166章 弱点なのかな
*ボスと戦ってから10時間経過
ボスは一ミリすら疲れていなかった。1~2時間で披露していた、雑魚とはスタミナが根本的に異なる。
スタミナだけでなく、攻撃の威力、素早さについても高いレベルを誇る。レベル95といわれる、アカネが一方的に押されている。
ボスが毒矢の雨を降らす。あまりにも数が多いため、回避するのは厳しそうだ。
ダメもとでバリアを貼ってみると、毒矢を遮断することができた。すべての攻撃は無効化できなくても、特定の攻撃には効果があるようだ。
「やるな・・・・・・」
魔物はパンチを繰り出す。シールドで防御しようとするも、パンチの前では完全に無力で、生身で攻撃を受けてしまった
「一〇発目もノーダメージか。おまえの防御力はすさまじいな」
反撃したいところだけど、攻撃力、素早さが完全に不足している。ボスにダメージを与えるのは、絶望的な状況だ。
ボスは接近戦が有効だと思ったのか、パンチ、キックを次々と繰り出してくる。あまりに早すぎるので、視覚でとらえるのは困難だった。
数十秒間で、50発前後の物理攻撃を受ける。ノーダメージとはいっても、サンドバッグのように殴られるのはきつい。
ボスにかすかなスキが生じる。それを見逃さず、急所になりうるところに、強烈なキックを叩き込んでいく。
「う・・・・・・」
ボスの顔が少しだけ歪む。鋼鉄のような体をしていても、急所だけは鍛えることができないようだ。
ダメージを与えられたところに、蹴りを叩き込もうとする。ボスは素早い実の動きで、アカネの攻撃を回避する。
ボスは左手でフレア、右手でアルテマの魔法を唱える。一つだけだと思っていたので、アカネはびっくりしてしまった。
同時に唱えたからか、コントロールはいまいちだった。2つの魔法は、アカネの身体をかすめることはなかった。
2つの魔法を唱えたことで、ボスは無防備になっている。素早く近づくと、ボスの急所にキックを食らわせた。
「いたい」
急所を責め続ければ、ボスを倒せるかもしれない。アカネにほんの僅かばかりの、光が差し込
むこととなった。