バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

6章 1日20000キロカロリー

 家でのんびりとしていると、視界は真っ黒になった。

「こんにちは」

 ミサキの目の前には、転生させた妖精が映っていた。

「大量エネルギー生活はどうですか?」

 妖精はにやにやとした表情を浮かべている。他人の不幸を楽しんでいるように見える。

「食べられないよりはいいけど、厳しいように感じます」

「現実世界で食べられなかったみたいなので、こちらでは食べられるようにしました」

「食べられるとはいっても、さすがに極端すぎませんか?」

 妖精は返事したものの、他人事のように感じられた。

「そうかもしれませんね」

「体質を変えることはできないんですか」

「エネルギー生活については、変更することはできません。1日に20000キロカロリーを、きっち
りと摂取してくださいね」

 成人女性の必要エネルギーは、2000キロカロリー前後。通常の10倍のエネルギーを、摂取する必要がある。

「極限状態の空腹になっても、1日くらいは持ちこたえることができますよ。その部分については、安心してくださいね」

 1日間は何も食べなくてもいい。そのことを知って、ちょっとだけ安心した。 

「持ちこたえることはできても、エネルギー不足は累積していきます。食べられるときは、エネ
ルギーを摂取してくださいね」

 ミサキは率直な疑問をぶつける。

「どうしてこんな体にしたんですか?」

「私の気まぐれですね」

 気まぐれで体を決めないでほしいところ。決められた方にとっては、ものすごい迷惑である。

「今回はどんな用でやってきたんですか?」

「新しい能力を追加するためにきました」

「新しい能力?」

「はい。食べ物の毒を無毒化する能力です。これがあれば、食べ物の毒で苦しむことはなくなります」

「能力を持つメリットは何ですか?」 

「この能力を持っていれば、添加物、糖分、脂質などの有毒な物質の接種を、最小限に抑えるこ
とができます。糖尿病、肥満などを防げるようになりますよ」

 恩恵の大きい能力に対して、喜びを感じることとなった。この能力があれば、病気にかかりにくくなる。

「高熱といった病気にかからない能力も付与します。これさえあれば、病気で苦しむことはなります」

 こちらについても、恩恵の大きいスキルとなっている。

「ミサキさんには、十分すぎるほどのお金をプレゼントしました。これだけのお金があれば、お腹を満たすことができますよ」

 もらえる金額については、不満は一ミリもない。これだけの金額を与えられれば、好きなだけ食べることができる。 

「お金だけでなく、豪華な家もプレゼントしました。最高級の家で、ゆっくりと過ごしてくださいね」

 ミサキの住んでいる家は、大富豪の住むようなレベルの家である。4畳半で生活していた女性にとって、最高のプレゼントである。

「最高のセカンドライフを送ってくださいね」

 妖精は姿を消した。数秒後、部屋に光が灯ることとなった。

しおり