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第3章の第66話 X13 未来の街創造館とレプティリアンと人類種の進歩



★彡
【病院】
【――無罪放免に終わったあたし達は、留置所の外に出て、一路、病院に戻ったわ】
【出迎えてくれたのは、たくさんの医師たち】
「――スプリング様! 無事だったんですね!?」
「ああ」
「……」
当然ながら、声がかかるのはあたしではなく、当病院の病院長を務めるスプリング様だったの。
まぁ、当然よねぇ……。
「お待ちしてました」
「救急患者さんの容態は、今は麻酔が効いていて、寝ています」
「なら、患者さんに事情を説明し、明日、手術に入ろう」
「「「「「はい!!」」」」」

【――その中には、ドクターイリヤマとドクターライセンの姿もあったわ……】
【……ほとんどの医師たちが、スプリング様に向かう中】
【ただ1人、その場で残っていたのが、ドクターライセンだったわ】
【あたしは、ドクターライセンと目が合うの――】

「――無事だったんですね?」
「……」
あたしはこの人を見据え。
(よくもぬけぬけと……!!)
キッ
と睨みつける。
「……フッ」
笑みを浮かべるドクターライセン。
僕たちの勝ちは揺るがない。
自分たちは特別偉く、何をしても許されるのだから。

【――そう、勝ち誇った笑みを浮かべていたわ】
【その自信は、揺るがないでしょうね】
【その証拠は、押さえているのだから……】
【そして、自分達側が庇ったという形になり、恩師という建前がつく】
【つくづく腹立たしいわ】

歩みを進めるドクターライセン。
「……」
「……」

【それがあたしのすぐ横を横切り、あたしの肩に手を置いて、こう小さい声で囁やいたの】

(逆らわない方が身のためですよ? 大切な箱庭が壊れますからね?)
「!?」
「……フッ」

【あれは勝ち誇った笑みだったわ……】
【え? え? どーゆう事!?】
【あたしとスプリングがいない中、人伝を伝って、ウソの情報も添えて、刷り込ませたのよ】
【え? どーゆう事!?】
【ハァ……】
【あたし達が不在というのが、大きかったわ……!】
【そして、あの2人は現場にいた】
【……どうなると思う?】
【う~ん……】
【同業の医者なら、何でそんな状況になっているのか、尋ねたいわよね?】
【ピンポーン! 大正解!】
【彼等はそうやって、その時を狙って、いくつものトラップを仕掛けていたの】
【トラップ……!?】
【人を信じ込ませる心理的トラップを知ってる?】
【それはね。事実の情報の中に、ウソの情報も紛れ込ませればいいのよ! それが上手いウソのつき方!】
【うわぁ……ヒドイ……】
【お前が良く使ってた手だなクリスティ……】
【うっ……】
【こんな妹をもって、あたし達は恥ずかしいわ……】
【姉さん……】
【……その後どうなったの……? 箱庭って……?】
【箱庭というのは、あたしが帰れる場所が、メチャクチャになる事を暗示していたのよ……】
【え……】
【……】
【……】
【だから、人知れず戦うしかなかったわ……】


――そのままドクターライセンは、あたしの肩に置いていた手を離し、スプリング様のところへ向かう。
「……様子は?」
「ドクターイリヤマが、『仕掛けました』」
「……そうか……」
「!?」
それはとても短いやり取りの中で、交わされたものだったわ。
あたしは、ドクターライセンとスプリングの短いやり取りを聞き、何らかの事件に巻き込まれたことを察したの。
(……まさか……!?)

【あたしの目は、ダーリンから視線を切り、ドクターイリヤマへ向かう】
【あいつはね。大威張りした顔で、仁王立ちしていて、鼻で「フンッ」と吐き捨てたのよ!!】
【あたしはそれをみて――】

(――ハメられた!?)

