59章 相談2
ミライは二つ目の悩み事を打ち明ける。
「2つ目の相談はお見合いのことです。母から男性を紹介されましたけど、どうしても乗り気になれません。一緒に断っていただけませんか」
マツリだけではなく、ミライもお見合いの話が来ているのか。「セカンドライフの街」では、一定の年齢になったら、結婚しなければならないという法律が存在しているかのようだ。
「母親のとつぎなさいオーラが、日に日に強くなっています」
「ミライさんにはきょうだいはいるの?」
「姉、妹がいます。二人ともすでに結婚して、家を出ていきました。実家に残っているのは、私だけになります」
ミライも結婚して、子供を産んでほしいと考えているのかな。その部分についてはわかるような気がする。アカネも大学時代に、立派な男性と結婚して、子供を産んでほしいといわれてい
た。
「ミライさんはどうして、お見合いや結婚に消極的なのかな」
「火傷のときの傷が残っているからです。あのときは、汚物のように扱われていました」
アカネの第一印象も同じようなものだった。包帯を巻いている姿を見て、近づきたくないと感じてしまった。
「アカネさんのおかげで火傷は治りましたけど、心の傷については鮮明に残り続けています。化け物のように扱われたショックは消えることはありません」
ミライはその傷と向き合いながら、仕事などをしていた。見た目は平静を装っていたものの、つらい思いをしていたのかもしれない。
「私は恋愛も結婚もしたくありません。そのことを母に伝えてほしいです」
「私が伝えたところで、おかあさんの意思は変わらないんじゃないかな」
ミライの言葉は弱々しくなった。
「そうかもしれません・・・・・・」
ミライの頬から、二粒ほどの涙が流れる。
「アカネさん、私は裏切られるのが怖いです」
アカネは何もいわずに、そっと包み込んだ。彼女は心にたまっていた苦しみを、必死に吐き出そうとしているのを感じた。