカさんは? どうだったの?】
【!】
そう、声を投げかけてきたのは、スバル君だったわ。
その子に対し、あたしはこう答えたの。
【大丈夫よスバル君! 少なくとも、その年、その職業訓練校の誰もがそこにいて、その様子を見ていたんだけども……】
【その設備管理科の講師陣は、一度として、そんな素振りは見せた事はないわ!】
【ホッ……】
その言葉を聞いて、僕は、胸を撫で下ろす思いだった。
そこへアヤネさんが、ミノルさんが順々にそう告げていくのだった。
【本人が言うなら、少なくとも間違いなさそうね!】
【ああ、そうだな!】

『――当然そうなれば、うちのユニットプログラムにおいても遅れが出てきて……』
チラッ
とイリヤマ先生(俺)は、あっちの校舎のある方角へ、その視線を向ける。
『……あそこの校舎で、配管のねじ切りや、
また、あっちのエアコン空調の取り付け工事をしていたお前等であれば、それはわかると思うが……。
それを急いで、取り戻そうとしても、こっちとしても、相当の苦労がある……ッ!!』
『……』
『それは、その被害を受けた会社も、それ以上であって、
その周りの会社間の動きにも、それ相応の遅れが発生し、出兼ねないんだ……。
たった1人の不始末で、済みませんじゃ、済まされない問題であって、
金で解決できるような、軽い問題じゃない!!
それは委託を請け負ったすべての会社にも言える事で、それは詰まるところ、納期の遅れにも響いてくる……!!
こんなたった1つの事でもな!!』
『……』
『……んっ?』
(なんか違うような……話を変に大げさにしていないか……!?)
俺(私)は、違和感を覚えるのだった……。


☆彡
過去から現在に返り、エメラルティさんがこう読み解いていくのだった。
「――その後、ヨーシキワーカさんが語ってくれてわかったんだけど……どうにも、腑に落ちないのよね……?」
「あの……腑に落ちないとは……?」
そう、言ってきたのはミノルさんだったわ。
それに対し、エメラルティさん(あたし)はこう答えたの。
「ええ、どの企業にしてもそうだけど……例えば、工場(ファクトリー)だとしましょうか!?
雇っている従業員数は、200人以上いて、
その一部の部署から、そうした折り合いの申請の話を、仮にしたとしましょう!」
「……」
部署から、そうした折り合いの申請の話をしたとする。
「その一部の部署の従業員数は、10名以上です!
その中の一人が、ヘマをしても、必ずと言っていいほど『バックアップ体制』ができるほどの『人数が控えて』います!
その応対を、その人達の上の方から指令体制を通し、
協力体制を取っていけば、
事態は、それほど深刻な事態にはならない……!!」
「あっそうかーっ! そうして、被害を未然に防ごうとしてくるんだ。その工場(ファクトリー)は……!?」
そこに勘づく思いのアユミちゃんの姿があったものだわ。
コクリ
と頷き得るエメラルティさん。
エメラルティさん(彼女)は、こう読解の話を読み解いていくのだった。
「そう、『下手に大事にしている』のよ!! そのキライがあるって事!!
これは工務の方にしてもそうで、
どのエンジニアの方にしても言えることなんだけど、
必ず言って良いほど、『バックアップ体制』を敷いておくものよ!!
1人の人間に、あれもこれもそれもどれもと、変に、押し付け過ぎてもいけない!!
わかっている事だけを、頼んでくるものよ!? 『混乱の元』になるからね!?」
「そっかー! ワザとイリヤマ先生達は、その混乱の元を、誘発させようとしたわけなんだね!?
だから、そのヨーシキワーカさんって人に、そもそも連絡を取り次いでいなかったのか! ……なるほどねぇ」
ははぁ~ん
読めてきたわよぉとばかりに、アユミちゃんも、考える人となっていくのだった。
エメラルティさん(彼女)は、こう読解の話を読み解いていくのだった。
「あの人は、それを『度外視』していたのよ!! そうやって変に、『不安を煽って』いたのよ!!】
「……」
ナレーションの語り手は、ヨーシキワーカ。
【――それが、ほぼどの企業に置いても同じで、さも当たり前の事だった】
【まぁ、一概には言えず、その例外も、時として、中にはあるものだが……――】
――エメラルティさんは、こう語り部を落とす。
「――ドクターイリヤマの言葉を借りればね……。
下手に人の心理的外傷、その不安要素を煽り、逆らおうとする気概を削ぐ狙いが、どこかにあったものだったからよ……!
反感に買った形になり、目上の人達に歯向かっていけば、返り討ちに会うのは、必定だったからね……。
当然、その責任も、取らされる形にもなる理由(わけ)。
あの人がやった事は、人の心を掌握した手口にも似ていて、心理カウンセラーや、どこかの宗教法人のようだったことよ……――」


