264章 来客がやってきた
肉を焼く準備をしていると、玄関をノックされる音がする。
扉を開けると、珍しい2人組が立っていた。
「ココアさん、カスミン。こんにちは」
カスミンと呼ばれたことが嬉しいのか、満面の笑みを咲かせていた。
「アカネさん、お久しぶりです」
前回よりも、元気な姿を見せている。カスミは究極のポジティブ思考に感じた。
ココアが挨拶をする。
「アカネさん、こんにちは」
ココア、カスミの二人は手をつないでいた。この場面を見るだけで、とっても親しいのが伝わってきた。
「二人はとっても親しくなったみたいだね」
ココアが答える。
「はい。すぐに意気投合しました」
シオリと一緒にいるときよりも、心が弾んでいるように感じられた。カスミの持ち味である明るさが、そのようにさせていると思われる。
ココア、カスミの相手をしてあげたいけど、家の中でテオスが睡眠を取っている。相手をするのは厳しい状況だ。
「今日は来客対応をしているの。一緒に過ごすのは難しいかな」
看病しているのは、一国の王であるテオス。万が一のことがあったら、二国間戦争に発展しかねない。住民を命の危険にさらすのは、絶対に避けたいところ。
ココアは状況を察したのか、
「別の日に訪ねたいと思います」
といった。気配りのできる人で、とっても助かる。ユラのような正直な人間だったら、強引に中に入ろうとしたと思われる。
「ココアさん、カスミン、ごめんね」
カスミンは持ち味の、ポジティブな一面を見せる。
「アカネさんの顔を見られただけで、ハッピー&ハッピーです」
二人は手をつないだまま、アカネの家から遠ざかっていく。背中が小さくなるごとに、寂しさを感じることとなった。