53話〜悔しい気持ちを抑え
その頃ガルド達は、遥か遠くの方から来る者を待っていたが、ある事に気がついた。
「よくよく考えたら、この街のど真ん中に、あの人が来たら不味くねぇか?」
「確かに大騒ぎになるかと」
「それはそうなのですが、どうすれば?」
ルルーシアが考えていると、
「そうだなぁ。それなら、まだこっちに向かって来てる段階だから街の外で待っていればいいんじゃないのかな?」
「ビスカ、そうですね。恐らくは、私達に用があるのでしょうから、その方が、私も良いと思います」
「ああ、そうした方が良さそうだな。そうなると早く街の外に出ねぇとな」
ガルド達は街の南側の外に急ぎ向かった。
その頃、サアヤとコトネは、ブラットの事を伝えに宿屋に戻ってきていた。
そして、サアヤはフェリアとヴィオレとヴィオレッタとフリックとグレンに何があったのかを話した。
「すまない……私の不注意でブラットが拐われた」
「そうなのですね。私の不安が当たってしまいました。ですがこれは、サアヤの責任では無いと思いますので」
「それはそうなのだが……」
コトネは泣きそうな顔で、
「ブラットが拐われたのは、サアヤだけの責任じゃないよ。私が、ビスカおばさんと喧嘩なんかして、怪我してなければ」
「確かに、そうかもしれないが。コトネだって、まさかこうなるとは、思っていなかっただろうしな」
「でも誰が、ブラットを拐ったの?」
「確か、ガルド様の話だとジェシカとレフィカルと言っていたが」
「ジェシカとレフィカル。はて?何処かで聞いた事が……」
「知っているのか?」
「多分、知っているとは思うのですけれど、何故か思い出せませんの」
「でも、ブラット……拐われるって?どんだけ、アイツは馬鹿なんだ。いや、弱いと言ったのがいいのか……」
「グレン。お前、そこまで言うか。一応は幼馴染なんだろう?」
「ああ、そうだが昔からアイツはな。弱い癖して、お人好しの馬鹿でどうしようもなくほっとけない程の阿保だ!」
グレンはそう言うと下を向き、
「なんなんだよ!!……何のために俺が、ついて来たと思ってるんだ。何も出来てないじゃないかよ‼︎…クソ〜ォ〜!アイツを助ける事も……出来ないのかよ。俺は……」
心の中で泣いていた。
「私は、ブラットの側を離れるべきではありませんでした。これは、私の責任でもあるのです。しかし今はブラットを救い出さなければなりません」
サアヤ達は頷き、悔しい気持ちをこらえ、どうやってブラットを救出するかを考える事にしたのだった…。