★彡
『――その時には、ここにいるどの先生達にも言える事で、その重い腰を上げて、その対応に機敏に当たらないといけない時がやってくる!
その子の親御さんまで、その会社に呼び出してな!!
後で、ウチから出て行った生徒たちであっても、
それは、本校から出て行った教えを受けた生徒さん達なのであって、
その先方の方と掛け合いつつ、その苦情の処理や、『面子とか体裁を上手いこと取り繕わないといけない』!!
もちろん、そんな事は、周りの会社間の動きにも言えて、
意外と『遠くまで』掛け合わないといけないところがあったりもする……!!
この学び舎を、出て行った後の社会には、それがあるんだ!! ……わかるな!?』
『……』
『……』
そう、世の中の厳しい側面を述べるイリヤマ先生の姿があったのだった。
これには、ここにいた設備管理科のどの生徒達も静まりかえり、
それは、ヨーシキワーカにも、同様に言えた事だった。
そのヨーシキワーカの心の内では。
(なんか、下手に話を大袈裟にしていってるような……キライが……!? しかも故意的に……誘発して、作為的に……何でだ……!?)
疑念、そう、疑問しか浮かばなかった……。


☆彡
過去から現在に返り、ある人の呟きが落とされる。
「――それが極めて、早い段階で起きた場合には、なんか不自然で、おかしな事態だと思わない!? ……あなた達には!?」
「!」
僕達は、あたし達は、私達は振り返っていく。
その声の主、サファイアリーさんだったんだ。
彼女は、こう読解を読み解いていく。
「例えば、ミシマさんとの『3日間の後』で、それが『偶発的に起きてしまった場合』は……!? なんか不自然な話だなぁ……って思わない!?」
そこへ、スバル(僕)が。
「あっそうかーっ!? 会社の面子とか体裁を上手いこと取り繕わないといけないから、周りで、散々までそんな騒ぎまで起こしてから、
その人の注意を引こうとしたんだ!?
その人が、たまたまヨーシキワーカさんって人で、多数決の意に買った話になり、やがては、その人の責任(せい)になっていく……!?」
僕は、その真相に辿り着くんだった。
さらに、サファイアリーさん(彼女)は、こう読み解いていく。
「そうよスバル君!
だから、あの人は、周りから、そう急かせられていて、急げ急げとばかりに、慌てられた対応の変化だったというわ!
そう、変に急かせられていて、動かされていたって事よ!
他ならない、親族の方も通しつつ、お父さんが、お母さんが、弟君たちが、その裏で、なぜか、不自然なやり取りをしていた!!
それが多数決の意に買った話になったって事よ!」
あっ!?
一同、不思議とその解に辿り着くのだった。
これには、スバル君(少年)も、驚きが隠せず、続けてこう語る。
「……う、うん……。しかも、騙されたと後で気づいたら、……借金漬けになってて、安く叩かられる……!?」
さらにそこへ、アユミちゃん(あたし)が。
「そーゆう事かぁ!? なるほどねぇ! そゆ事そゆ事!」
考える思いのアユミちゃんは、もう何だか納得の思いだったわ。
彼女は、こう読み解いていく
「予め問題という体で済ませられるよう、どうしようもない問題の講義を開いていたから。
それは集団の理解を買って、そんな事は、そもそもなかったとする事ができる……!
金周りの話で、それを包んでもらって、『口止め料』をもらったりしちゃってね!
ははぁ~んなるほどね~ぇ!
そうやって、周りで揉み消して回るから、『証拠の隠滅』を図っていた……わけね! ……あっ! なるほどねぇ、そーゆう事か! へぇ~……」
そゆ事そゆ事。
スバル君に続き、アユミちゃんも、理解の色を深めていくのだった。
そこへ、ミノルさんがアヤネさんが。
「完全に『騙しの講義の詐欺』だな!」
「ええ! そうね、あなた! ――それでその人、2,3年間、就職難に陥ってしまったわけね……。可哀そうに……」
その妻アヤネさんの説明を聞き、――夫の恵ミノルさんは、頷き得る思いだった。
そこへ、サファイアリーさんが。
「ええ、そうよ! どう考えてもみても、これは、おかしくて……。
そもそも、その『どうしようもない問題で、一度として勝った人がいない』のに、
『職業訓練校の講師として雇ってもらった』のには、そもそも無理の『矛盾が生じ兼ねない』のよッ!!
つまり、以前からの『悪巧みを仕組んでいた』『グルの共犯者たち』がいて、そこに1枚噛んだ感じの『手前勝手な話』になって、
誰かを騙しつつ、称賛を重ね、そこに付け込んでいったわけね!?」
そこへ、アユミちゃんからの呟きも漏れが。
「まるで、弱い者虐めみたいにね……」
その少女の呟きに気づいたのは、他ならないスバル君(少年)だった。
「……」
その顔を上げて、その少女の独白を呟いた表情を見やる少年。
もの悲しくなっていき、その顔を少年は、少しずつ下げていくのだった。
「……」
「そして、その様子は、その周りにいた他の方々も、それを見ていて、終始もの悲しくも思えたものだった。
「………………」
チラッ
【――とあたしは、今も、斜め後ろのいる少年を見やる】