【そう、確信を持ったわ……!】
【……でも現場は明るく、スプリング様を取り囲んでいて……】
【――時と場所が悪く、その場じゃ切り出せなかったの……ッ】


☆彡
クリスティさんの当時の回想シーンが一時終了し、現在の話に戻る――
「……」
「……」
これには父ダイアンも、長女ルビーアラさんも、当時のクリスティさんの話を聞き、ただただ驚いていた。
とアヤネさんが、クリスティさんにこう語りかける。
「なるほど……。……じゃあ、グルである可能性が高いわね!?」
「ええ……。だから、ドクターイリヤマとドクターライセンはグルで、スプリングがそれを知っていて、泳がせていたの。
当時のあたしは、そう推察したわ……」
あたしは当時の情景を振り返る。
そこへ恵アヤネさんが。
「……なるほど、1つ筋が通るわね」
それは確信にも似たものだったわ。
「――でも、なんで留置所の警察の方に、動画のデータが……!?」
「おそらくその2人、もしくはAIナビね」
「なるほど、これは一杯食わされたな……」
「ええ……」
クリスティさんの説明に、納得の理解を示す、恵ミノルさんに、恵アヤネさん。
奇しくもクリスティ(クレメンティーナ)は、まんまと利用されたのだった。


★彡
「……」
仁王立ちの姿勢で、人を見下すドクターイリヤマ。
その相手は、
「……」
当然クレメンティーナであった。
あたしは悔しくも、ハメられた事を自覚したわ。
「……」
込み上げてくる悔しさで、ギュッと拳を握りしめる。



★彡
【某ターミナルビル前】
――その頃、某ターミナルビルの正面玄関前に、警察官車両が陣取っていた。
だが、警察官達は、中々踏み込めないでいた。
その理由は、犯人の手によって、正面玄関や、昇降機(エレベーター)に至るまで、それを制御するパスコードが書き換えられていたからだ。
これでは、特攻(アタック)できない。

「――なぜ!? こちらからアクセスできない!?」
「支配権の優先順位が、あちら側に握られているからです!! 外から何度も手掛けてますが、ことごとく不許可なんです!!」
「クソッ!!」
「支配権順位を崩さない限りは、特攻(アタック)できません!!」
「……どこかにパスコードはないのか!?」
そこへ足を伸ばしてきたのは、ヨーシキワーカと同じ顔をしたアンドロイド(?)の姿だった。
俺は、腕時計型携帯端末に映る地図情報を見て、こう呟きを落とす。
「――ここか……!」
俺の視線の先は、某ターミナルビルだった。


★彡
【空を飛ぶ車】
【――あの後、あたし達は帰路に着くのだけど……】
その車内では。
「……」
「……」
スプリングは運転席に座り、クレメンティーナは助手席に座っていた。
今車は、全自動運転モードで、帰路に向かっていた。
運転席と助手の間にちょうど小型のTV画面があり、その画面に映っていたのは、レムリアンであった。
「――どーゆうこと説明して!?」
そして、そのレムリアンの背中に隠れるように、エキナセアが中々表に出れずにいた。
正面切って、主人であるクレメンティーナに話せずにいるからだ。
「……」
その内情を知り、レムリアンは顔を上げて、こう話す。
『怒らないでくれ! クレメンティーナ……いいやクリスティ……』
「……」
レムリアンがこーゆう時は、決まって何かがある時……。
『………………』
「………………」
一拍の間をおいて、レムリアンはこう語るの。
『お前を陥れて、仲間に引き込むための算段だ』
「……ッ」
『今頃は、お前のご家族に伝わっている頃だろう――』


