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(モノローグ・ザック)しがない冒険者

 俺はレスタという町でしがない冒険者をやっている者だ。名前は……、この際どうでも良いだろう。

 俺の話を聞いてくれ。


 俺は普段、スライムやゴブリンを倒して、スズメの涙ほどの稼ぎで何とか生活しているような状況だ。

 察しの通り、あまり強いとは言えない方だ。

 マルゴというオッサンがやっている、武器防具店には世話になった。未だに恩は返せていない。

 あるとき、この町の貴族さまが冒険者ギルドにいる俺たちに向かって、森のダンジョン攻略が成功した暁には、金貨五枚をやると言って、強制的に連れ出された。


 いやいや、なんで俺なんだよ。装備や実力を見てから言えよ。


 案の定、ヘルハウンドとコカトリスに囲まれて、ダンジョン攻略どころか、入り口にすらたどり着けなかった。まあ、俺は最初から戦う気なんかなかったから、無事に逃げられたけどな。

 そうしたら、後から貴族の手下がやってきて、一週間牢屋に入れられた。


 俺が何をしたっていうんだよ!


 そして、またスライムやらゴブリンを倒す毎日を送っていると、タイミング悪くまた、貴族が冒険者ギルドに入ってきて、今度は金貨六枚やると言ってきた。


 ふざけるな!


 ギルドのダンさんとギルドマスターは、一緒に貴族に抗議していたが、結局貴族の権力には屈せざるを得なかったようだ。


 だから、なんで俺なんだよ……。


 今度も散々だった。貴族の馬もコカトリスの石化攻撃で、お陀仏。貴族は、かろうじて手下に運ばれ脱出。


 俺? もちろん戦えるわけがないから、即逃げて無事だったさ。


 知り合いが怪我をしていたので、肩を貸してやった。

 レスタの町までの通り道に風変わりな男の家があるので、とりあえずそこに逃げ込んだ。

 すると、なんということだ。その男、ポーションを沢山もっていて、俺たちを治療して、飯まで作ってくれたんだ。


 貴族も石化攻撃を受けていたのだが、ポーションで回復したようだ。それはたぶん俺には絶対手が出ないほど、めちゃくちゃ高いポーションだ。

 俺の知り合いも手当てしてもらって、翌日には傷が治っていた。俺たちはその男に礼を言ったが、何でもないというふうに手を振られた。格好良い。


 せめてもと、俺たちは金を出し合って、お礼をした。それに比べ、貴族の野郎、びた一文も払いやがらねえ。お前、命救われたんだぞ!

 もう俺に関わらないでくれと言いたい。


 ここから北にある、タイラントの町の冒険者ギルドに拠点を移すそうかな……。

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 みなさんこんにちは。ここまでお読み頂きありがとうございます。

 このモノローグは物語に登場する言葉の通じないキャラクターたちを一人称で語らせたもので、WEB版オリジナルとしてリライトしたものになります。

 今回のお話は横暴をしている頃のバイエルン様の被害にあった冒険者のお話になります。

(作者のモチベになりますので本作が気に入ったら、評価、お気に入り登録、応援コメントよろしくお願いします🐉 書籍、コミック、ニコニコ漫画での連載も宜しくです🐕)

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