【当時、スバル君も同様に、その悪い子達に虐めを受けていたのだから……】
(あたしが、護らないといけない……)
【そう、心を強くする思いの少女の姿があったのだ】
【そして、その為には――】
(――知識がいる……)
【そのタイミングが、今、この時だった――】
そんなアユミちゃんの思いをよそに、サファイアリーさん(彼女)は、こう読解を読み解いていくのだった。
「完全に私利私欲目的のためのものであって、職権乱用の手口だったって理由(わけ)よ!」
「!」「!」
振り返る姿のアユミちゃんに、その顔を上げるスバル君の様子。
その胸中は、実に様々だった。
「これが『優秀なイリヤマ先生とライセン先生の企てた手口』であって、
その、相談事に乗ってくれたのが、年端の近いミシマさんだったりもするのよ!」
そう、共謀者は、ミシマさん。
「ライセン先生とミシマさんの2人は、年端も近い事から、
どこかの学校で、偶然にも、その顔合わせしていた可能性もあって、同じゲーム仲間だったと思うの!
これは、隣宅で、なぜかヒソヒソ話が不自然にも挙がっていた事だからね!
そのミシマさんとヨシュディアエさんの2人は、前にも言ったと思うけど、
その親戚か近所付き合いの話が、偶然にも耳に入ってきていたものだったのよ……!」
「……繋がっている訳か、その4人が……!」
「そーゆう事!」
ミノルさんがアヤネさんが、納得の理解の色を深めていく。
サファイアリーさんは、こうも読解を読み解いていくのだった。
「実は、その職業訓練校の中にいる講師たちの中には、以前にもハメられた事が会って、騙されて入った人達もいるのよ!
その『引き換えの条件』か何かで、不当に入って行ったからね!
いわゆる、勧誘であり、『優秀な人材の引き抜き』よ!
ヒットハンティングとも言われてるわね!」
「……」
一同、固唾を飲んで聞く思いだった。
サファイアリーさん(彼女)は、こうも続ける。
「騙しの中に、それとなくそれがあった訳よ!
その人達に、言葉巧みに、騙されて、借金を負い、その話を建て替えてやる代わりに、こちらからの条件を1つ飲め……という!!」
「……」
「そして、他の人達をハメていく……共謀者の苦しみ(ジレンマ)……!
でも、そこには、言葉巧みに、飴と鞭が必要だった。
その為の手段が、新たな共謀者を作っていく事と、新たにお金を包んでいく事だった。
そう、『集団催眠』・『共犯意識』・『飴』の話に繋がるわけよ!」
「……」
そうやって、大人の人達は、言葉巧みに騙された訳だ。
「心の中が、段々と騙されて行って、クスリだと思ったものがドクだった……。
訳がわかんなくなってくるわけよ!?」
「!」
サファイアリーさんは、そう語っていく中で、
その横に立っていたのは、クリスティさんだった。その彼女の反応をも、買ったわけだ。
「クスッ……」
「……」
そう、それは過去、クリスティさんがやらかした不始末だった……。
「……」
「……」
睨み合う両者。
そして、サファイアリーさんは、クリスティさん(そのお姉さん)から視線を切り、僕等に振り向くのだった。
こう読解を読み解いていく。
「それが務めている会社から、職業訓練校への勧誘への『異動手続き』だったって経緯(わけ)!
その人達の中には、少なからず、ハッキングができる、有能な技能を持った人達が控えていた……という恐い話よ~ォ!?」
「……」
恐い話だった。もう二面性だ。
サファイアリーさんは、クリスティさんに対してのものと、僕等に対してのものとで、その顔を2つを持っていたんだった。
「1つは勧誘が成功し、その職業訓練校の講師となる道。
もう1つは借金漬けになり安く叩かられて、その安月給で、昔の会社の戻されて、そこで働かされるって話よ!」
「……」
その話を聞く一同の姿。
「……」
それを目の当たりにしたスバル君(少年)は、こう思ったのだった。
(大人の世界って、卑怯!!)
と。
そこへ、サファイアリーさんが、こうも続けてきて。
「でもね、たった1つの懸念があって……」
「!」
ムッ……
と僕は何だと思ったものだ。
「自分たちは騙されて入ったんだから、『反感の意に買った』わけよ!?
それは『諸刃の剣』に他ならなくて、本当に欲しかったものは、手に入らなかった……って話にもなるの……!」
それは、さも当たり前の話だった。
「誰が騙されて入ったんだから、おめおめと黙っているもんかって話になり、比重が傾いてくるわけよ!?」
そこへ、アユミちゃんが。
「だ、大丈夫なの……それ!?」
「決して大丈夫じゃないでしょうね!? ……でも、それを、御するのがそこの経営責任者! トップの立場ってものなんでしょ!?」
「……トップ……?」
「ええ……」
そう、アユミちゃんが、サファイアリーさんが、その呟きを言うのだった。
その時、僕の心情は、沸々と泡立っていて、イラついているものだった。
「……」
(そんな事するからだ……そうなって、当たり前なんだ……)
それが、そうなって当たり前の真相である。
サファイアリーさん(彼女)は、こうも言うのだった。
「その人達の中にはねぇ、少なからず……、反感の意に買った人もいた訳よ?」