★彡
――レムリアンの回想シーン。
それは、あの時の手術中。
高台の位置にあったモニター室での出来事。
ドクターイリヤマが、スチームに語り掛けるところから始まる――
「――撮ったな? スチーム!?」
それはドクターイリヤマが、自身のAIナビ:スチームに頼んだ事ものだった。
『ああ、バッチリ取ったぜ!』
「そっちの方は? オーバ?」
それは同じ医療用アンドロイドの電脳空間にいる事だから、できた仕業だった。
ドクターイリヤマは、オーバにも、予め頼んでいた。
『ええ、こちらもバッチリですよ! イリヤマ先生! ……ねえ、エキナセアさん!?』
『……』
それはクレメンティーナのAIナビ:エキナセアが捕まった姿だった。
エキナセアは、スチームとオーバの両名に捕まり、何もできない状態にあった。
権限があちらにある以上、この状況は覆せない。
エキナセアは、こう口を開く。
『……いったい何が目的なの?』
あたしは、こいつ等からあらかた状況を見つつ、情報を聞き出せたはいいが、その目的がわからずにいたの。
『……金のためですよ』
『金だ』
そう、決まって金だ。悪人ならこう決まって答える。
『……』
あたしはジッと見て。
次いでスチームの方から。
『目的か……?』
『……』
『仲間に引き入れるためだ!』
『……えっ!?』
仲間に引き入れる……ですって、どーゆう事よ。
スチームは、腕を組んでこう語るの。
『俺たちはタダで助けない。見返りをもらう』
『見返り……ですって!?』
『あぁ……こう言えばわかるか……!? 本校の一生徒クレメンティーナ……いや、本名クリスティには、前科があり、当然ながら、今も監獄で収容中の身だ」
『!!』
『……そこにはそっくりさんを用意していて、美容整形外科手術で顔立ちを造り替えて、すり替えていた……ようは替え玉だ!!』
『なっ………………!?』
これにはあたしも辛辣打ち震えたわ。
それは激震ものだったから。
『――どうしようもない問題や犯人当てゲームによる、犯人のすり替えだ!!』
『!?』
『そうですよ、エキナセアさん?』
『オーバ……先生、どーゆう事……!?』
あたしは、あなたにそう尋ねるの。
帰ってきた言葉は。
『その問題を看破できずに、負けた人は敗北者も同然……』
『……』
『過去に幾度も事例があるんですよ。
耐えられなくなった標的(ターゲット)は、動けずにいる……!!
そこでお助け案として、ご家族の方を用意して、ちょっと嘘を吹き込むんです。
別の誰かに犯人をすげ変えて、大金を持たせて……!!
もしくは、望むものを与える!!』
『……』
『それは、こちらで噂話の調整を聞かせて、周りにそうだと信じ込ませるんです。
実際、前にもいたんですよ?
たまらず別の誰かの名前を出して、自分の保身に走った人が……!?
もしくは、ご兄弟の方か、周りの人や、ある女性職員が、そう間違ったやり取りをして、誤認のウソを吹聴したのかも……!? ククッ】
『……』
その話を聞きながら、落ち込むように俯いていくあたし。
なんて話なの……ッ。
『そいつに代わりの罪を着させ、お金を持たせて、こいつがやりましたとする!!
つまり、冤罪を偽造工作するんですよ!!
周りの噂話を買ってね!!
そう、刷り込ませるんです!!
あぁ、僕たちはどっちに転んだっていいんですよ!?
クレメンティーナさんでも、姉妹の誰かさんでも、もしくは気に入らないその人でもね……!?
どこにでもそーゆう人は、1人ぐらいはいるでしょう――!?」
『……』
落ち込み加減のあたし、その胸中では――
(――とんでもない話ね……。
冤罪の偽造工作じゃないの……!?
あたし達は、それにもう関わってしまっている……!?
じゃあ、その人は………………!?)
あたしは恐くて、その先が言い出せなかったの……。
オーバは続きを語る。
『……後はわかりますよね?
集団で、そのターゲットをハメて、
金をたらふく巻き上げた後、借金だけが残り、親兄弟からも見放されて、もともと住んであった土地も、安く叩きあげられ、今ではもう道路工事なので、跡地も残っていません……』
『なっ……!?』

『『未来の街創造館』Future City Creation Mansion(フューチャー シティ クリエーション マンション)のためですよ!』


★彡
クレメンティーナ(あたし)はこう驚き得る。
「Future City Creation Mansion(フューチャー シティ クリエーション マンション)!?」
「ああ、現在進行中の話だ!!」
スプリング(私)はそう返した。
あたしはこう問いかける。
「どーゆう事!? エキナセア!?」
『……』


