17章 食べられる時間 食べられない時間
どうしようかなと思っていると、画面が暗くなった。数秒後、妖精が姿を現した。
「言い忘れてましたけど、21時から7時は飲食できません。必要となるエネルギーは、他の時間帯に取り入れてください」
20000キロカロリーを取るのもきついけど、10時間の断食もかなり厳しい。
「ミサキさんの胃袋は、14時間の過酷労働をします。休養期間がなければ、すぐに壊れてしまいます」
胃袋は通常の、10倍の仕事をさせられる。休みを取らせなければ、あっという間に壊れることになる。
「朝の7時になったら、食べ物を食べられるようになります」
「そうなんですか?」
「私を信じてください」
腑に落ちない部分があるものの、納得するしかなかった。
「わかりました」
妖精は笑みを浮かべる。
「生活をしてみて、どうでしたか?」
「とっても幸せな気分です」
20000キロカロリーを摂取すること以外、最高の生活を送れる環境である。50年後、100年後も、生きられるといいな。
「よかったです。明日も楽しい生活を送ってください」
「ありがとうございます」
「毎月のお金については、1日、11日、21日に送ることになります。金額は1日が30万ペソ、11日に40万ペソ、21日に30万ペソとなります」
3分の1ずつではなく、金額を分けている。意図はあるのだろうか。
「仕事をした場合については、生活費をプラスできます。働けるのであれば、積極的に働いてみましょう」
人と頻繁に接したいわけではないけど、一人ぼっちの生活を送るのも辛い。定期的に交流を取って、寂しさを紛らわせたい。
「伝えることを伝えたので、私は元の世界に戻ります」
「わかりました」
妖精が姿を消すと、部屋は明るさを取り戻す。さっきまで真っ暗だったからか、眩しさを感じることとなった。