――それは、騙されて入った、職業訓練校の講師の怒りの声だった。
『あんな事をしていたんだから、それはこっちとしても、どうしても許せないところがあって』
『黙っていればいいんですよ!!』
『勝手にあっちが自滅していくんですからねッ!!?』
『……』


「――そう、怒りの口を零した講師の1人がいたらしいわ……。その胸のうち、心の中に秘めていた思いよ!?」
「……」
サファイアリーさんは、その下げていた、その顔を上げて、こう独白めいたものを呟くのだった。
「誰かがこのどうしようもない問題に勝って、周りに明かしてもらうことを、切に願ってたのかもしれない。
あの人は、それを聴きとったわけよ?」
そこへ、アユミちゃんが。
「いったい、誰なのそれ?」
「さあね……? あたしは、その人の名前を知らないわ……。もしも知っていたら、その人に危害の手が及び兼ねないからね?」
「……」
そう、その人の名は知らない……。
わかるのは、職業訓練校の講師の1人だという事だけ。
サファイアリーさん(その人)は、こう締めくくるのだった。
「そもそもが、『教職員の免許』を所持していないのに、そこに入るためには!?
実地で『2年以上の実務経験』がいて、設備管理科やビルメンテナンス等のお誘いの『推薦状』のようなものが何かがないと、
そもそも、そこの教職員としては、雇ってはもらえない理由(わけ)よ!!
これは、ドクターイリヤマとドクターライセンの2人が、言った言葉でもあるわよね!?」
「そうね!」
「確かに! フッ」
このサファイアリーさんの言葉に、相槌を打つは、エメラルティさんに、クリスティさんの姿があったのだった。
その2人も、あの人の小説を見ていた口である。
「つまり、こーゆう事よ!
設備管理関係(その職場)で、2年以上の実務経験のないヨーシキワーカさんには、そもそも無理な話であって、
職安からは、その人を出せないってわけよ!
一度(ひとたび)、そんな愚行を許してしまえば、
当然、そんなものは、世論調査が認めない理屈だからね!」
「……」
サファイアリーさんは、その道理の理屈から説いていくのだった。
「つまりは、騙せそうな理屈が、そも通じなくて、途中で、あの人はそれに気づいてて、
あぁ騙しなんだな……と思い、途中からそれに察し、『如何にして無実を勝ち取るか!?』だけを考えていたのよ!」
これには、スバル君も、
「如何にして、無罪を勝ち取る……か、か……」
深い、言葉だった……。
【なるほどねぇ……』
と理解の色を深めるのだった。
――そして、サファイアリーさん(彼女)から代わって、
今度は、クリスティさんが、こう述べるのだった。
「――そして、そのドクターイリヤマが、設備管理科の講師の代わりに、
一通り講義の説明を終えたところで、その出入り口のドア付近に立った時の話よ!」
「……」
その瞳を細めるアヤネさんの姿があったのだった――


