バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

k-9

 15:00
 植物の鑑定が終わり、まだ時間があるので、町で今日の収穫物を売ってこようと思う。

 しかし、徒歩で町と小屋を往復する時間を短縮できないかなと思う。馬車でも調達できれば良いのだが。

 鶏に雨水をやり、ショイコにハーブや毒草、スライムの粘液、魔核を入れる。小屋に鍵をかけた後、俺は町へ出かけた。

 町への出入りは、冒険者ギルド(のようなところ)が発行した、身分証明書のおかげで入ることができた。

 初めて来たときのような、取引に来たという門番とのやり取りも不要だった。

 冒険者ギルドに顔を出し、スライム三体の討伐クエストとガドル毒草一株の採集クエスト、イレーヌ薬草五枚の採集クエストの張り紙を剥がし、窓口のおじさんに提出する。

 そして、スライム三体分の粘液を提出。

 スライム一匹は、かなりの大きさだが、魔核を抜き出すと体が維持できず蒸発し、採集できる素材となる粘液はペットボトルの三分の一程度に過ぎない。

 したがって、ペットボトル一本でスライム三体分の討伐の証とみなされるようだ。

 残りのガドル毒草一株とイレーヌ薬草五枚を提出。しめて、銀貨2枚の報酬となった。


 俺が帰ろうとすると、窓口のおじさんに呼び止められた。

 何を言っているのか相変わらずわからないが、俺の特技ジェスチャーコミュニケーションが発揮される時である。

 彼の説明によると、身分証明書にはポイントが記載されていて、依頼をこなすごとにポイントが加算されていくらしい。

 ギルドポイントは特典と交換できるそうで、その一覧が書かれたメモを見せられた。

 その中でオススメなのが、戦闘系スキルを指導してくれるというものだ。

 身振り手振りで魔法を出したり剣を振るジェスチャーをしてくれたので、なんとか俺にも理解できた。

 ちなみに今回のクエストをこなしたことで、剣を振るものはOKとのこと。

 俺はギルド特典の剣術指導とやらを受けることにした。


 そして身振り手振りの会話の中で、ギルド職員のおじさんはダンという名前だということを知った。

 俺は「アリガトウ、ダン。ヨロシク」と言って、90度のお辞儀をした。





 それから俺は、冒険者ギルドの剣術指導を受けてみることにした。

 俺は、建物内にある道場のようなところに通された。そこには、人形と思しき訓練用の物体と指導教官がいた。指導教官は俺に握手を求めてきた。

 俺は、「コンニチハ、ケイゴオクダ」と述べ。握手をした。

 彼はカイという名前だそうだ。

 彼は、木剣を俺に投げてよこし、俺に技の説明と実演して見せた。

 説明の方は、何を言っているか解らなかったが、実演の方は、剣に気のようなものをためて、一撃を与える技のようだった。

 木剣が白く光りそれを人形に叩き込むと、「ズガッ!」という音とともに、人形が吹き飛んだ。

 カイ先生が、俺にもやってみろとジェスチャーをする。カイ先生は俺の手つかみ、目をつぶり、気を込める。

 そうすると、俺の中で何かが目覚めたような感覚が芽生える。

 俺は人形を立て直し、木剣に気を込め叩きこむ。

 カイ先生ほどではないが、「ガスッ!」と音がする程度には、威力のある一撃ができた。人形は少しずれる程度だった。


『個体名:奥田圭吾はバッシュLv1を取得しました』


 カイ先生はパチパチと手を叩いてくれた。どうやら、おめでとうと言っているようだ。

 おれは日本語で「アリガトウ」と言い、お辞儀をした。

 この世界の言葉で「アリガトウ」ってなんて言うんだろうな? と思っていると、カイ先生が教えてくれた。

 カイ先生の説明によると、スキルは熟練度があるらしく、何度も繰り返し練習しろ、とのことだった。

 俺は、冒険者ギルドを後にしたのだった。

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 バッシュを覚えたケイゴでした。バッシュは剣を振りかぶってガスッとやる技というイメージです。ラグナロクやその他ゲームでお馴染みのあの技です。
 シールドバッシュとかもいろんなゲームででてきてるので、できれば追加したいなあと思ってます!

しおり