284章 焼きそばづくり
ミサキは入浴を終えて、髪の毛を乾かしていた。
こちらの世界にやってきてから、散髪をしていない。前髪、後ろ髪などはかなり伸びてしまっている。明日、明後日くらいに、美容室に行こうかなと思った。
「エマエマさん、すごく気持ちよかったですね」
「はい。とっても気持ちよかったです」
「同性にもかかわらず、ドキドキしてしまいました。ミサキさんの∞の魅力を持っていますね」
「エマエマさん、最低限の理性は保ってくださいね」
エマエマの掌は、ミサキの胸に一直線に向かってきた。とっさにガードすることで、危機を脱
することができた。
「大切な部分には触らないように心がけます」
エマエマの口から、思わぬ言葉が飛び出した。
「ミサキさんの仕事を見学してもいいですか。焼きそばを作っているところを見たいです」
「私はカウンター担当で、握手、サイン会をしているだけです。焼きそばづくりについては、シ
ノブちゃんたちに任せています」
特別デー以外においては、焼きそばを作る機会はない。調理を満足にできないことに対して、寂しさを感じている。
「ミサキさんの焼きそばを、ここで作っていただけないでしょうか?」
「私の焼きそばですか?」
「はい。一度でいいから、食べてみたいです」
「焼きそばの材料があればいいのですが・・・・・・」
冷蔵庫の中身を確認する。どういうわけか、豚肉、キャベツ、もやし、焼きそばの麺がそろっているではないか。シノブたちは買い出しに行くとき、焼きそばの具材も買ってきていた。
「焼きそばの具材がそろっていますので、調理をさせていただきます」
エマエマはいつにもなく、興奮した様子を見せる。
「WOWOW、とっても楽しみです」
ミサキの調理はかなり久しぶり。上手に焼きそばを作ることはできるのだろうか。