★彡
――それは、イリヤマ先生が、ドア付近に立った時だった。
それは何だか、行く着くところまで行って、落ち込んでいる様子だった。
その目線を下に下げて、手に持った書類に視線を落とし、こう呟きを落とす。
『この調子じゃ、『また新しく連絡網』を作り直さないといけんな……!
こっちの古い方は、どーゆう訳か『また』!? 『どこかでこの話を聞きつけた者(モン)が参加』するようになってきたんだし……!
いったい中で、何がどうなってきたんだ……!?
それに加えて、あいつ等まで、新しく入ってくるようになったんだし……!
この分じゃ、また、こっちの方の手取り額が減っていくばかりだぞ……!? 何だってこんな事になったんだ!?
……だが、こんな金回りのいい話、他にないし……中々辞められないし……。ハァ……』
シュイーン
イリヤマ先生が、その自動ドアの前に立ち、そのセンサーが反応し、その自動ドアがスライドしていく。
イリヤマ先生の足が、教室から廊下へ移動したその時だった。
パサッ……
『!? ……あれは……』
それは、プロレスか、レスリングで使われる覆面マスクのものだった。
しかも、あのマークは水を現わしていた。
『おっとっと! いかんいかん! 俺の趣味のものがッ!?』
ソソクサッサッ
とイリヤマ先生は、その手に持った書類の山を落とさないようにしつつ、その床に落ちたプロレスかレスリングで使われる覆面マスクを手に取り、
それを白衣のポケットの中に忍ばせるのだった。
まるで、医術を教える学校の先生と、設備管理科の先生も兼任していて、かつプロレスかレスリングだかの覆面マスクさんだった。
それも、水を現わした。


☆彡
――過去から現在に戻り、クリスティさんは、こう言の葉を告げる。
「――人が増せば当然、輪にかけて、その分け前が減っていって当然であって、その代わりに勝算が高く見積もっていくからね……」
それが真理だった。
「分け前が……」
「減っていく……」
これには、アユミちゃんもスバル君も、驚いた体だったわ。
「そうよ! その為の連絡網であり、共犯意識のそれだった……。
さしずめ、そのグループメールに参加していたら……ズブズブと沼にハマっていき、共謀者さんに担がられていた所以(わけ)よ!」
とそこへサファイアリーさんが。
「この話にいい例があってね。
あの弟君のようになって、ズブズブと沼にハマっていき、まるで『信用買いの闇子』のようになり、
安易にその周りから、ハメられていったらしいわ……。
もちろん、あの詐欺幇助の疑いのあるヨシュディアエさんも、その例外ではない、んだけどね――」