★彡
エキナセアの回想シーン。
『『未来の街創造館』Future City Creation Mansion(フューチャー シティ クリエーション マンション)……!? ……どーゆう事!?』
あたしはこの2人に、そう問いかけるの。
その返答を返したのは、外からその様子を見ていたドクターイリヤマからのものだったわ。
「1つは金のためだ!」
『……』
「俺やライセンや他の講師の借金返済分もあるが……。これを聞けば、それは匙(さじ)加減だと物分かりがいいだろう?」
『?』
あたしは心の中で思考を加速させる。
(――借金返済分……?!
自分やライセン先生や他の講師……。
つまり、そーゆう企てで、このどうしようもない問題を仕掛けたというの!?
他の人や、周りの人を騙してまで……!?)
ドクターイリヤマが語るのは、驚くべき事だった。
「金は世界の周りものだ! 金で世界経済が回っている!!
知っているか? 200年前のアメリカ合衆国は、世界経済で第一位を確立していた年があったんだぞ!?」
「!?」
その話なら、昔の記憶(ログ)を辿ればわかる。
まぁ、事実でしょう。
だが、核心はこの後。
「世界経済の上下推移次第で、貧富の格差が決まる……と言っても過言ではない!!
そう、それが世界の実情だ!
世界経済貿易次第で、ここアメリカも再び返り咲くことや、また落ちぶれる危険性もある……!!
最悪落ちぶれた場合は……。
再び、這い上がってくるまでに、長い年月がかかり、様々な障害や悪循環が考えられる!!
誰もがそうだ!! 国のトップがそうはさせじとあらゆる対抗手段を打ち出してくる!!
だから、俺たちのトップはこう考えたんだ……!!
この厳しい世界経済事情に対し、戦う術を考えた!!
そう、それは、世界経済貿易の特化型だ!!」
『世界経済貿易の特化型!? ……いったいどーゆう事!?』
あたしはそう尋ね返したわ。
ドクターイリヤマはこう答えるの。
「世界経済事情は、10年単位で何かしらの変動が起きる……!!
例えば、200年前のリーマンショックやCOVID-19(コロナ)が挙げられる!!
さらに第二世界大戦や第3次世界大戦は、だいたい50年から100年周期の単位で起こっている!!
これに関わってくるのが、闇の行商人……闇のブローカーの存在だ……!!」
『……』
それはとんでもない話だったわ。
一歩足を踏み込めば、もう後戻りできないほどの……。
続いて、ドクターイリヤマに代わり、語り継ぐのは――
『――そして、この世界経済は、単純に国のトップが動かしているのではなく、ある巨大な組織の陰謀によって、陰から支配されているんだ!!」
『!!』
その声はとても聞き覚えのあるものだったわ。
あたしはそのAIナビの名を呟く。
『レムリアン……!?』
当のレムリアンはその頃、第二助手に入っていた。
医療用アンドロイドAIナビとして。
だが、方や手術中に第二助手に入りつつ、その意見交換で、もう片方の医療用アンドロイドAIナビ:オーバたちのいる電脳空間にアクセスしつつ、意見交換を行っていたのだ。
『……その目的は……、人類種の進化を促すためだ!!」
『……進化……!?』
アクセス中のレムリアンは。
『あぁ……』
と語る。
それは確信を持った一言だったわ。
『お前は、宇宙人というものを信じているか!?』
『宇宙人……? あぁUFO(ユーフォ)やUMA(ユーマ)の事よね?』
『ああ、未だに多くの人々は、空の上の空飛ぶ円盤(ユーフォ)に意識が傾いているが……。
また多くの視聴者は、この宇宙のどこかに人が住めるような惑星があって、そこに宇宙人が暮らししていると考えている!!』
『……』
『――だが、その見方は語弊がある!!』
『……えっ……?!』
『宇宙人は既に実在していて、この地球に溶け込んでいるんだ……!! かなり昔からな!!』
『な、何ですって!?』
『その宇宙人の名は、『レプティリアン』といい、我々地球人と子を成すことで、そのハーフが既に生まれている!!』
『!!』
『さしずめ、その最初のものをアダム、イブというのだ……!!
わかるか?
高貴な末裔が、この地球上のどこかに息を潜めているのだよ』
『……』
その言葉はまるで、自分達組織の内情を知りつつ、あたしにだけ明かすものだったわ。
あたしはその時、戦慄を覚えたのよッ。



