273章 睡眠タイム
ミサキはパン30個、シチュー10人前、フライドチキン10個を完食。腹ペコ少女にしては、あまり食べられていないような気がする。
デザートとして、アイスクリームを10個ずつ食べる。一流の味ではなかったけど、十分においしかった。
「おなか、持ち直しました」
エマエマは食べたばかりの女性を気遣った。
「ミサキさん、おなかはいたくないですか?」
「はい。いたくありません」
よほどの量を食べない限り、おなかはいたくなることはない。無限とはいかないものの、大量に食べ物を積み込めるタンクを貯蔵している。
シノブはお腹を熟知しているのか、気にかける様子は見せなかった。
ミサキは長旅の疲れからか、大きな欠伸が出てしまった。
「ミサキさん、睡眠をとりましょう」
「そうですね・・・・・・」
ミサキは目覚まし時計を、2時間後にセットする。絶対に起きられるよう、10分以上にわたって、アラームを設定する。腹ペコ少女にとって、長時間の睡眠は命取りになりかねない。
エマエマは大きな欠伸をする。
「私もゆっくりと眠りたいです。ミサキさん、布団は余っていませんか?」
「エマエマさん、一緒に寝ませんか?」
「ミサキさんの体温を感じたいです。よろしくお願いします」
ミサキ、エマエマはハグの体勢で、布団にもぐりこんだ。
「ミサキさん、とっても柔らかいです」
「エマエマさんの体も、すごく柔らかいですよ」
シノブの体温がかすかに残されていた。ミサキに安心感を与える、ぬくもりだった。
シノブはベッドにやってきた。
「ミサキちゃん、もう少しだけ眠ってもいい?」
一つのベッドに大人三人は窮屈である。シノブは別室の布団を眠るように伝えた。