☆彡
おまけ
「――なるほど……ねぇ!」
「!」
僕たち、あたし達、私達は、振り返っていく。
その声の主の人物は、アヤネさんだった。
彼女は、その顔を上げて、向こうに見える、あの大きな硝子窓(ガラス)を見るのだった。
その先の景色は、まさに夜の街の摩天楼のよう、その景色を魅入るばかりだ。
「人という生き物は、どこかで聞いちゃったその自慢話を、どこかの誰かさんに話したがるものだからね!?」
「……」
「それは小学生でもわかる事でしょ? スバル君にアユミちゃん?」
その大きな硝子窓(ガラス)を見ていたアヤネさんは振り返り、その言の葉を零すのだった。
これには、僕もアユミちゃんも。
「うん……」
「まぁね……」
アヤネさん(彼女)は、こう続けた。
「人のヒミツなんて、どこかでそうした折、ポロッ、と漏れやすいものよ!? 『守秘義務』なんて、そもそも無理な話……」
それは、この夜の街のオフィス街の一角だった。
その廊下で、どこかの誰かさんが、2人して話し合っていた。
そこへ、昇降機を使い、その戸が開いたところで、その話に気づき、ソッとその耳を立てる。
「当然、その同じ会社に勤めている人がいても、
仮にもしも、その企業がテナントだったらどうするの?
それでなくとも、会社の中には、いくつもの企業が参入して入っちゃってるんだから、どこかでその話を聴いているのかもしれない!?
人の噂には、戸が立てられないものよ!?」
その人は黙って、その守秘義務の内容を聞いていたのだった。
そして、笑う哂う。シメシメと。
「それが、その企業の『重要案件』で、『極秘事項』だったらどうなるのかしら!?
まだ、世の中に出していない製造過程の商品の話もあったりするじゃない!?
それを、人の目を盗んで立ち聞きしている人もいたり。
そのノートを盗み見るなどして、その秘匿情報を安易な気持ちになって、持ち出す人もいる。
中には、ハッキングするなどして、不正に会社のものにアクセスするなどして、
コンピューターウィルスと共に騒ぎを起こして、まんまとそれを持ち出していく悪い人も……。……それがスパイ!!」
「……」
アヤネさんは、こうも語り継ぐのだった。
「当然、それが金周りのいい話ならば、どこかの誰かさんが、その話ぶりを聞いていて、
新しく誰かさんが参加するようになってきてもおかしくない!! ……なにもね!」
「……」
その盗み聞きしていた人は、軽快なステップを踏み、自分の持ち場に戻り、
それとなく、その社内の従業員さん達に話していく。
そこへ、続けてクリスティさんが、こう説明を補足するのだった。
「そう、その通りよアヤネさん!」
「……」
コクッ……
と小さく頷き得るアヤネさん(あたし)。
「それは、その某企業の『秘匿情報』だからね! それは『外部に漏らしてはいけないもの』なのよ!
でもね、その囲った身内の者が持ってきた情報(それ)は、いくら社外部秘でも、
こっちとしても何かしらの折、使えそうなものなら、
別の第三者などを名指しするなどして、その人に責任(せい)にすることだって……できる!! ……それが多数決の意に買った話よ!」
自慢気に話す、その盗み聞きしていた人。
その話を聴いていた複数人たちは、諸手を挙げて、その人を過大評価する。
よくやったと。
「この世界は、『競争化社会』だからね……!」
「競争化社会……」
恐い響きだった……。
「……」
そこには、嘆息すアヤネさんの姿があったのだった。
クリスティさんは、こうも語り継いだ。
「ええ、例えばの話だけど……。どこかの誰かさんが、その話を盗み聞きしていて、
人知れず、別の誰かへ話し、またその話が別の誰かへ。
そしたらどうなるか!?
確認を取るために人の輪ができ、そこで、あーしたこーしたと話題が色々と出てくる!」
「……」
スバル(僕)は、小学校の中で見たそれを幻視してしまう。
それは人垣だった。
それは、僕の気に入らない人達だった。……その目線を下げてしまう。
「そして、人知れず、途切れ途切れで、人の噂が飛び火し、女の人たちの情報網に引っかかったとみていいわ
当然、その家族間で親近者がいれば、それとなく話しかけて、その情報を新たに仕入れて、
また、別の誰かへ……。
人によっては、口頭だけではなく、電話やメールなどを用いて情報交信を行うのだから、
新たな参加者が出てきても、無理なしからぬ事よ!」
クリスティさんは、そのどうしようもない問題の金回りの話を、その内情を語るのだった。
そして、アヤネさんがこう締めくくる。
「つまり、女の人がまず一番強く!!
二番目にその情報網を、それとなく話しかけられた親近者の類!!
その流れで、どこかの男性の人も、それとなく仕入れていた点ね!!」
オオオオオッ
と感心の声が上がるのだった。

ナレーションの語り手は、スバル君。
「……」
【――これには、素直にスバル(僕)としても喜べず、ただただ黙って、その様子を俯瞰していたんだ……。……その時だった】
「――!」
【アユミちゃんの足が、あっちの方へ流れていったのは】
【僕は、一瞬もの哀しくなってしまう……】
「……」
【彼女には、何の悪気もないのだろう】
【そして、それは、もっとその話が聴きたいからだ。それは興味本位であって、気づきだったのかもしれない――】


TO BE CONTINUD……

しおり