エキナセアはこう語る。
『――あたしはその一言に、戦慄を覚えたわ……』
『……』
「……」
「……」
エキナセア、レムリアン、クレメンティーナ、スプリングが、その口を閉ざし。
「………………」
静寂が包む込み。
次に口を開いたのは、スプリングであった。
「レプティリアンは別名爬虫類人類で、そのハーフは親の特殊能力を引き継いでいるケースがままある」
「爬虫類人類……? 特殊能力……?」
「あぁ、人に化ける事ができる……!!」
「まさか……変身能力!?」
コクリ
「……」
とスプリング(私)は頷き得る。
「……」
あたしはその話を聞き、ショックを受ける。
(あたし達、人類の中に、そんな人が溶け込んでいる……!? ……まさか……!?)
「だが、実際にその人物を見かけても、刺激を与えてはならない」
「えっ……!?」
「自分の正体が周りにバレたら……、国の中枢、つまり、国のトップの威権順位に従って、その密告者を亡き者にするからだ。
……。
そして、その危険性を踏まえ、その人物に関わったと思われる、親兄弟・親族・知人・同僚・会社の一部の人間に至るまで、謎の変死を遂げているからだ」
「なっ!?」
「助かる手段は……『黙秘』……!!
その怪しい人物を見かけても、その人物には何かしらの重要な任務を受け持っていて、今、この世の中を陰ながら進歩を促しているからだ!!」
「任務……!?」
「あぁ……」
私は、そう短く答える。
いったい、どんな任務なんだろう……凄い気になるわ。
そして、エキナセアがこう口を開く。
「――そう言えば、言っていたわね……レムリアン……」
「!?」
『……』
私はこの時、口を噤(つぐ)んだ。
彼女(エキナセア)はこう語る。
「この世を陰ながら、進歩を促す……これは、何かのキーワードじゃない!?」
ハッ
とあたしはそう思ったわ。
「実は、地球のレベルは……たったの1だとされている……!!」
「1……1ィ!?」
「あぁ……。私はその実情に明るいわけではないが、宇宙文明には、7段階の評価がある!!
レベル1の文明は、惑星文明と呼ばれるもので、石油や天然資源に依存せず、原子力発電や核融合炉を主なエネルギー源としている。
太陽が何10億年も燃え続けているのは、太陽内部で、常に核融合反応が起きているからだ。
この核融合反応を、我々人類がフル活用できるようになれば、
それは、ほぼ無限に近いクリーンセーフなエネルギーを得られるだろう。
また、科学技術の発展で、病気はなくなり、再生医療により、患者さんの体から少しのDNA情報を頂くことにより、
ほとんどの臓器が再生可能になる……!!
これがレベル1だ」
「じゃあ、それが今のあたし達の文明水準ってことね……!?」
コクリ
「……」
と私は頷き得る。
「だが、レベル2の文明は、惑星規模の人工核融合反応によって構成される!!」
「惑星規模……!?」
「あぁ。太陽……恒星があるだろ?」
「ええ、あたし達人類にとっては無限大のエネルギーに等しいわね……、……まさか……!?」
「そのまさかだ!!
宇宙望遠鏡を通して、遠くの銀河を見たら、規則性があって恒星の光が遮られていた。それも周期的に何度もだ……!!」
「!」
「……わかるか!? レベル2の文明は実在していて、その技術の名は、『ダイソン球』で恒星の周りを取り囲んで、そこからエネルギーを得ているんだ!!」
「……」
これにはあたしも脱帽だったわ。
「さらに、生命科学の分野では、再生医療が遺伝子レベルまで進み、体のどの部分でも再生できるようになる!!
例えば、失われた目とかな」
「……」
「だが、こうもある。
我々地球の文明が、レベル2までに至る年月は、おおよそ10万年だと言われている!」
「長ッ!?」
「宇宙文明は、レベル1からレベル7まであり、これを『カルダシェフスケール』というのだ!!」
「……」
これには驚きを隠せなかったわ。
でも……――
「――何でドクターイリヤマたちが、わざわざそんな話を……!?」
「……」
『……』
『……』
黙るスプリング、レムリアン。そしてエキナセア。
その時、あたしは。
「――まさか!?」
「そうだ! 我々の仲間に引き込むために、この話を持ち出したんだ!」
「仲間!?」
「あぁ」
と私は頷き得る。
「文明の進化には、エネルギーが必要なんだ!!
だが、その施設を作るためには、土地と金と優秀な人材がいる……!!」
わたしはクレメンティーナに振り向き、こう答える。
「……わかるか?」
「……あたしに協力しろ……ってこと……ダーリン……?」
「……」
「……」
沈黙の間が流れる。
そして、あたしはこう呟くの。
「……少し考えさせて」
「……」
あたしは、窓の外を見て、
「………………」
一拍の間を置いてから、こう呟くの。
「……それがどうしようもない問題であり、あなた達の企みって訳ね?」
「……ああ。国絡みだ」
あたしはあなたに振り返る。
「デカく出たわね……」
「そして、この計画には、世界各国の有能な著名人が名を連ねているのだよ。私たちの裏の首領(ドン)も、そこに名を連ねている……」
「……」
そうして、空を飛ぶ車は首都高を滑走するのだった。


