227章 予定外のできごと
6人は寿司屋をあとにする。
「最高級のお寿司に、心から感動した」
フユコのセンサーは、ソフトクリームのほうに向いている。デザートとして、ソフトクリームを絶対に食べたいという感情を、捨てきれていない。
お寿司を食べたことによって、ソフトクリームに対する思いを強めたかもしれない。ふわふわのソフトクリームは、食後に最適な味をしている。
フユコを見ていると、小学生時代を思い出す。父親に対して、アイスクリームを食べたい、アイスクリームを食べたいとねだっていた。どんなにダメといわれても、引き下がることはなかった。幼少期ゆえのわがままを前面に押し出していた。
ソフトクリームは、さらに列が増えていた。最高の一品をゲットするために、5~6時間くらいは待つことになりそうだ。どんなに人気商品であっても、5~6時間を待つのは厳しい。腹ペコ少
女はソフトクリームにたどり着く前に、地面に倒れることになる。
マイは寿司を食べたことで、ハイテンションモードに突入。通常の状態に戻るまで、かなりの時間がかかると思われる。
ユタカは表情に出さないものの、満足そうにしている。最高級の寿司を食べたことで、気分はよくなったようだ。
シラセも満足そうだった。滅多にありつけないごちそうに、心が踊ったようだ。
「ミサキちゃん、ヤッホー」
気さくに声をかけてきたのは、思いもよらない人物だった。
「ホノカちゃん、こんなところでどうしたの?」
「彼氏とデートをするために、友達駅にやってきたの。約束の待ち合わせ時間まで、10分くらいかな」
ホノカは癒し系タイプで、一緒にいる人を幸せにできる。彼氏という存在を聞いても、不思議
な感覚を受けなかった。
「ミサキちゃんは、どうしたの」
「社員旅行でこちらにやってきたよ」
「社員旅行を楽しめるといいね」
ホノカは退職後、焼きそば店の内部を見ていない。名前、顔のわからない従業員は含まれている。
「シノブちゃん、ヤッホー」
シノブは顔をやや傾ける。退職に追い込んだと思っているのか、とっても気まずそうにしていた。
「ホノカちゃん、久しぶりですね」
ホノカは退職を気にしていないのか、いつも通りに話をする。
「焼きそば店のほうはうまくいっている?」
「まずまずですね・・・・・・」
ホノカはある人物を見かけると、顔は餅さながらにふやけた。
「ヒロシ・・・・・・」
彼氏とのデートを妨害するのはタブー。ミサキたちは、ホノカの元からいなくなった。