【――すごい話が出たぁ……】
【ええ……】
【まさか……まさかだ……】
【……そして、こうも聞いたの】
【Future City Creation Mansion(フューチャー シティ クリエーション マンション)……それは日本語に直訳すると、『未来の街創造館』……】
【それは、その都市(シティ)の景気経済活気発展の目的のためでもあるの!】
【なっ!?】
【えええっ!?】
【ほら、良く聞くでしょ!? リニア新幹線を通すために、その街の住人の住居を強制立ち退きさせて、新たにリニアモーターカーを敷くために、公共工事が行われることが……!!
そのいい口実造り目的のためよ】
【え……】
【え……】
【まず、経済流通網を築き、他所の地域から、それこそ諸外国から、出稼ぎの労働者が、旅行に来てくれた人がお金を落としていってくれる】
【その為には、先ず、飛行機、船、リニアモーター、地下鉄、路面電車、道路工事拡張等を当たり前にして、その後で、建設業や、工場やホテル、病院、娯楽施設等を完備していくのよ】
【ターゲット層は、そう、弱いところや、建設工事において、邪魔なエリアに属していた人のところ……】
【が狙わられるわね……フゥ……】
【だから、その土地に住む、住人の持ち財産である、畑を売ってください、土地を売ってください、山を売ってくださいから始まり】
【その土地の所有権を巡って、アパートやホテルなどを作る目的から始まり、責任を負いきれないから、やむなく売地になるの】
【強制立ち退きや勧告命令もあるわね……】
【まぁ、何も知らないバカは、建設業の人からいいように、都合のいい話しか聞かず、いざ、アパートを建てたはいいけど……】
【実際は、その維持費が、自分持ちである事を知らないのよ……】
【だから、10年、20年と経てば、外装工事やらがかかるから、借金漬けになり】
【泣く泣く売り払うことになるでしょうね……】
【別のパターンだって同じよ】
【例えば、しっかり者の親が、その建設業者さんの話を、頑なに断って】
【業を煮やした連中が、いずれは仕掛けてくるのよ】
【それこそ、裏からね……】
【そこに、どうしようもない問題やらが関わってくる、パターンもあるの】
【国や会社絡みが、きな臭いわね……】
【どこもそんなもんよ……】
【注意しなさい。親がダメなら、次に土地の所有者になるのが……】
【まさか……子供……!?】
【ピンポーン! 大正解! 冴えてるわねスバル君!】
【……】
【大概、頭の悪そうなところから叩かられていくわね。だから、一番、狙われやすいのが障害者!! 次に敷地面積の広い人のところね】
【えええええっ!?】


★彡
エキナセアの回想シーン。
『――そんな話をあたしにしてどーするの?』
それに答えるのは、オーバだ。
『我々に与しませんか?』
『なっ!?』
『ちなみに、僕たちはその話を聞き、YESと答えました。……国の威光には逆らえませんからね』
『国……州のトップ、知事代表じゃなくて……、……まさか……あなたたちのバックにいる、超大物って……!?』
『フッ……』
『ククッ……』
『……オータム大統領……』
ドンッ
と超大物が過ぎった。
勝てない……絶体に勝てない……。
喧嘩を売れば絶対に負ける……ッ。
オーバはこう語る。
『その人にかかれば、医師免許も白紙同然です……。職にも就けなくなるでしょう……』
『……』
次にスチームが。
『今は、スプリング様の庇護の元、安全が確約されている状況だろ――!?』
『……』
再び、オーバに戻り。
『以外に聡い子ですね、クレメンティーナさんは……!? いや、知らずして、片足突っ込んでますね……この危ない世界に……』
『……』
『今回の医療事故は、そうした側面も併せ持っているのですよ!』
スチームがこう問いかける。
『良ーく考えておくんだな、エキナセア!? 主人のクレメンティーナにも、それとなく伝えておけよ!?』
『………………』

【――あたし達は、知らず知らずのうちに、片足を突っ込んでいたのよ】
【その計画に――】
邪蛇が飲み込まんとしていた。


TO BE CONTINUD……

しおり